上腕骨小頭離断性骨軟骨炎のリハビリテーション(保存療法)
離断性骨軟骨炎とは12~15歳の成長期に発症し、関節面の一部が分離を生じ徐々に進行する疾患です。
病期が進行し関節ねずみを認める例は手術療法が選択されますが、病期が進んでおらず、骨の成長により修復が期待できる低年齢の患者はリハビリテーションを実施し経過を観察します(保存療法)。
(※上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の概要はこちらをご参照ください。→「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎とは」)
痛みが肘に生じていても、原因が肘にあるとは限らず肩甲骨や体幹、下半身にある場合が多くあります。
ここでは投球禁止期間にチェックする項目と対処法をいくつか紹介します。
肩後方の柔軟性チェック方法
・肩甲骨を動かないように固定してチェックする側の腕を反対側に動かします。
・肘が顎を超える場合は、肩後方の柔軟性が良好と判断します。(左図)
・顎まで届かない場合は、肩後方の柔軟性は不十分と判断します。(右図)
※特に柔らかい人は手が反対側のベットに着きます。
肩後方の柔軟性チェック方法
・肩甲骨を動かないように固定してチェックする側の腕を挙げます。
・上腕骨が体と一直線になる場合は、肩後方の柔軟性が良好と判断します。(左図)
・一直線にならない場合は、肩後方の柔軟性は不十分と判断します。(右図)
※特に柔らかい人は腕が耳に着きます。
肩後方の柔軟性獲得方法
・四つ這いになり、獲得したい側の腕を伸ばした姿勢をとりましょう。(右上図)
・お尻を徐々に踵につくように落としていきストレッチをしましょう。(左図)
〈別法〉ストレッチポールを脇下に置き圧迫ストレッチをしましょう。(右下図)
※ストレッチポールはテニスボールでも代用できます。
下肢後面の柔軟性チェック方法
・仰向けで片方の脚を膝を伸ばしたまま上に持ち上げます。
・反対側の足が上がったり、挙げる途中で膝が曲がらないように注意しましょう。
・約75°以上挙がれば柔軟性は良好と判断します。
<柔軟性がない人向けの対策>
右図のようにヒモやタオルを用いてストレッチしましょう。
下肢前面の柔軟性チェック方法
・うつ伏せで片方の踵をお尻につけるように膝を曲げます。(上左図)
・曲げる際に、お尻が浮き上がらないように注意しましょう。(上右図)
・踵がお尻につけば柔軟性は良好と判断します。
<柔軟性がない人向けの対策>
横向きになり下の脚を体に引き付けて、上の脚を曲げてストレッチしましょう。(下図)
今回紹介したような肩周りや下半身の柔軟性を改善し、スポーツ活動中の肘への負担を軽減させることが重要です。
※離断性骨軟骨炎に対する治療は、症状や病期によって異なります。
スポーツ活動時に肘に痛みが生じる場合は自己判断せず医療機関で必ず医師の診断を受けてください。
手・肘関節を専門とするリハビリテーションスタッフ
※写真をクリックすると紹介文が表示されます。
※専門スタッフのリハビリテーションを希望される場合は、初診時の問診票に名前の記載をお願いいたします。
理学療法士:青柳 努
Ver.2 2018.7.8