治りづらい足底腱膜炎の治療方法

2021/04/07

足底腱膜炎は土踏まずから踵かけて痛みが出る障害です。主に踵骨(かかとの骨)中央部に痛みが出ます。AR-Exスポーツ・難治性疼痛外来を受診される患者さんの多くは、他院で治療をしても治らない方、日常生活やスポーツ活動に支障をきたしている方です。また体外衝撃波治療を実施したいという方も多くいらっしゃいます。

足底腱膜炎とは?

足の裏を縦にある足底腱膜という膜があります。その膜のかかとの付着部の炎症が起きている状態が「足底腱膜炎」です。動き始めや長時間の運動で足裏のかかと付近の痛みが出るのが特徴です。中高齢の方に発生しやすく、運動や長時間立っていることによるストレスが原因として起こります。

痛みの出る原因と足底腱膜炎になりやすい人の特徴

足底腱膜炎を起こす原因は様々あります。治りずらい足底腱膜炎の場合はこれらの原因を改善する必要があります。
 
加齢による筋力の低下
中高年の年代(40~60歳代)で足底腱膜炎の発生は多くなります。この年代での加齢に伴う下腿三頭筋の筋力低下・柔軟性の低下(硬さ)が痛みの1つの原因になります。
 
歩きすぎ・運動による足の使い過ぎ
ランニング・エアロビクス・ゴルフなど運動で負荷を長時間かけ過ぎてしまう場合に、足底腱膜が常に伸び縮みを強いられ過度な刺激により疲労し微小な組織損傷が起こり発症します。
 
柔らかすぎる足(偏平足)または硬すぎる足(ハイアーチ)
足が柔らかすぎて足裏のアーチの部分がつぶれてしまっている偏平足、または硬すぎで足裏のアーチの部分が動かないハイアーチどちらにも発生します。足は適度な柔軟性と硬さが必要です。
 
肥満体型
体重が増えることで歩く時・立っている時・運動する時の足底腱膜にかかる負担が増えてしまします。
 
長時間の立ち仕事
工場労働・教師・スーパーマーケットのレジ業務など立ち続ける仕事では、足底腱膜・下腿三頭筋が長時間使われるため痛みの原因となります。
 

症状

一般的に『朝起きた時の一歩目』に痛みが出ることが多いです。
足底腱膜炎といっても様々なところに痛みが出現します。

 
①踵(脂肪体)
歩いていて踵を着く時に踵が痛い
②足底腱膜付着部
朝起きて踵着く時に剣山に刺されるように痛い
③足底腱膜実質部
歩いていて踏ん張る時や蹴る時にピキッとなるように痛い

Ex)
#動きはじめに足の裏が痛い
#歩く時・走る時にかかとが痛くなる
#立ちっぱなしでいると足の裏や踵が痛くなる
#踵が地面に付く時に痛い
#踵を押すと痛い
#朝起きて一歩着く時に痛い

踵や足底が痛い状態を長期間放置すると腱の質が変わってきてしまいます(変性)。
変性してしまうと治るはずの腱が治りにくくなってしまいます。
その状態のことを『 難治性足底腱膜炎 』と言います。

AR-Exスポーツ・難治性疼痛外来での足底腱膜炎の治療の特徴

画像検査


 
レントゲン

黄矢印:かかとの骨棘(骨のとげ)  
MRI

 黄矢印:踵骨下脂肪体の信号変化(炎症)
 黄矢頭:足底腱膜と踵骨骨髄の信号変化(炎症)

評価

痛みの原因となる要因を様々な評価から特定をしていきます。
筋力や柔軟性など体の状態や、運動量など立ち時間など活動量など様々な視点から評価を行います。

治療方法

体外衝撃波治療
音速を超えて伝わる圧力の波である衝撃波を用いて治療します。
体外衝撃波治療は「集束型」と「拡散型」の2種類があります。


保存療法(内服や注射、リハビリ、インソール)を6ヵ月以上行っても症状が改善しない場合は、
「集束型」の体外衝撃波治療を医療保険を使用して実施します。
疼痛が出現しているかかと周囲に照射します。
治療時間:10~15分程度

  集束型体外衝撃波治療の実際


拡散型圧力波治療の実際


体外衝撃波治療の詳しい情報はコチラ
超音波ガイド下注射
炎症が存在している箇所に対して、超音波(エコー)を用いて正確に、最小限の量を注射して治療します。
主に体外衝撃波治療による治療効果がない場合に実施します。

超音波ガイド下注射の実際
炎症が存在し腫れてしまっているかかとの脂肪(踵骨脂肪体)に対する超音波ガイド下注射

 
神経リリース
足部~足底を走行する神経に対して周囲組織と液性剥離する治療(生理食塩水を使用)。
足底腱膜炎による症状と併発しているもしくは足底の痛みが神経から生じている場合に実施します。

神経リリースの実際
足底の神経を支配する脛骨神経に対する神経リリース

 
リハビリテーション
所見や病態に応じてエビデンス(根拠)のあるリハビリを実施します。
 
足底腱膜炎のストレッチ
方法
①足底筋膜を親指で圧迫し、もう一方の手で足趾を伸展させます。
目的
足部内在筋の伸張性の改善
ポイント
①10秒を左右10セット繰り返します。
②痛みが強い場合は無理しないようにしましょう。
③圧迫する強度は強すぎないように気をつけます。
 

治療期間

まず3回の治療で効果判定を行います。(治療間隔は1~2週)3回で満足のいく結果を得られた場合は治療を終了します。治療効果はあるがまだ満足できない場合、医師との相談の上4回以上の治療を行います。症状の改善が認められない場合、または悪化している場合は治療を終了します。症状の経過によっては3回以下でも治療を終了する場合があります。
 

治療施設

スポーツ・難治性疼痛外来の受診の流れや費用については各施設のページからご確認下さい。

東京都で体外衝撃波治療を受けられる施設
都立大整形外科クリニック(目黒区)
明大前整形外科クリニック(世田谷区)

埼玉県で体外衝撃波治療を受けられる施設
さいたま整形外科クリニック(さいたま市)

長野県で体外衝撃波治療を受けられる施設
長野整形外科クリニック(長野市)
佐久平整形外科クリニック(佐久市)
上田整形外科内科(上田市)