アキレス腱炎
アキレス腱炎とは
アキレス腱炎とは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)と、かかとの骨(踵骨 しょうこつ)を結ぶ強靭な腱であるアキレス腱に炎症が起きた状態のことです。
アキレス腱炎はジャンプスポーツ(陸上や剣道など)の運動選手に数多く見られます。
地面を蹴りつま先立ちになるような運動で、繰り返し負担がかかった状態で十分な回復期間を取らないと、
アキレス腱へのストレスが大きくなり、炎症が起こります。
アキレス腱炎の原因
アキレス腱は酷使されることが多く、常に小さな断裂と再生を繰り返しています。この小さな断裂がアキレス腱炎の原因と言え、運動による酷使の繰り返しと疲労の蓄積によって、小さな断裂が発生します。
この断裂が再生する過程でアキレス腱の組織が炎症を起こし、アキレス腱炎を引き起こします。
繰り返し同じ部分を使いすぎることによる疲労やストレスが加わり、更に運動後に休息を十分にとらないでいると起こりやすく、
長距離ランナーやスポーツを行う人によく見られます。
他にも加齢による腱の変性や、足に合っていない靴の使用、扁平足など足部の形状不良の方にもよく見られます。
アキレス腱炎の症状
アキレス腱炎はアキレス腱断裂と比較し軽い怪我ですが、症状として発生する痛みはアキレス腱断裂よりも頻繁に起こります。歩行やジャンプ動作など、アキレス腱を伸ばしたり縮めたりする動作を行うと、ふくらはぎからかかとのあたりにかけ痛みが生じます。
また、痛みの他に腫れを伴うのもアキレス腱炎の症状の一つで、進行していくと血行不良やしこりを引き起こす場合があります。
アキレス腱炎の診断・検査方法
痛みの出ている場所や押すと強く痛む、腫れているなどの症状の程度を確認します。また、どのような時に痛みが生じるのかを確認していきます。
画像検査では、MRI検査にて腱の状態や変性の程度、その他の疾患との確定診断を行うために、必要に応じて行っていきます。
また、超音波診断機器を使って患部に炎症や腫れが起きているかを診断し、アキレス腱炎か確定診断を行っていきます。
レントゲンでは、特に異常所見はない場合でも、超音波検査ではレントゲンでは見ることができないアキレス腱の状態を評価することが可能です。上の写真では右側のアキレス腱の下が左側と比較して黒くぼやけていることが分かります。
⇩
アキレス腱の血流を診てみます。
赤と青の色が出ています。これは組織修復のために血管が集まっていることを示します。
血流が多いほど、痛みは強くなっています。
これらの画像所見などから、アキレス腱炎と診断していきます。
アキレス腱炎の治療
第一に過度な運動を控え、安静にすることが必要です。また、ふくらはぎの硬さがアキレス腱へのストレスを増大させるため、リハビリテーションでは、ふくらはぎからアキレス腱のストレッチを行います。
電気や超音波などの物理療法や、患部をアイシングし外用剤や消炎鎮痛剤などの内服なども行っていきます。
下半身の筋力強化やランニングフォームのチェックを行い、患部への負荷がかからないようにリハビリを行っていきます。
アキレス腱炎の予防
アキレス腱炎を予防するためには、運動前後のストレッチ運動後のアイシングを行うことで炎症を防ぎます。1.下腿屈筋群のストレッチ
⬇︎タオルなどを足先にかけ、ふくらはぎから足先の筋肉を伸ばします。
【20〜30秒×3セット程度】
2.トレーニング
下記にアキレス腱に付着する足首を動かすふくらはぎの筋肉の筋力訓練を掲載しております。興味がある方は是非実施してみてください。➡︎カーフレイズ
➡︎エキセントリックカーフレイズ