肩関節周囲炎
肩関節周囲炎とは?
中年以降に起こる肩関節の拘縮(硬さ)と痛みを主症状とする機能障害の総称です。高い物を取ろうとしたときに痛くて肩が挙がらない、就寝時に痛くてなかなか寝付けないといった日常生活への影響を認めることがあります。
原因は?
肩に痛みが出る原因には腱板断裂や石灰性腱炎など明確な原因が存在する場合もあります。 当院ではレントゲンや超音波検査、MRIで腱板断裂や石灰の有無などを確認します。 これらの検査を行い、明らかな原因が無い肩の痛みを肩関節周囲炎と診断
します。 腱板断裂など明らかな原因が無い場合でも、肩周囲の筋力低下や柔軟性の低下で肩の運動に異常をきたし、関節を支持
する組織に炎症が起こり、痛みが発生します。 痛みを我慢し続けると、関節を支持するための組織が硬くなり、動きが制限されます。 また、肩の動く範囲(可動域)が狭くなるとさらに周囲の筋肉や組織が硬くなり、 日常生活に支障をきたします。(関節拘縮)
どうやって治すの?
疼痛が強い時期には消炎鎮痛剤の内服や関節内へのステロイド注射を行い、炎症を抑えて痛みの軽減を図ります。
疼痛が軽減すると、積極的にリハビリを行い可動域の改善を図ります。
リハビリだけで可動域の改善が乏しい場合は関節内へのヒアルロン酸注射を行い関節の動きを良くします。
また、日常生活動作としてポジショニングや動かし方を指導します。
就寝時に痛いときはなるべく肩関節に負担のかからない楽な姿勢にすることが
重要です。(例:枕を腕の下に入れる、腋に挟む等)
それでも改善しない場合は?
保存療法を実施しても、動きが良くならなければサイレントマニピュレーションによる非観血的関節授動術を行います。
肩関節周囲の筋肉や感覚を支配する神経にブロック麻酔を行い、筋肉や痛みを麻痺させた状態で肩を動かし可動域を獲得する方法
です。
従来は入院し全身麻酔下で行っていましたが、現在は超音波検査装置を用いて肩関節周囲を支配する神経を確認し、局所麻酔を行うことができるので、外来で治療が可能です。