膝関節の外来
- 2016/02/12
膝関節のクッションである半月板の摩耗や軟骨の擦り減り、筋力低下が要因となって膝の関節に炎症が起きたり、骨が変形して痛みが生じる疾患です。進行すると動かしたときの衝撃が吸収できなくなり非常に強い痛みが生じます。
男女で比較すると女性に多く、50歳以降になるにつれて患者さんの数が増えていきます。人が歩く時には、体重の約3倍~5倍の負担が膝にかかると言われています。体重も原因の一つに考えられます。体重が重いほど膝に負担がかかりやすく、軟骨や半月板が摩耗し発症しやすくなります。
しゃがむ動作では、膝に非常に大きな負荷がかかります。特に膝を深く曲げると、関節の軟骨同士が強く接触するため、すでに軟骨がすり減っている方には激しい痛みを感じやすくなります。また、変形性膝関節症が進行すると、関節のすき間が狭くなり、骨同士が直接ぶつかって痛む状態になることもあります。こうした状態になると、「しゃがむのがつらい」「正座ができない」「立ち上がるのが大変」といった日常生活での支障が増えていきます。
機械的なダメージや運動歴、仕事など長い期間、膝に負担がかかることで関節のクッション機能を果たしている半月板が摩耗することが原因と言われています。また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することもあります。変形には内反変形(O脚)と外反変形(X脚)がありますが内反変形の割合が多いと言われています。
変形性膝関節症は「一次性」と「二次性」に分けられます。一次性関節症とは、関節にもともと既存障害や形態異常がなく、体重や運動の負担により発症するものです。二次性関節症とは、骨折、靱帯・半月板損傷など外傷や形態異常、化膿性関節炎、痛風、関節リウマチなどの病気のあとに発症するものです。膝関節では「一次性」の割合が多いと言われています。
変形性膝関節症は初期、中期、末期に分類されます。
初期では動作時に膝の痛みを感じますが、しばらく休むと痛みが軽減します。中期では正座や階段昇降で膝に疼みを生じ、水が溜まります。
主な症状は「痛み」「腫れ」「膝の動かしづらさ」です。
膝を動かした時に生じる膝の痛みです。最初は立ち上がる時、歩き始める時など、膝に体重がかかりやすい時に痛むことが多く、更に進行すると階段昇降や正座をした時など、特別な動作をした時にも痛みを生じるようになります。安静にしていると痛みが軽くなりますが変形が進行していくと安静時でも痛みが取れないことがあります。
関節に炎症が起こり、膝のお皿周辺に水が溜まります。水が溜まることで膝が曲がりづらくなることや、痛みが強く動かしづらくなることがあります。
正座やしゃがみ込みなどの膝を曲げる動作や膝を伸ばすことが困難になります。
・リハビリテーション
リハビリテーションの目的は膝の曲げ伸ばし(可動域訓練)と膝を支える筋力の強化です。関節の2大機能である可動性と支持性を回復させることは変形性膝関節症の治療のみならず予防法として大変重要です。
・痛み止めの内服薬、外用薬(湿布、塗り薬)
・注射
ヒアルロン酸注射:直接、膝関節に注入することで関節の動きを滑らかにし、軟骨を守るとともに、痛みや炎症を抑えることができます。
ステロイド注射:炎症を強力に抑え込み、鎮痛効果も高い治療になります。頻繁の使用は軟骨や靭帯を弱くしてしまうため、症状に合わせて医師の指示の元おこなわせていただきます。
PRP注射:生体内の代謝バランスを改善・保持するのに必要な成長因子等を補充し、慢性的な炎症やそれによって発生する疼痛、組織侵襲を抑制、更には組織修復・再生を促すことを目的としています。