surgery

肩鎖関節脱臼の靭帯再建

肩鎖関節脱臼は、鎖骨と肩甲骨をつなぐ関節が、転倒やスポーツなどによる強い衝撃で外れてしまう怪我です。

この関節の安定性は、主に烏口鎖骨靭帯によって保たれています。軽度の損傷(I型、II型)では靭帯の部分的な損傷にとどまるため、多くの場合、手術をしない保存療法で治療します。しかし、烏口鎖骨靭帯まで完全に断裂してしまう重度の脱臼(III型、IV型、V型、VI型)では、肩の安定性が大きく失われます。

靭帯再建術は、重度の脱臼により不安定になった肩鎖関節を根本から安定させ、肩の機能と外観を確実に取り戻すための専門的な治療法です。

治療の適応(対象となる方)

靭帯再建術は、不安定性が高く、日常生活やスポーツ活動に支障をきたしている方を対象とします。

肩鎖関節脱臼では、重症度によって手術の必要性が判断されます。

  • 保存療法が適用される重症度:
    • I型(捻挫)、II型(亜脱臼)など、烏口鎖骨靭帯の損傷が部分的な場合。
  • 靭帯再建術が推奨される重症度:
    • III型、IV型、V型、VI型といった、烏口鎖骨靭帯が完全に断裂し、鎖骨が上方に大きく飛び出している(完全脱臼)状態。

特に治療が推奨される方

肩鎖関節脱臼の靭帯再建術は、特に以下のような症状や状態にある患者様を対象とします。

  • 重度の脱臼(III型以上)と診断された方。
  • 鎖骨の外側が階段状に突出しており、押すと上下に動く(ピアノキーサイン)変形がある方。
  • 若年者やスポーツ選手、仕事で肩に高い負荷がかかるなど、活動性が高い方

治療術式の選択

本治療の目的は、断裂した烏口鎖骨靭帯の機能を長期にわたり安定して復元することです。

当グループでは、再断裂のリスクを最小限に抑え、身体への負担を軽減できる最小侵襲的な手法を選択しています。

  • 方法の概要:
    • 患者様ご自身の腱(自家腱)や、人工の素材を用いて、断裂した烏口鎖骨靭帯の代わりとなる強固な組織を新しく設置します。
    • 特殊な固定具(エンドボタンなど)を使用し、鎖骨と肩甲骨の烏口突起を強固に連結し直すことで、失われた安定性を確実に復元します。
  • 特徴:
    • 確実な固定により、早期からの段階的なリハビリテーションが可能となり、早期の機能回復を目指せます。

治療の詳細

麻酔・所要時間

  • 麻酔方法:
    • 手術中は、痛みを完全に取り除く全身麻酔を基本とします。
    • 術後の痛みを和らげ、快適に回復いただくために、肩の神経周辺に麻酔薬を注入する神経ブロックを併用します。
  • 手術時間:
    • 損傷の程度によって異なりますが、一般的には1時間から2時間程度です。

手術手順

当グループでは、組織へのダメージを抑える最小侵襲的な手法で行います。

  1. 関節の整復: 上方に飛び出した鎖骨を、正しい位置へと正確に戻します。
  2. 骨トンネルの作成: 鎖骨と烏口突起に、再建靭帯を通すための細い穴(骨トンネル)を慎重に作成します。
  3. 靭帯の設置と固定: 骨トンネルを通して再建用の腱などを通し、特殊な固定具で鎖骨と烏口突起を力学的に強固に固定します。

