反復性膝蓋骨脱臼に対する内側膝蓋大腿靭帯(MPFL:medial patellofemoral ligament)再建術
膝蓋骨脱臼とは大腿骨(太ももの骨)に対して膝蓋骨(膝のお皿)が外れることです。
ほとんどの場合は外側に外れ、その際に内側膝蓋大腿靭帯(太ももの骨とお皿を支える靭帯)が破綻します。
その結果、膝蓋骨が外れやすくなった状態を反復性膝蓋骨脱臼と言います。
この状態に対して当院では人工靭帯または半腱様筋(膝を曲げる筋肉)を用いた再建術、または外側支持組織の切離を行います。
手術適応
2回以上膝蓋骨外側脱臼を経験している場合は手術の適応です。また脱臼の経験が1回であっても、 CTやMRIでの画像検査において膝蓋骨の関節面(大腿骨と適合する面)の骨折を伴っている場合は手術適応です。
手術までの流れ
基本的には脱臼を防ぐ装具を着用するなど保存療法を第一選択としますが、生まれつき関節面が浅いなどの骨形態異常や全身関節弛緩性を認める場合は、放っておくと軟骨を痛めてしまうため手術を勧めます。また膝の内側の筋肉を鍛えたり、外側の筋肉を緩めるなどのリハビリを行っても症状に変化がない場合は手術を勧めます。入院期間、入院費について
5日間:16~19万円(3割負担)※手術内容や入院期間変更により値段が異なる場合があります。あくまで目安としてください。
また入院手術時に適応となる高額医療免除制度もあります。詳しくは術前の検査時にスタッフからご案内させていただきます。
→入院について
手術方法
当院では基本、静脈麻酔と吸入麻酔を用いた全身麻酔で手術を行います。傷口も手術方法によりその数と場所は異なります。
⚪︎外側支持組織切離(Lateral release)
成長期の子供の場合は骨端線(成長線)が閉鎖していないため外側支帯を切離することを第一選択とします。これは過緊張している外側支持組織を切離することで膝蓋骨の外側への牽引力を軽減させる手術です。この手術でも改善しない場合や大人の場合は人工靭帯や半腱様筋(膝を曲げる筋肉の一部)を用いて行います。




⚪︎内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)再建術
人工靭帯もしくは半腱様筋(膝を曲げる筋肉の一部)を内側膝蓋大腿靭帯の代わりになるよう大腿骨と膝蓋骨に固定します。



当院では基本関節鏡を使った鏡視下手術を行いますが、この手術の場合は膝蓋骨の内側に3〜4cmほど切開して靭帯を再建します。


術前 単純レントゲン画像 術後 単純レントゲン画像
全ての処置が終わった後、患部を十分に洗い手術を終了します。
手術をした側の脚に血栓予防の靴下を着用し、再建靭帯に負担がかからないよう膝を固定するための装具を装着します。
麻酔の覚め具合や足の動きを確認したらベッドで病室へ移動します。
術後の痛み対しては点滴から痛み止めの薬を投与します。
術後のリハビリテーション
手術した脚に体重をかけることは、術後翌日から松葉杖を使用し可能です。可動域運動、筋力トレーニング等は再建靭帯に負担がかからないよう考慮しながら行います。
よくある質問
Q1.いつからお風呂に入れるの?A.術創部の炎症症状が収まり、傷が閉じたと医師が判断し、抜糸を行った後入ることができます。(約1~2週後)
それまでは、患部を防水シールで保護しながらシャワーのみ許可されます。可動域制限がある場合はシャワー椅子の利用をお勧めしています。
腫れが強い場合は、温め過ぎないよう注意してください。
Q2. いつから仕事に復帰できるの?
A.仕事の内容にもよりますが、手術後の経過が順調な場合、デスクワークであれば約2~4週で職場復帰は可能な場合が多いです。
通勤距離や仕事内容によっても変動しますので主治医にご確認ください。
当院の膝関節担当医
当院では綿貫誠医師(院長)、清水勇樹医師が膝関節の手術を行っています。綿貫誠医師の外来は、月曜日、水曜日午後、木曜日午後、金曜日午前です。詳細はこちらをご参照ください。
→綿貫誠医師

清水勇樹医師の外来は、月曜日午前です。詳細はこちらをご参照ください。
→清水勇樹医師

Ver.1 2018.11.19