surgery

内側/外側側副靭帯(MCL/LCL)修復・再建

膝関節の内側側副靭帯(MCL)または外側側副靭帯(LCL)は、膝が横方向へぐらつくのを防ぐ重要な役割を担っています。スポーツ中の接触やひねりによって靭帯が重度に損傷(断裂など)すると、膝の安定性が失われ、歩行やスポーツに大きな支障をきたします。不安定さが続くと、将来的に膝の軟骨を傷つけ、変形性膝関節症のリスクも高まります。内側/外側側副靭帯(MCL/LCL)修復・再建術は、不安定になった膝を再び安定させ、痛みを解消し、活動的な生活への復帰を目指す根本的な治療方法です。

治療の適応(対象となる方)

側副靭帯の損傷は軽度であれば保存療法が適用されますが、修復・再建治療は、特に以下のような症状や状態にある患者様を対象とします。

  • 重度の損傷がある方: 医師の診察や画像検査によって、靭帯が完全に断裂している(Grade 3損傷など)と診断された方。
  • 膝の不安定性が継続している方: 靭帯の損傷により膝関節が横方向に大きくグラついており、日常生活やスポーツ時に支障をきたしている方。
  • 保存療法で改善が見られない方: 装具の装着や専門的なリハビリテーションを数ヶ月続けても、膝の不安定性や痛みが改善しない方。
  • 他の重要な組織の損傷を伴う方: 前十字靭帯(ACL)や半月板など、他の組織と同時に重度の損傷を負っており、膝全体の安定化を図るために手術が必要な方。

手術術式の選択

MCL/LCLの治療では、損傷の程度(急性期か慢性期か)、および膝の他の組織の損傷の有無を詳しく評価し、最適な手術方法を選択します。

主に、損傷した靭帯を「縫い合わせる修復術」と、他の部位から採取した腱で「新しい靭帯を作り直す再建術」の2つを使い分けます。

修復術(元の靭帯を縫合する方法)

  • 適応: 損傷後比較的早期(急性期)で、元の靭帯組織が良好な状態で残っており、縫合によって安定機能が回復すると期待される場合。
  • 方法: 損傷した靭帯の断裂部を直接縫合し、必要に応じて特殊な器具や縫合糸で補強を行います。
  • 特徴: ご自身の靭帯を温存できるため、体への負担が少なく、比較的早期の治癒を目指せます。

再建術(腱を移植して新しい靭帯を作る方法)

  • 適応: 損傷から時間が経過し(慢性期)、元の靭帯組織が弱くなったり欠損して修復が困難な場合、または不安定性が極めて大きい複合損傷の場合。
  • 方法: 患者様ご自身の他の部位の腱(主にハムストリング腱など)を採取し、移植材として使用します。この腱を、本来の靭帯の付着部に合わせて骨に固定し、強固な新しい靭帯を作り直します。
  • 特徴: 膝の安定性を強力に回復させることができ、慢性的な不安定性に非常に有効です。

手術の詳細

麻酔・所要時間

  • 麻酔方法: 一般的に、腰椎麻酔(下半身麻酔)と全身麻酔を組み合わせて行われます。手術中に痛みを感じることはありません。
  • 手術時間: 損傷の程度や選択した術式によりますが、通常60分~120分程度です。

手術手順

  1. 術前準備と麻酔導入: 患者様の状態を確認した後、麻酔を導入します。
  2. 靭帯へのアプローチ: 損傷部位に合わせて皮膚を切開し、損傷した靭帯の状態を確認します。
  3. 修復または再建: 選択した術式に基づき、靭帯の縫合固定、または採取した腱の移植・固定を正確に行います。
  4. 安定性の確認と縫合: 膝の安定性を確認した後、傷口を丁寧に縫合して手術を終了します。

入院・術後経過

入院期間

  • 標準的な入院期間: 5日間程度です。
    • ※治療内容やリハビリの進捗により、入院期間は前後することがあります。

術後経過

入院中の管理

  • 疼痛管理: 術後の痛みを適切に和らげ、早期からのリハビリテーションに備えます。
  • 創部管理: 手術の傷口を観察し、感染の予防に努めます。
  • 早期リハビリ開始: 術後1~2日目から理学療法士の指導の下、膝の動く範囲を広げる訓練や、筋力回復のための運動を開始します。膝の安定性を保つための装具を装着して進めます。

退院後の注意点

  • 継続的なリハビリ: 膝の機能を完全に回復させるためには、退院後も外来での継続的なリハビリテーションが不可欠です。
  • 移植靭帯の保護: 再建術の場合、移植した腱は手術後約6~8週間が最も強度が弱い時期にあたります。この期間は、医師と理学療法士の指示に従い、無理な負荷や膝をひねる動作は避けてください。
  • スポーツ復帰: 本格的な競技への復帰は、集中的なリハビリを経て、膝の安定性が十分に確認された術後6ヶ月以降を目安としています。

