ド・ケルバン病(狭窄性腱鞘炎)は、親指を動かす腱と腱鞘の摩擦によって、手首の親指側に強い痛みや腫れを引き起こす疾患です。特に手首を酷使する方や、妊娠・出産後の女性に多く見られます。痛みは慢性化しやすく、日常生活に大きな支障をきたします。薬物療法や注射などの保存療法で改善が見られない場合、この慢性的な痛みと機能障害を根本的に改善を目指せるのが腱鞘切開手術です。当グループでは、体への負担を最小限に抑え、高精度な技術を用いた日帰り手術により、早期の機能回復を目指します。

手術の適応(対象となる方)

ド・ケルバン病に対する手術治療は、特に以下のような症状や状態にある患者様を対象とします。

  • ステロイド注射や装具固定などの保存療法を一定期間試みたが、痛みが改善しない方。
  • 痛みによって、育児や家事、仕事などの日常生活動作に常に支障をきたしている方。
  • 手首の親指側を圧迫すると強い痛みが走る方(フィンケルシュタインテスト陽性など)。
  • 親指の付け根付近で腱が引っかかるような感覚や、弾発現象(ばね現象)がある方。

手術術式の選択

ド・ケルバン病の手術では、炎症で狭くなった腱鞘を安全に開放し、腱の滑りを回復させることが目的です。当グループでは、患者様の体への負担を最小限にしつつ、安全性と確実性を高めるため、主に超音波(エコー)画像を利用した低侵襲な術式を選択しています。

エコーガイド下低侵襲腱鞘切開術

この術式は、「低侵襲で最大限の効果を追求する」という当グループの治療方針に基づいています。

  • 方法: 超音波診断装置で腱や近くの神経の位置をリアルタイムで確認しながら、専用の器具を用いて狭窄した腱鞘をごく小さく開放します。
  • 適応: ほとんどのド・ケルバン病の症例に適用可能です。
  • 特徴: 皮膚を大きく切開する必要がなく、傷跡が目立ちません。手術時間が短く、エコーで神経の位置を把握できるため、神経損傷のリスクを最小限に抑えられます。

観血的(直視下)腱鞘切開術

  • 方法: 数ミリ程度皮膚を切開し、医師が直接目視で確認しながら腱鞘を切開します。
  • 適応: 腱が複数に分かれている場合(隔壁がある場合)や、腱と腱鞘の癒着が強いなど、エコーガイド下での処置が難しい特殊なケースに選択されます。

手術の詳細

ド・ケルバン病の手術は、身体的な負担が少なく、短時間で完了します。

麻酔・所要時間

  • 麻酔方法: 局所麻酔(手術部位周辺のみに麻酔)
  • 手術時間: 5分~15分程度

手術・治療手順

  1. 患部の確認: 手術前に超音波診断装置で、腱鞘の狭窄具合や近くを走る神経の位置を正確に確認します。
  2. 麻酔導入: 患部に局所麻酔を注射します。
  3. 腱鞘の開放: エコー画像で安全を確認しながら、特殊な器具を刺入し、狭窄している腱鞘を広げます。腱の動きを妨げていた圧迫を解消します。
  4. 止血・保護: 小さな創部を絆創膏などで保護し、終了します。通常、縫合は不要です。

入院・術後経過

治療形態

ド・ケルバン病の手術は、体への負担が非常に少ないため、日帰り(外来)手術で実施します。

術後経過

術直後の管理

手術後は安静な場所で休んでいただき、異常がないことを確認してからご帰宅いただきます。

退院後の注意点と回復目安

  • 入浴・シャワー: 抜糸が不要な術式の場合、多くの場合、当日から患部を含めてシャワーや入浴が可能です。
  • 創部ケア: 抜糸や頻繁な通院での消毒はほとんど必要ありません。
  • 日常生活復帰: 痛みが引くにつれて、すぐに日常生活上の軽作業は再開できます。
  • 運動・重労働復帰: 痛みが解消した後、再発予防を目的としたリハビリテーションを開始します。完全な機能回復と運動への復帰には通常2~4週間程度を要します。

