第36回 関東甲信越ブロック理学療法士学会「転位を認めた鎖骨骨幹部骨折に対し保存療法を選択しスポーツ復帰を果たした一症例 」についての学術発表報告
2017年9月23~24日に長野県で開催された第36回 関東甲信越ブロック理学療法士学会に参加し、「転位を認めた鎖骨骨幹部骨折に対し保存療法を選択しスポーツ復帰を果たした一症例 」という演題でポスター発表をいたしました。
鎖骨骨折は三角巾や鎖骨バンドなどにより骨折部を固定して安静にすることで治癒を目指す保存療法が第一選択とされています。
しかし、合併症がある場合や骨折部の転位(骨のずれ)が大きく元の位置へと戻す整復が困難な場合では、プレートや髄内釘で固定する手術療法が選択されます。
今回私の経験した症例は転位の著しい鎖骨骨幹部骨折でした。
整復後の転位の改善が乏しいことから手術療法も検討しましたが、リモデリング(骨折の治癒過程)が盛んな成長期である年齢を考慮し、また、症例本人の希望もあり、保存療法を選択しました。
転位がありながらも手術をしていないため、不安定かつ再骨折のリスクが高い状態でのリハビリ介入でしたが、骨折部へストレスがかからないよう、鎖骨の運動学的機能を考慮し、また、鎖骨だけではなく鎖骨と連動して動く肩甲骨の動きにも着目し、リハビリを実施しました。
さらに、重たいものを持つことや手を強くつくことの禁止といった日常生活の指導を徹底したことで良好な経過をたどり、無事に競技復帰に至ることができました。
発表後には介入時に注意した点などの質問を多くいただきました。
今回のように可能な限り患者さんの希望に近い結果に導けるよう、これからも日々努力を続けていきたいと思います。