外反母趾矯正骨切り術は、足の親指の変形と慢性的な疼痛に対し、骨格構造を根本的に修正することで、疼痛の除去と機能回復を目指す治療法です。

手術の適応(対象となる方)

外反母趾矯正骨切り術は、進行した変形と慢性的な疼痛に対して、足の構造を根本から改善する治療法です。特に、以下のような症状や状態にある患者様を対象とします。

  • 保存療法(インソール、運動など)を継続しても痛みが改善しない方。
  • 足の痛みにより、日常生活や仕事(歩行、立ち仕事、靴選びなど)に大きな支障をきたしている方。
  • 変形が進行し、足底に治りにくいタコや胼胝(ベンチ)ができるなど、二次的な問題が発生している方。
  • X線画像で外反母趾角(HVA)が30度以上など、骨の構造的変形が重度と診断された方。

手術術式の選択

外反母趾の矯正手術の成功には、変形の程度に応じて最適な術式を選択する「個別化治療」が不可欠です。

遠位骨切り術(シェブロン骨切り術など)

  • 適応: 比較的軽度から中等度の変形。
  • 特徴: 第1中足骨の先端付近で行う術式で、体への負担が少ない低侵襲手術(MIS)アプローチが可能です。早期に荷重を開始しやすい利点があります。

近位骨切り術(Scarf骨切り術、ベース骨切り術など)

  • 適応: 重度の変形や、中足骨自体のズレが大きい症例。
  • 特徴: 第1中足骨の根元や中央部を大きく修正することで、重度な変形に対して高い矯正効果と長期的な安定性が期待できます。

複合術式

中足骨の矯正と併せて、親指の先端の骨(基節骨)の角度を調整するAkin骨切り術などを組み合わせ、足全体のバランスを完全に整えます。

手術の詳細

当グループでは、手術前に緻密なデジタルシミュレーションを行い、計画通りの正確な矯正を目指します。

  • 麻酔・所要時間:
    1. 麻酔方法: 全身麻酔、または下半身に麻酔をかける区域麻酔(脊椎麻酔など)が一般的です。術後の疼痛管理のため、持続的な神経ブロックを併用します。軽度症例では局所麻酔による日帰り手術も可能です。
    2. 手術時間: 片足あたり1時間から2時間程度が目安です。
  • 手術手順:
    1. 軟部組織の調整:緊張している関節包や腱のバランスを調整します。
    2. 骨切りと矯正:計画に基づき骨を切断し、矯正した位置でスクリューやプレートなどにより強固に固定します。
    3. 創部の閉鎖:縫合後、X線撮影で矯正状態を確認します。

入院・術後経過

患者様の安全と早期回復を最優先します。

  • 入院期間:
    • 標準的な入院期間は3日間から5日間程度が一般的です。
    • 軽度症例では、手術当日に帰宅する日帰り手術も選択可能です。
  • 術後経過:
    • 入院中の管理: 患肢の挙上と冷却を徹底し、神経ブロックや鎮痛剤で痛みを効果的に管理します。
    • 退院後の注意点: 多くの患者様は専用の術後シューズを装着し、手術当日から歩行訓練を開始します。骨癒合が安定するまでの6〜8週間は装具を正しく装着し、定期的なリハビリテーションを継続します。

期待される効果

  • 疼痛の劇的な改善と炎症の解消。
  • 歩行時の蹴り出し機能の回復と足の荷重バランスの改善。
  • 足の変形の矯正と外観的な改善。
  • 足底のタコや胼胝の解消と、再発リスクの低減。
  • 日常生活の質の向上(QOL)と活動的な生活の回復。

手術のリスクと合併症

手術を受けるにあたり、起こり得る一般的なリスクと特有のリスクについてご理解いただくことが重要です。

  • 一般的なリスク:
    • 感染、出血、深部静脈血栓症(DVT)。
  • 特有のリスク:
    • 骨癒合不全(偽関節):骨の結合が遅れること。
    • 矯正不足または過矯正。
    • 固定具による違和感や痛み(術後半年~1年で抜去手術を検討)。
    • 神経損傷によるしびれや知覚異常。

費用について

外反母趾矯正骨切り術は健康保険が適用される治療であり、自己負担は原則3割です。

  • 概算費用の目安:
    • 外反母趾矯正骨切り術の正確な費用は術式や入院日数により変動しますが、自己負担額(3割負担)は、入院期間を含め概ね15万円~25万円程度が目安となります。
  • 高額療養費制度の適用:
    • 医療費が高額になった場合、自己負担額が月の限度額を超えた分が払い戻される高額療養費制度をご利用いただけます。入院前に「限度額適用認定証」を申請することで、一時的な支払いを自己負担限度額までで抑えることが可能です。

当グループでの手術の特徴

当グループは、Arthroscopy(手術)、Rehabilitation(リハビリ)、Exercise(運動療法)の3分野を重視するスポーツ整形外科専門クリニックグループです。

  • 低侵襲手術と早期回復
    • 低侵襲手術(MIS)技術を積極的に採用し、術後の痛みと組織損傷を最小限に抑えます。
    • 適応となる軽度症例には日帰り手術や、術後即日からの早期歩行開始プロトコルを提供します。
  • 専門スタッフによるリハビリテーション
    • 理学療法士、トレーナーなどが連携し、矯正後の足の機能回復、正しい歩行様式の習得、再発予防に焦点を当てた個別化されたトレーニングを提供します。
  • 安心の一貫治療体制
    • グループ全体で情報を共有し、診断から手術、術後フォローアップまで、シームレスで一貫性のある治療を提供します。

よくあるご質問 (FAQ)

  • Q. 手術は痛いですか?
    • A. 手術中は麻酔で痛みません。術後の痛みも神経ブロックや鎮痛剤で十分にコントロールできます。
  • Q. いつから普通の靴が履けますか?
    • A. 骨癒合が安定する通常6週間から8週間後を目安として、徐々に普通の靴への移行を目指します。
  • Q. 仕事への復帰はいつ頃可能ですか?
    • A. デスクワークは術後1~2週間程度、立ち仕事や重労働は骨癒合が安定する6~8週間後を目安としてください。
  • Q. 再発の可能性はありますか?
    • A. 骨格を矯正するため、再発リスクは大幅に低くなります。術後のリハビリと適切な靴選びが重要です。

関連する疾患について

  • 外反母趾
  • 内反小趾
  • 強剛母趾
  • 成人期扁平足
  • 痛風

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