扁平足障害
扁平足障害とは
足部には、重心の安定性を高め、歩行時の蹴りだす力を増し、さらに衝撃を吸収する働きがある「アーチ」という構造があります。縦アーチ(内側・外側)と横アーチがあり、土踏まずの形状もこのアーチによって作られています。正常なアーチは地面からの衝撃を効率よく吸収していますが、アーチが崩れることにより地面からの衝撃が足に大きくかかり、歩行や運動の繰り返しにより足関節周囲に痛みが生じることがあります。
原因
最も多い原因として、足関節の内側を通る後脛骨筋という筋肉があります。後脛骨筋は内側縦アーチの保持に大きく関与するため、後脛骨筋の機能不全が問題になりやすく、扁平足障害の約80%に見られると言われています。
この筋肉の障害は、怪我などの外傷によって起きることは少なく、筋力が低下した状態での歩行や走行による繰り返しの機械的ストレスや、高血圧や糖尿病による血流障害によっても起きると言われています。
症状
足のアーチ構造が崩れてしまうと、地面からの衝撃吸収能力が低下することにより足全体の負荷が大きくなります。すると、足が疲れやすくなる、足の裏や甲が痛くなる、また合併症として外反母趾などの症状が出てきます。また、負荷が大きくなるのは足関節だけではなく、膝関節や股関節、腰部にも負荷が大きくなり他の関節に痛みが出ることもあります。
足のアーチは重心移動やバランス能力にも大きく影響しているため、重心移動がスムーズに行えなくなることや、バランス能力が低下するなど動作での問題も大きくなります。
診断
歩行や運動に伴った足底部の痛みや腫れを認めます。また、立位による足のレントゲン画像でアーチの低下を認めます。
扁平足の評価は以下のものがあります。
扁平足の評価(FPI-6)
アーチの高さと形態を視診する−2点:アーチは高く、後方の傾斜が急峻な角度
−1点:アーチは中等度に高く、後方の傾斜がわずかに急な角度
0点:アーチの高さは普通でアーチ前後の傾斜は等しい
1点:アーチは低く、中心部分がいくぶん平坦化している
2点:アーチは非常に低く、中心部分が重度に平坦化しており、床と接する
リハビリでは理学療法士が足のアーチの高さや形態を評価します。主に上の表の得点で分類されるのは以下のような形態です。
扁平足の評価(Navicular Drop Test)
座位と立位で舟状骨の高さがどれくらい変化するかを調べ、内側縦アーチの柔軟性を評価する【座位での舟状骨高(mm)-立位での舟状骨高(mm)】
正常:6〜9mm異常:10mm以上→足部の柔軟性が過度であると判断できる
リハビリではこのように足の状態を評価し、どのような理由で患部に対してが生じて痛みが発生しているかを考えながら治療をしていきます。
治療
足のアーチが低下する原因として、後脛骨筋の機能低下や、足趾の筋力低下が考えられるため、それに対し筋力トレーニングを行っていきます。また、アーチサポート機能のある中敷(インソール)も有効です。インソールを使うことで、本来のアーチ機能をサポートし足部にかかる負担を軽減します。
当院では足形を測定し、オーダーメイドのインソールを作成する事も可能ですので、お気軽にお声掛けください。
後脛骨筋トレーニング
椅子に座ってトレーニングしたい方の足にゴムチューブをかけます。かけたゴムチューブを反対の足で押さえ、足の裏ですくうように動かしてトレーニングします。足指トレーニング(タオルギャザー)
床にタオルを敷き、その上に足を置きます。足の指をグーパーするようにしてタオルを手繰り寄せます。