期待される効果

この手術・治療により、患者様は以下の具体的な効果を期待できます。

  • 膝関節の安定性の確実な回復: 膝が横にグラつく不安定感が解消され、膝をしっかりと支える構造が回復します。
  • 痛みや不安感の解消: 不安定性に起因していた膝の痛みや、不安感が大幅に改善されます。
  • 日常生活動作の改善: 不安なく歩行、階段昇降などが可能となり、活動的な日常生活を取り戻せます。
  • 運動機能の回復: 適切なリハビリテーションを完遂することで、受傷前と同等、またはそれに近いレベルでのスポーツ活動への復帰が可能です。

手術のリスクと合併症

どのような手術にもリスクは伴います。

一般的なリスク

  • 出血や感染症: 手術部位からの出血や細菌による感染。
  • 深部静脈血栓症: 足の血管に血の塊ができ、肺塞栓症に至るリスク。
  • 麻酔に伴う合併症: 麻酔薬に対する予期せぬ反応など。

治療に特有のリスク

  • 膝関節の硬さ(可動域制限): 術後のリハビリが不十分であったり、炎症が強く生じたりすると、膝の曲げ伸ばしが十分にできなくなることがあります。
  • 再損傷・不安定性の残存: 術後のリハビリ期間中に無理な負荷をかけることによる再損傷、またはわずかな不安定性が残る可能性があります。
  • 移植腱採取部の痛み・感覚の異常: 再建術で腱を採取した部位に、一時的な痛みや、皮膚の感覚が鈍くなることが稀にあります。

費用について

MCL/LCL修復・再建術は、公的医療保険(健康保険)の適用となる治療です。

  • 入院期間の目安: 5日間程度
  • 概算自己負担額(3割): 27万円~40万円程度(※合併損傷含む)

上記は、健康保険3割負担の方の場合の概算費用であり、治療内容や合併する損傷の有無、使用する医療材料によって金額は変動します。

手術費用が高額になった場合でも、「高額療養費制度」の適用を受けることができます。事前に加入の医療保険に手続きをしていただくことで、入院中(または退院時)の支払い金額が自己負担限度額までで済みます。また、確定申告で「医療費控除」の対象にもなりますので、ご不明な点は当グループの事務担当にご相談ください。

当グループでの治療の特長

アレックスメディカルグループ(AR-Ex)は、スポーツ整形外科を専門とし、膝関節の側副靭帯損傷に対して、高度な専門知識と連携体制に基づいた治療を提供しています。

1. 専門医による正確な診断と治療計画

スポーツ整形外科を専門とする医師が、患者様一人ひとりの損傷や活動レベルを詳細に評価します。膝の安定性を回復させるだけでなく、長期的な膝の健康を維持し、完全復帰を目指すための最適な治療計画を立てます

2. 低侵襲性を追求した手術手技

患者様の身体的な負担や術後の痛みを軽減するため、関節鏡視下手術などの低侵襲な手術手技を積極的に採用しています。正確な診断と1mmの精度にこだわった処置により、傷が小さく、術後の回復が早いことが特長です。

3. 徹底したリハビリテーションとチーム連携

手術後のリハビリテーションは不可欠です。当グループでは、手術を行う医師と専門の理学療法士、トレーナーが連携し、術後の管理を行います。科学的根拠に基づいた緻密なリハビリテーションプログラムにより、移植靭帯が最も弱い時期を安全に乗り越え、早期かつ確実な機能回復をサポートします。

4. 複雑な複合損傷への包括的な対応

MCL/LCL損傷は、前十字靭帯や半月板など他の重要な組織の損傷と合併することがあります。当グループでは、一つの手術で複数の損傷を同時に修復・再建し、膝全体の安定性を包括的に回復させる複雑な治療にも高いレベルで対応可能です。

よくあるご質問

  • Q. 手術は痛いですか?
    • A. 手術中は麻酔下で行うため、痛みを感じることはありません。術後も、痛み止めを適切に使用して痛みをコントロールしますのでご安心ください。
  • Q. 入院期間はどれくらいですか?
    • A. 標準的な入院期間は5日間程度ですが、回復状況やリハビリの進捗により、数日間の調整を行う場合があります。
  • Q. スポーツに復帰できるのはいつ頃ですか?
    • A. 復帰時期には個人差がありますが、本格的な競技への復帰は、集中的なリハビリを経て、膝の安定性が十分に確認された術後6ヶ月以降を目安としています。

関連する疾患について

内側/外側側副靭帯(MCL/LCL)修復・再建術は、膝関節の安定化に関わる以下の疾患・症状と深く関連しています。

  • 膝関節内側側副靭帯損傷(MCL)
  • 膝関節外側側副靭帯損傷(LCL)
  • 膝半月板損傷
  • 膝関節前十字靭帯損傷(ACL)
  • 膝関節後十字靭帯損傷(PCL)
  • 変形性膝関節症

対応クリニックのご紹介

本治療に対応可能な当グループのクリニックをご紹介します。

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