disease

大腿骨頭壊死症

症状

大腿骨頭壊死症は、股関節のボール状の骨(大腿骨頭)の一部が、何らかの原因で血の巡りが悪くなり、骨組織が死んでしまう病気です。この「骨壊死」が発生した時点では、ほとんど痛みなどの自覚症状はありません。しかし、壊死した骨はもろく、体重などの負荷に耐えきれなくなると潰れて(圧潰)しまい、これによって急に強い痛みが出現するのが特徴です。骨頭が潰れると股関節が変形し、痛みが慢性化します。

主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 急な股関節の痛み:骨頭が潰れ始めたときに、突然股関節や太ももの付け根に強い痛みが出ることがあります。この痛みは安静にしていると一時的に治まることもありますが、これは病気が治ったわけではなく、むしろ骨頭の損傷が進行しているサインである場合があります。
  • 動作時の可動域の制限:病気が進行して股関節が変形すると、関節の動きが悪くなります。これにより、靴下を履く、爪を切る、あぐらをかくといった日常の動作が難しくなります。
  • 安静時の痛み:病気がさらに進み、骨頭の潰れや炎症が大きくなると、じっとしているときや夜間にも痛みが現れることがあります。
  • 非定型的な痛み:股関節だけでなく、痛みをかばうために膝の奥や腰、お尻の痛みとして症状が始まることもあります。

これらの症状は、患者様の生活の質を大きく低下させるため、少しでも異変を感じたら、痛みを我慢せずに早めに専門の医療機関にご相談ください。

原因

大腿骨頭壊死症の原因はまだすべてが解明されているわけではありませんが、病気を引き起こす可能性が高いとされるいくつかの要因が明らかになっています。特に、原因が特定できないケースを「特発性(とくはつせい)」と呼び、これが最も多くを占めます。

大腿骨頭壊死症の発症に関係が深いとされる主な要因は以下の通りです。

  • 特発性:原因がはっきり特定できないケースが最も多く、「特発性大腿骨頭壊死症」と呼ばれます。比較的若い30代から50代の働き盛りの年代に多く発生することが知られています。
  • アルコールの飲み過ぎ:日常的に大量にお酒を飲む習慣があると、血液中の脂肪が増え、骨頭への血流が悪くなることで、この病気が起こりやすくなります。特に男性に多い要因です。
  • ステロイド薬の大量使用:全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患の治療や、臓器移植後などにステロイド薬を大量に、または長期間使用した場合に、発症するリスクが高まることがわかっています。特に女性に多い要因です。
  • 外傷(けが):大腿骨頚部骨折や股関節の脱臼など、股関節まわりの大きなけがによって血管が損傷を受け、骨頭への血流が途絶えて壊死につながることがあります。

これらの要因が複雑に絡み合い、大腿骨頭に栄養を送る血管が妨げられることで骨頭が壊死に至ると考えられています。

診断

大腿骨頭壊死症の診断は、患者様からの詳しいお話(問診)と、画像検査の結果を組み合わせて行います。正確な診断を行うためには、症状の変化や過去の病歴、生活習慣などを細かく確認することが欠かせません。

診断のための主な検査方法は以下の通りです。

  • 問診と触診:いつから、どのような時に痛みが出るのか、過去の病歴、特にステロイド薬の使用歴やお酒を飲む習慣があるかなどをお伺いします。その後、股関節の動きを細かく確認し、痛みの出る場所を特定します。
  • X線(レントゲン)検査:骨の状態や股関節の形を撮影し、骨頭が潰れているかどうか、関節の隙間が狭くなっていないかなどを確認します。ただし、病気の初期の段階では、骨壊死が起こっていても異常が映らないこともあります。
  • MRI検査:X線検査では見つけることが難しい、ごく初期の壊死の状態を鮮明に捉えることができる、最も重要な検査です。骨の内部の血流の状態や、壊死している部分の広がりなどを詳しく評価するために使用します。特にアルコール多飲やステロイド使用歴などのリスク因子を持つ方の場合、症状がなくても積極的にMRI検査を行うことで、早期の病状を発見することができます。

これらの検査を行うことで、大腿骨頭壊死症であるかどうかを正確に判断し、病気の進行度や壊死の範囲を把握することができます。

治療

大腿骨頭壊死症の治療は、病気の進行度、壊死した範囲、そして患者様の年齢や活動性などを総合的に考えて、最も良い方法を選びます。治療の目的は、まず痛みをなくすこと、そして股関節の機能(動き)をできるだけ長く保つことにあります。初期段階や壊死の範囲が小さい場合は手術をせずに様子を見る保存療法から始めますが、骨の潰れが進行した場合は手術が必要になることが一般的です。

主な治療方法には、以下のものがあります。

  • 保存療法:まだ骨頭の潰れがない初期の段階や、壊死の範囲が小さく予後が良いと判断される場合に選択されます。杖を使って体重をかけすぎないようにし、痛み止めの薬(飲み薬や貼り薬)で症状を和らげます。
  • 骨切り術(こつきりじゅつ):骨頭が潰れる前や、潰れが軽度な段階で、壊死していない健康な部分に体重がかかるように大腿骨頭の向きを変える手術です。ご自身の骨を残すことができるため、比較的若い方や壊死の範囲が小さい方に適しています。
  • 人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ):骨頭の潰れが大きく進み、痛みが強くて日常生活に大きな支障をきたしている場合に選択されます。傷んだ股関節の骨頭と受け皿を、人工の関節に置き換える手術で、これにより痛みが大幅に改善され、関節の動きも滑らかになります。

治療を進めるにあたっては、患者様と十分に相談し、それぞれの生活や将来の希望に合わせた最適な治療方法を見つけます。

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