歩くときに膝が抜ける
こんな症状はありませんか?
歩いているときや階段を降りるときに、急に膝の力が抜けて「ガクッ」と折れてしまいそうになる—。このような症状は、医学的には「膝崩れ(ひざくずれ)」と呼ばれています。これは単なる気のせいや疲労ではなく、膝関節の安定性が失われているサインです。以下のような状況で不安定感を感じる場合、専門医への相談をおすすめします。
- 平坦な道や階段を降りるときに、予期せず膝が折れてしまうような感覚がある。
- スポーツ中、急な方向転換や着地をした際に、膝がグラつく、または外れそうな感じがする。
- 膝の中に、常に「頼りない」「不安定」な感覚がある。
- 膝を動かす際に、何かが挟まったような引っかかり感があり、急に動かせなくなることがある(ロッキング現象)。
この症状が考えられる主な原因
「膝が抜ける」という症状は、膝関節を安定させる機能が損なわれることで起こります。特に、安定性の欠如には以下の二つの重要な構造の損傷が関与していることが多くあります。
靭帯の損傷(ストッパーの故障)
膝関節は、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)を強固につなぎ、膝が前後にズレたり、過度にねじれたりするのを防ぐ靭帯があります。
- 特に前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)は、膝の中心で脛骨が前方にずれるのを防ぐ「強力なストッパー」の役割を果たしています。
- スポーツ中のジャンプの着地や急な方向転換、接触プレーなどによりこの靭帯が損傷すると、膝の安定性が失われストッパーが利かなくなり、膝がグラつく、または膝が抜けてしまう不安定感となって現れます。
半月板の損傷(クッションと安定板の劣化)
半月板は、大腿骨と脛骨の間にあるC字型の軟骨で、膝にかかる衝撃を吸収する「クッション」の役割と、関節の動きをスムーズにする「安定板」の役割を持っています。
- 激しい運動や加齢によるねじれなどで半月板が傷つくと、これらの機能が低下し、関節の動きが不安定になります。
- 損傷した半月板の破片が関節の間に挟まると、急激な痛みとともに、膝の曲げ伸ばしができず引っかかり(ロッキング現象)を引き起こすことがあります。
これらの組織の損傷は、自己修復が難しく、放置すると将来的に軟骨のすり減りを早め、将来的に変形が進み日常生活への大きな障害に繋がります。正確な診断のためにも、症状が続く場合は専門の医療機関を受診することが大切です。
症状に関連する疾患
「歩くときに膝が抜ける」という症状は、膝の安定性を担う組織に問題が生じているサインであり、特に以下の病気が考えられます。
- 変形性膝関節症: 加齢や過去の怪我の影響で、膝のクッションである軟骨がすり減り、関節が変形する病気です。軟骨のすり減りが進行すると関節の土台そのものが不安定になるため、歩行時などに膝崩れが起こりやすくなります。
- 半月板損傷: 膝の衝撃を吸収する半月板が、スポーツや日常生活での負荷により傷ついた状態です。損傷した組織が関節に挟まることで、急な痛みや引っかかり感、ロッキングの原因となります。
- 前十字靱帯損傷(ACL): 膝が前方にズレるのを防ぐ重要な靭帯が切れてしまう怪我です。この靭帯の機能が失われると、膝がグラつきやすくなり、膝崩れの症状が顕著に現れます。
併せて見られる関連症状
膝崩れの原因が靭帯や半月板の損傷、あるいは関節の炎症にある場合、不安定感以外にも以下のような症状が同時に現れることがよくあります。
- 膝の痛みと腫れ: 急性外傷では、関節の中に炎症による(関節液)や血腫が溜まり、膝が腫れることが多くあります。
- 関節の引っかかり感(ロッキング): 膝を曲げ伸ばししようとした際、特定の角度で急に動かせなくなってしまう症状です。特に半月板損傷で多くみられます。
- 関節の異音: 膝を動かしたときに「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が鳴る場合、軟骨がすり減り、骨同士が直接擦れ合っていることを示唆しており、変形性膝関節症が進行しているサインである可能性があります。
これらの症状は、関節内で深刻な問題が起きていることを示しています。複数の症状が複合的に見られる場合は、放置せずに早めに専門的な検査を受けることが重要です。
「膝が抜ける」サインを見逃さないでください
「歩くときに膝が抜ける」という症状は、単なる疲れや筋力不足と見過ごされがちですが、膝関節内部の靭帯や半月板といった重要なに問題が起きているサインです。
不安定な膝を放置し、だましだまし使い続けると、軟骨に負担がかかり、将来的に変形性膝関節症へ進行するリスクが高まります。症状を長引かせず、将来の膝の健康を守るためには、自己判断せず、専門的な視点から正確な診断を受け、適切な治療を早期に始めることが非常に重要です。私たちは、患者様が安心して歩ける生活をサポートいたします。