期待される効果

手術によって炎症の原因が根本的に解消されるため、早期に手の機能回復と生活の質の向上につながります。

  • 痛みの根治: 腱鞘の圧迫が解消され、長期間悩まされていた痛みの大幅な改善が期待できます。
  • 機能の改善: 親指や手首の引っかかり感や動かしにくさが解消され、スムーズに動かせるようになります。
  • 日常生活の質の向上: 痛みから解放され、育児、家事、仕事など、制限されていた活動への早期復帰が可能になります。
  • 傷跡の目立たない回復: 低侵襲手術により、傷跡がほとんど残りません。

手術のリスクと合併症

安全性の高い手術ですが、治療には一般的なリスクと、ド・ケルバン病特有のリスクが存在します。

一般的なリスク

  • 術後の出血、感染症、一時的な腫れや痛み。

特有のリスク

  • 神経損傷: 手術部位の近くを走行する橈骨神経浅枝を傷つけると、手の甲にしびれや感覚の異常が残る可能性があります。超音波ガイド下で神経の位置を正確に把握することで、このリスクを抑えます。
  • 再発・癒着: 稀に腱鞘の開放が不十分であったり、術後に腱が周囲の組織と癒着したりすることで、痛みが再発する可能性があります。
  • 複合性局所疼痛症候群(CRPS): 術後の痛みが極めて強く慢性化する、稀な合併症です。

費用について

ド・ケルバン病に対する腱鞘切開術は、日本の公的医療保険が適用される保険診療です。

治療費用の目安

腱鞘切開術は外来手術として実施され、健康保険3割負担の方の場合の概算費用は、6千円~7千円程度です。この費用には、手術前の検査費用や術後の投薬代などは含まれておりません。

制度のご案内

医療費の自己負担額が高額になった場合、高額療養費制度の適用についてご相談いただけます。また、確定申告時には医療費控除の対象となりますので、ご不明な点はお気軽にスタッフにご相談ください。

当グループでのド・ケルバン病治療の特徴

アレックスメディカルグループは、スポーツ整形外科専門クリニックグループとして、手術(Arthroscopy)、リハビリテーション(Rehabilitation)、運動療法(Exercise)の3分野を統合し、患者様の完全復帰をサポートします。

1. 低侵襲へのこだわりと高精度な手技

当グループは、関節鏡視下手術で培った「最小限の侵襲で最大限の効果を追求する」という方針を徹底し、ド・ケルバン病手術においても低侵襲を徹底します。手術では、超音波装置を用いて患部の腱や神経の位置を正確に把握しながら処置を行います。これにより、神経損傷などの合併症のリスクを最小限に抑え、傷跡が目立たず、早期に日常生活へ復帰することが可能です。

2. 知識と計測に基づいたリハビリテーション(R)

手術後は、痛み緩和と機能回復、再発予防を目的とした専門的なリハビリテーションを開始します。理学療法士が、ド・ケルバン病の原因となった動作習慣を見直し、病態に合わせた最適なプログラムを提供します。手術を担当した医師とリハビリ担当者が密接なチーム連携により、回復に向けた管理体制を構築しています。

3. 運動療法(Ex)による根本的な再発予防

腱鞘炎は再発しやすいため、当グループでは理学療法士に加え、トレーナーやアスレティックトレーナーが連携し、運動療法による再発予防を目指します。医師・理学療法士とトレーナーが連携し、リスク管理のもとで、手首に負担をかけない身体の使い方や筋力強化を行い、完全復帰からその後の健康維持までサポートします。

よくあるご質問

Q. 手術は痛いですか?

A. 手術は局所麻酔下で行うため、術中に痛みを感じることはありません。術後の痛みも内服薬でコントロール可能です。

Q. 術後すぐに手は使えますか?

A. 手術当日から、着替えや食事など、日常生活上の軽作業は可能です。重労働については、リハビリの進行に合わせて段階的に再開します。

Q. 抜糸のために通院が必要ですか?

A. 当グループで主に行っている低侵襲手術は、切開が非常に小さいため、通常、縫合や抜糸は不要です。頻繁な傷の消毒のための通院も必要ありません。

関連する疾患について

  • ガングリオン
  • 手根管症候群
  • 橈骨遠位端骨折
  • 弾発指(ばね指)
  • 上腕骨外側上顆炎

対応クリニックのご紹介

東京エリア

埼玉エリア

長野エリア

先進治療
WEB予約WEB予約
LINE公式LINE公式