第38回東京都理学療法学術大会 学術報告
2019年6月23日に東京都の杏林大学 井の頭キャンパスで開催された第38回東京都理学療法学術大会において、当院理学療法士の村上直、田中亜吏紗がそれぞれ「鏡視下短橈側手根伸筋腱再縫着術を施行した一例 -術後リハビリテーションについて」、「左内側膝蓋大腿靭帯損傷後、保存療法から再建術に移行し、スポーツ復帰を目指した一症例」という演題で口述発表を行いました。また、今回が初めての学会発表となる2名をサポートするため、当法人の研究支援機関であるリサーチセンターから理学療法士の兼岩淳平も同学会に参加致しました。
〇「鏡視下短橈側手根伸筋腱再縫着術を施行した一例 -術後リハビリテーションについて」
村上直 理学療法士
上腕骨外側上顆炎は重い物を持った際などに肘関節外側に痛みを感じる障害で、テニス肘という呼び方でも知られています。上腕骨外側上顆炎は保存療法(リハビリテーション・装具療法・薬物療法)で多くの場合痛みの改善が見込めます。しかし、痛みが改善しない場合には手術療法が選択されることがあります。手術療法では痛みの原因として考えられている短橈側手根伸筋という筋が骨に付着する腱という部分を切り取る手術が多いです。
当院では鏡視下で変性した短橈側手根伸筋腱を切り取った後、縫合する鏡視下短橈側手根伸筋腱再縫着術を行っております。 この鏡視下短橈側手根伸筋腱再縫着術を施行し、約4ヵ月でテニスに復帰した一例の治療成績と術後リハビリテーションについて発表しました。超音波画像を用いて縫合した部分の状態を評価しながらリハビリテーションを進めたことにより順調にスポーツ復帰できたと考えています。
今回の発表を準備する過程で、私自身の患者様との関わり方を振り返る良い機会となりました。またスポーツをライフスタイルの一部にする方は多いと思いますが、年齢を重ねるにつれ身体に不調がでてきてスポーツを楽しむ事が難しくなる方もいると思います。特に肘関節は生活で必ず動かす関節であり、障害を持つ方も多いと感じています。そのような患者様に対して今回の発表で学んだことを還元できるよう今後も努力して参ります。(村上直)
〇「左内側膝蓋大腿靭帯損傷後、保存療法から再建術に移行し、スポーツ復帰を目指した一症例」
田中亜吏紗 理学療法士
内側膝蓋靭帯とは、膝蓋骨が外側へ脱臼しないようにしている靭帯で、脱臼しないためには最も重要な役割をしています。この靭帯が損傷することで、スポーツ時や日常生活で膝蓋骨脱臼を繰り返したり、膝の不安定感が生じてしまいます。
治療は、初回脱臼や膝の不安定感が少ない場合では保存療法、膝蓋骨の脱臼を繰り返してしまう場合は手術療法が選択されます。
今回私は、内側膝蓋大腿靭帯損傷し、保存療法から手術療法に移行し、スポーツ復帰した症例を経験しました。保存療法では日常生活レベルでは問題はなくなりましたが、スポーツ動作のジャンプや切り返し動作で脱臼を繰り返したことは内側膝蓋大腿靭帯の破綻と動作に問題があり、手術を施行したことで靭帯の役割が再獲得されました。スポーツ時に膝が内側に入ってしまう動作は、膝蓋骨が脱臼しやすい状態になります。そのため、手術後はスポーツ動作で膝関節が内側に入らないようにする身体機能を鍛える運動療法を中心に介入し動作の改善と再発予防を図りました。その結果、術後6カ月でスポーツ復帰に至ることができました。また,発表後には介入時の問題点などの質問をいただきました。
今回のように術前から術後のスポーツ復帰までより良い治療ができるように、今後も日々精進いたします。(田中亜吏紗)
2名とも堂々としっかり発表しており、サポートとして参加した私(兼岩)は安心してみていることができました。
本学会は若い先生方が学会発表デビューするにはうってつけの学会であり、発表後には座長の先生と話し合いができる場も設けられておりました。
来年度以降も当院・当法人からこの学会で発表し、そこで学んだ知識や技術を日々の治療に活かし、患者様へ還元できるようにスタッフの教育に力を入れていこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
AR-Ex尾山台整形外科
理学療法士 兼岩淳平
村上直
田中亜吏紗