外側上顆炎(テニス肘)鏡視下/開放術
外側上顆炎(がいそくじょうかえん)は、一般的に「テニス肘」と呼ばれる疾患で、肘の外側の腱組織に繰り返し負担がかかることで変性や微細な損傷が生じ、慢性的な痛みを引き起こす病態です。この痛みは、タオルを絞る、重いものを持つといった日常の動作で顕著に現れ、生活の質を低下させます。通常は保存療法が長期に行われますが、症状が改善しない場合や痛みが強い場合は、痛みの根本原因である傷んだ腱組織を取り除く外科的治療を検討します。当グループでは、体への負担が少ない最新治療から確実性の高い手術法まで、患者様に最適な治療を選択し、早期復帰をサポートします。
治療の適応(対象となる方)
外側上顆炎に対する外科的治療は、主に病状が進行し、特に以下のような症状や状態にある患者様を対象とします。
- 保存療法(薬、注射、リハビリテーションなど)を6ヶ月以上継続したにもかかわらず、痛みの改善が見られない方。
- 日常生活動作で強い痛みが継続し、仕事や家事に著しい支障をきたしている方。
- スポーツ活動や仕事の継続が困難となっている方。
- 画像検査で、肘の腱組織に広範囲な明確な変性や損傷が確認されている方。
治療術式の選択
患者様の腱の傷んだ程度、症状の重さ、そして早期復帰の希望を総合的に考慮し、最適な術式を選択します。当グループでは、最小限の侵襲で最大限の効果を追求する治療方針を採用しています。
術式選択の基本的な考え方
私たちは、可能な限り周囲の正常な腱組織や筋肉を温存し、変性した病変部位のみを正確に除去することで、最小限の侵襲で最大限の治療効果を発揮することを目指します。
1. 低侵襲治療:経皮的腱切除術(TENEX)
TENEX(テネックス)は、超音波技術を活用し、傷んだ腱組織のみを選択的に除去する低侵襲な治療法です。
- 適応: 腱の変性が限局的で、早期に日常生活や仕事への復帰を強く希望される方。
- 方法: 高精度の超音波診断装置で痛みの原因となっている傷んだ部分を特定します。その後、特殊な治療機器を数ミリの小さな穴から挿入し、超音波の振動を利用して傷んだ組織を吸引除去します。
- 特徴: 傷口が非常に小さく、回復が早い。多くの場合、日帰り(外来)治療として実施可能です。
2. 鏡視下または開放による腱切除・修復術
- 適応: 腱の病変が広範囲に及んでいる、あるいは肘関節内に滑膜炎や軟骨片などの合併症が認められる場合。
- 方法: 関節鏡(内視鏡)または小さな切開を用いた開放術により患部にアプローチし、病変を直接確認しながら変性した腱組織を確実に切除・修復します。
- 特徴: 確実な病変除去と、合併症への同時対応が可能。重度の病態の改善に有効です。
治療の詳細
外側上顆炎に対する外科的治療は、患者様の身体的負担を抑えつつ、確実な処置を行うよう計画されます。
麻酔・所要時間
- 麻酔方法:
- TENEXなどの低侵襲治療の場合: 患部のみに麻酔をかける局所麻酔が一般的です。
- 鏡視下/開放術の場合: 伝達麻酔または全身麻酔が選択されます。
- 所要時間:
- TENEXの場合: 15分~30分程度。
- 鏡視下/開放術の場合: 30分~60分程度。
手術・治療手順 (TENEXを例に)
- 麻酔と位置特定: 局所麻酔後、高精度の超音波診断装置で病変部の位置を正確に確認します。
- 変性組織の除去: 特定した変性部に数ミリの小さな穴を開け、治療機器を挿入します。超音波振動と吸引機能を用いて、傷んだ組織のみを除去します。
- 終了と創部保護: 治療完了後、小さな創部を保護して終了となります。
入院・術後経過
術後の管理とリハビリテーションは、傷んだ腱組織の回復と機能を取り戻すために非常に重要です。
入院期間
- 経皮的腱切除術(TENEX): 身体への負担が極めて少ないため、多くの場合、日帰り手術(外来治療)として実施されます。
- 鏡視下/開放術: 標準的な入院期間は3日間程度です。
術後経過
術直後(固定期間)の管理
術後約1〜4週間は、シーネや装具を用いて患部の安静を保ち、保護します。この期間は、創部の感染予防と痛みの管理を行います。
退院後のリハビリと復帰の目安
機能回復のため、専門スタッフによるリハビリテーションを段階的に進めます。
| 術後期間 | 主なリハビリテーションと活動目安 |
| 術後~約4週間 | 固定期間。患部に負担をかけないよう安静を保ちます。 |
| 術後1〜2ヶ月 | 固定を外し、肘関節の可動域訓練を開始。日常生活の動作が自由になります。 |
| 術後3ヶ月〜 | 患部周囲の筋力強化を開始。段階的な運動を実施します。 |
| 術後6〜8ヶ月 | 筋力と柔軟性が回復し、競技スポーツや重労働などの元の活動レベルへの完全復帰を目指します。 |
期待される効果
手術によって痛みの原因となっている変性組織を取り除き、専門的なリハビリテーションを行うことで、以下の効果が期待されます。
- 長年にわたる慢性の痛みの根本的な解消。
- タオルを絞る、物を持つといった日常生活動作の改善。
