手関節TFCC損傷(三角線維軟骨複合体)
手の尺側(小指側)にある三角線維軟骨複合体と呼ばれる組織。
手関節の重要な機能である支持性と可動性の両立に極めて重要な役割を果たす軟部組織です。
TFCC損傷はどのように生じる?
外傷型:転倒・転落・交通事故などによる手首の捻挫による損傷が原因で生じます。変性型:仕事やスポーツによる長期に渡る手関節の酷使や加齢変性などにより損傷し痛みの原因で生じます。
また、外傷もなく発症することがあり、この要因一つとして尺骨が橈骨に対して生まれつき長いことが挙げられます。
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TFCC損傷はどんな症状が出るの?
ドアノブや鍵を開ける際に手を捻る動作、手関節を小指側に曲げた時に痛みが出現します。
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TFCC損傷の診断について
単純レントゲン撮影やエコー(超音波)による検査や疼痛誘発テストによる理学所見で診断をします。疼痛誘発テストには以下のようなものがあります。
・TFCCへの圧痛
尺骨茎状突起周囲への疼痛とTFCCへの圧痛(押した時の痛み)があります。
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・TFCCストレステスト
手関節を尺屈(小指側に屈曲)した状態で手関節に対し軸圧を加えることで痛みが誘発します。
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・DRUJ不安定性テスト(遠位橈尺関節不安定性テスト)
DRUJ の不安定性をみる検査で、回内外中間位で調べます。
一方の手指で橈骨遠位を把持しもう一方の手指で尺骨遠位を把持し、DRUJ を掌側、背側に擦り合わせるようにします。
疼痛,不安定性,コリコリと音が鳴る場合を陽性とします。
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治療について
治療は大きく分けて保存療法と手術の二つがあります。*保存療法
・消炎鎮痛剤投与…炎症を抑え、患部の疼痛を緩和します。
・サポーター固定、ギプス固定…安静を図り、負担を軽減します
*手術
損傷が重篤な場合や保存療法で症状が改善しない場合は手術療法となります。
損傷の程度によって尺骨短縮術や靱帯再建術をすることがあります。
→ TFCC損傷の手術
Ver.1 2018.02.28