入院・術後経過

入院期間の目安と術後管理

  • 入院期間:
    • 再建部位の保護と早期リハビリテーションの導入のために入院が必要です。肩関節の類似手術に基づき、標準的な入院期間は4日〜5日間程度が目安となります。
  • 術後経過:
    • 入院中の管理: 疼痛管理、創部の清潔保持、再建部位の保護(装具固定)を行います。
    • 退院後の注意点:
      • 固定期間: 術後約3〜4週間は装具固定を継続し、靭帯の安静を保ちます。この期間も、専門スタッフの指導の下、肩関節が固まるのを防ぐための軽い運動を開始します。
      • 可動域回復: 術後1ヶ月以降、徐々に肩の動く範囲(可動域)を広げる訓練を開始します。
      • スポーツ復帰: 筋力回復を経て、安全なスポーツ復帰は術後6ヶ月以降を目安とします。

期待される効果

本治療により、以下の効果が期待されます。

  • 不安定性の解消による痛みや違和感の解消
  • 鎖骨の突出(階段状の変形)が改善し、見た目が整うこと。
  • 日常生活やスポーツ活動における肩の機能が回復し、生活の質が向上すること。

治療のリスクと合併症

どの手術にもリスクは伴いますが、細心の注意を払って手術を行います。

  • 一般的なリスク:
    • 出血、感染(炎症)、疼痛(痛み)。
  • 特有のリスク:
    • 再脱臼・再損傷(靭帯が完全に成熟する前に強い外力が加わった場合)。
    • 神経・血管損傷(しびれや機能障害)。
    • 固定材料が後に痛みや違和感の原因となり、材料の抜去が必要となる場合。

費用について

健康保険の適用と自己負担額の目安

本治療は公的医療保険の適用となります。健康保険証(3割負担の方)の場合の概算費用は以下の通りです。肩鎖関節靭帯再建術は複雑な肩関節手術に準ずるため、類似手術の費用を参考にしてください。

  • 自己負担額(概算):
    • 入院期間4〜5日間で、22万円〜40万円程度が目安となります。
    • この金額は、治療内容や使用する固定具、入院期間によって前後します。

高額療養費制度について

高額な手術治療の場合、医療費の自己負担額を軽減する高額療養費制度をご利用いただけます。事前にご加入の医療保険へ申請手続きをしていただくことで、窓口での支払いが所得に応じた上限額までとなり、経済的な負担を軽減することが可能です。また、医療費控除についてもご相談いただけます。

当グループでの治療の特徴

アレックスメディカルグループは、スポーツ整形外科の専門クリニックグループとして、Arthroscopy(関節鏡視下手術)、Rehabilitation(リハビリテーション)、Exercise(運動療法)の3分野を重視し、患者様の完全復帰を目標としています。

  • 負担の少ない低侵襲手術:
    • 最小限の侵襲で最大限の効果を追求する手術手法を積極的に採用しています。傷が小さく、術後の痛みや筋力低下のリスクを抑えることで、回復の早期化を目指します。
  • 完全復帰を支えるチーム医療:
    • 手術を行う医師と、経験豊富な理学療法士が連携し、病態に合わせた最適なリハビリプログラムを作成・実行します。
  • 再発予防を目指す運動療法:
    • 理学療法士に加え、トレーナーやアスレティックトレーナーが在籍し、科学的根拠に基づいたトレーニングを実施します。リスク管理のもと、再発予防はもちろん、競技復帰に必要な身体づくりをサポートします。

よくあるご質問

Q. 手術は痛いですか?

 A. 手術中は全身麻酔下で行うため、痛みを感じることはありません。術後も神経ブロックや適切な鎮痛剤を用いて、痛みをコントロールし、できる限り快適に過ごしていただけるよう努めます。

Q. スポーツ復帰の時期はいつ頃ですか? 

A. 靭帯が骨に強固に癒合し、筋力が回復するまで時間が必要です。損傷の程度やリハビリの進行具合によりますが、安全なスポーツ復帰は術後6ヶ月以降を目安としています。

Q. 入院する際、保証金は必要ですか? 

A. 入院の際には保証金として3万円をお預かりしております。こちらは退院時のご請求時に精算させていただきます。

関連する疾患について

  • 肩関節脱臼
  • 鎖骨骨折
  • 腱板損傷・断裂

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