治りづらい肩石灰性腱炎の治療方法
肩前上方に痛みを伴う障害です。
夜間に突然激痛が生じ、痛みにより睡眠が妨げられたり
肩を動かすことにより激痛が生じることが多いです。
肩関節の解剖
肩関節は細かく分けると5つの関節から構成されています。その中でも特に重要な関節は「肩甲上腕関節」と呼ばれ、肩甲骨と上腕骨(腕の骨)でつくられる関節です。
その「肩甲上腕関節」の安定性を担っている筋肉が「回旋筋腱板」と呼ばれるもので、
いわゆる“インナーマッスル”です。
インナーマッスルは主に棘上筋/棘下筋/肩甲下筋/小円筋の4つから構成されています。
好発部位
棘上筋
棘下筋
肩甲下筋
一般的に棘上筋に発生することが多いとされています。
たまに棘下筋にも発生し、肩甲下筋には稀に発生します。
なぜ肩の前上方が痛くなるのか?
発症原因は未だ不明であるが、肩の腱板内(肩のインナーマッスル)にリン酸カルシウム結晶が沈着することにより急性の炎症が生じ、肩周囲の痛みや可動域制限(肩の動作時の硬さ)が起こります。
この石灰の初めはミルク状であり、時間が経過すると徐々に粘り気が出現し石膏状へ変化し石灰化になります。
症状
腱板内にできた石灰が拡大していくことにより、
腱板内の内圧が上昇し急性症状がおこります。
急に夜間就寝中に痛みを伴ったり、動かすと痛みが伴ったりします。
#腕をあげると痛い
#腕を上げて下ろすときが痛い
#内側に捻ると痛い
#肩に力が入らない
#ふとした時にうずくまるくらい痛い
発症時期
肩の石灰性腱炎は以下に分類されます。急性期: | 発症後1〜4週 |
亜急性期: | 発症後1〜6ヶ月 |
慢性期: | 発症後6ヶ月以上 |
一般的な治療
急性期・亜急性期では保存療法で治療可能です。慢性期になると状態によりますが、手術療法が適応になります。
通常の治療は以下の通りです。
注射
下記の部位に痛み止めの注射を行います。・ステロイド関節内注射
・石灰周囲のステロイド注射
・
内服
主に痛み止めの薬を処方し内服します。・トラムセット
・ロキソニン
・ボルタレン
・カロナール
リハビリテーション
肩の石灰性腱炎の症例は肩周囲や肩甲骨周囲の筋力低下をきたす症例が多いです。また、肩周囲の筋肉の硬さも生じる症例も多いです。
そのため、肩の腱板機能を高める運動療法や肩甲骨周囲の筋力を高める運動療法を行います。
AR-Exスポーツ・難治性疼痛外来での肩石灰性腱炎の治療の特徴
画像所見
レントゲン評価
石灰化した部位の特定を行います
超音波検査
石灰化した腱板の大きさを評価しています
石灰化した腱板の大きさを評価しています
MRI
石灰部位の特定を行います
検査・評価
痛みの誘発検査では、石灰が原因で痛みが生じているのか確認します。
筋力検査や可動域検査も併せて行い、痛みの原因組織の特定を行います。
超音波検査では、体外衝撃波治療を行う前に石灰化の部位の再確認を行い
治療部位にマーキングを行います。
スポーツ・難治性疼痛外来の治療方法
通常の治療では、内服や注射、リハビリテーションなどの保存療法を行います。症状が慢性化してきますと、手術療法を行うこともあります。
手術療法を行うのに、ためらう患者様も中にはいらっしゃると思います。
そのため、症状が慢性化し一般的な治療を行っても
治りづらくなった患者様には当法人のスポーツ・難治性疼痛外来で以下の治療法を検討します。
体外衝撃波治療
体外衝撃波とは「音源が音速を超えた時に発生する圧力波」のことで、「拡散型」と「集束型」の2種類があります。石灰化した部位に対し体外衝撃波を照射することで、石灰の破砕や疼痛の緩和を図ります。
*必ずしも石灰の破砕が出来るかは分かりません。
*医師と相談した上で拡散型の体外衝撃波治療装置か収束型の体外衝撃波装置での治療を決定します。
治療期間
まず3回の治療で効果判定を行います(治療間隔は1~2週)。3回で満足のいく結果を得られた場合は治療を終了します。
治療効果はあるがまだ満足できない場合、医師との相談の上4回以上の治療を行います。
症状の改善が認められない場合、または悪化している場合は治療を終了します。
症状の経過によっては3回以下でも治療を終了する場合があります。
治療施設
スポーツ・難治性疼痛外来の受診の流れや費用については各施設のページからご確認下さい。東京都で体外衝撃波治療を受けられる施設
都立大整形外科クリニック(目黒区)
明大前整形外科クリニック(世田谷区)
埼玉県で体外衝撃波治療を受けられる施設
さいたま整形外科クリニック(さいたま市)
長野県で体外衝撃波治療を受けられる施設
長野整形外科クリニック(長野市)
佐久平整形外科クリニック(佐久市)
上田整形外科内科(上田市)