筋筋膜性腰痛症
筋肉の多くは骨と骨に繋がっており、筋肉が収縮することでその間にある関節を動かすことができます。そのため、様々な動作を行うためには筋肉が必要です。
腰の周囲にも多くの筋肉が存在します。 一般的に背筋と呼ばれる筋肉は、脊柱起立筋(図1)という筋肉です。 この脊柱起立筋が働くことで腰を反らす動作が行え、背中が曲がらず、まっすぐに立つことができます。
(図1 脊柱起立筋)
筋肉の周りや皮膚の下には、筋膜と呼ばれる非常に薄い膜が張っています。(図2)
この筋膜は全身に張り巡らされており、身体を支えるひとつの要素として重要な役割を果たしています。
(図2 全身の筋膜)
背中や腰にあるも胸腰筋膜に存在する殿部の大殿筋や、腕と背中を繋広背筋といった大きな筋肉と連結背中が曲がらないように支えています。
このように身体の各筋肉は筋膜によって繋がっています。
筋膜は本来色々な方向に伸びるものですが、傷いたり、特定の筋肉が過剰に働く場合は、動きが悪くなってしまうことに加え、他の部位もその影響を受けます。
筋膜は筋肉以上に痛みを感知するセンサーの多い部分です。
そのため、持続的に動きが悪くなり、引っ張られ続けると痛みのセンサーが反応し、痛みとして感じるようになります。
このように、筋肉や筋膜によって起こる腰痛が筋筋膜性腰痛と呼ばれるものです.
この筋筋膜性腰痛は腰椎椎間板ヘルニアや脊柱菅狭窄症のようにMRIやレントゲンといった検査で診断できるものとは異なります。
そのため、専門的な診断から、他の腰の疾患をしっかりと除外し、適切な治療を行うことが重要となります。
リハビリでは、腰や背中、殿部周囲の筋肉で過剰に働き過ぎている筋肉の緊張を緩和し、逆に働きが弱く、他の部位に負担をかけている部分の筋力強化を行います。
腰の筋肉の緊張緩和

体幹の筋力強化
また、診察では医師によって動きの悪くなっている筋膜に対して注射を行う治療も行います。その際、超音波画像診断装置によって筋膜や筋肉を画面に映すことで、皮膚の下での実際の動きを確認しながら行います。動きの悪くなっている筋膜の動きを改善し、症状の緩和を図ることも可能です。