- スポーツ・仕事の活動レベルへの制限のない復帰。
治療のリスクと合併症
外側上顆炎の治療は安全に行われますが、外科的な処置には、以下のリスクや合併症がごく稀に生じる可能性があります。
- 一般的なリスク:
- 感染: 創部や深部に細菌が侵入し、炎症を起こす可能性。
- 出血: 術後に出血が起こる可能性。
- 疼痛: 術後に痛みが残る可能性。
- 特有のリスク:
- 神経損傷: 肘関節周囲を通る神経の刺激や損傷により、一時的または永続的なしびれや麻痺が生じる可能性。
- 関節拘縮: 術後の安静期間やリハビリ不足により、肘関節の動きが制限されてしまう可能性。
- 遺残痛・再発: ごく稀に変性組織の取り残しにより痛みが残る、または復帰後の過度な負荷により再発する可能性。
費用について
外側上顆炎の外科的治療は、公的医療保険が適用される保険診療です。
- 保険適用: 公的医療保険が適用されます。
- 自己負担額の目安(3割負担の方):
- 最新の低侵襲な経皮的腱切除術(TENEX/日帰り):概算で22万円程度です。
- 鏡視下関節滑膜切除術など、入院を伴う肘関節の手術の場合(3日間入院):概算で12万円~18万円程度です。
- 高額療養費制度: 手術が決まった時点で事前に手続きを行うことで、医療費の自己負担額が一定の上限額に抑えられる「高額療養費制度」をご利用いただけます。この制度や医療費控除についても、ご遠慮なく窓口にご相談ください。
当グループでの外側上顆炎治療の特長
アレックスメディカルグループは、外側上顆炎の治療において、手術からリハビリ、再発予防に至るまでを一貫して管理する専門家チームによる治療を提供しています。特に「Arthroscopy(鏡視下/低侵襲治療)」「Rehabilitation(リハビリテーション)」「Exercise(運動療法)」の三分野を重視することで、患者様の早期かつ完全な復帰を強力にサポートします。
1. 最小限の負担で最大限の効果を追求
低侵襲な治療法を選択することで、患者様の体への負担を最小限に抑え、回復のスピードを最大化します。
- 最新技術の採用: TENEXなどの低侵襲治療を積極的に採用し、皮膚切開を最小限に抑え、術後の痛みや筋力低下のリスクを大幅に軽減します。
- 高精度な診断と処置: 治療前の超音波診断や術中のガイドを駆使し、1mmの精度にこだわって傷んだ組織のみを正確に処理します。
2. 専門チームによるリハビリ管理
単に痛みを取るだけでなく、肘関節の機能回復と再発予防のための身体づくりを目指します。
- チーム連携: 手術を執刀した医師とリハビリテーション専門の理学療法士が密に連携し(月1回カンファレンス)、患者様の病状や回復度に応じた最適なリハビリテーションプログラムを作成・管理します。
- 正確な運動指導: 超音波診断装置などを用いて患部の状態を確認しながら、安全かつ正確な運動指導を行い、関節の動きの硬さ(拘縮)の予防と、機能の段階的な回復を確実に促します。
3. 再発を防ぐための専門的な運動プログラム
元の活動レベルに戻るだけでなく、再発しない強い身体を手に入れることを目標に、治療後のサポートを行います。
- 専門スタッフ体制: 理学療法士に加え、スポーツトレーナーやアスレティックトレーナーが在籍しています。
- リスク管理と再発予防: 医師・理学療法士とトレーナーが連携し、科学的根拠に基づいた再発予防のためのトレーニングを提供します。保険診療終了後も、継続的なサポート体制で完全復帰とその後の健康維持を支えます。
よくあるご質問
- Q. 手術後のリハビリはどのくらい続きますか?
- A. 腱組織がしっかりと治り、筋力が回復するのに必要な期間として、一般的には6ヶ月から8ヶ月程度の専門的なリハビリテーションと運動プログラムを推奨しています。痛みがなくなり、元の活動レベルに戻るまでサポートします。
- Q. 低侵襲治療(TENEX)のメリットは何ですか?
- A. 傷が数ミリと小さく、術後の痛みが少なく、回復が早いため、多くの場合、入院せずに日帰りで治療を受けられることです。早期の日常生活復帰を強く希望される方には最適な選択肢の一つです。
- Q. 手術後、痛みが再発する可能性はありますか?
- A. 痛みの原因である傷んだ組織を除去するため、根治性は高い治療ですが、復帰後に不適切なフォームや過度な負荷をかけ続けた場合、再発のリスクはゼロではありません。当グループでは、再発予防に特化した運動プログラムを通じて、このリスクを最小限に抑えることを目指します。
関連する疾患について
外側上顆炎(テニス肘)の治療に関連する、肘関節・上肢の疾患には以下のものがあります。
- 上腕骨内側上顆炎
- 肘外側側副靭帯損傷(LCL)
- 肘内側側副靭帯損傷(MCL)
- 肘後方衝突症候群
- 肘頭滑液包炎
- 肘部管症候群
- 野球肘
- 上腕二頭筋腱損傷・断裂
対応クリニックのご紹介
当グループの専門的な外側上顆炎治療(手術・リハビリ)に対応可能なクリニックは以下の通りです。