テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

上腕骨外側上顆炎とは(テニス肘)

テニスのバックハンドでは手首をにそらした状態でボールを打ちます。
練習や試合で繰り返しストレスをかけると肘の外側に痛みが生じることがあります。
週三回以上テニスを行うことでテニス肘の発症頻度が上がると報告されています。
発祥の多くは使い過ぎによるものが原因で特に経験の浅い初心者、中級者に発症しやすいと報告されています。
テニスをしない人でも仕事のデスクワークが中心でパソコンを長時間使用する人や、家事を通して同様の動作を
長時間繰り返す機会が多い主婦が最も多いとされています。
重い物を持つ事が多い場合でも手首をそらすストレスが繰り返し生じ、痛みが生じることがあります。


 

年齢や性別による発症率の違い

年齢を重ねると人間の筋肉は柔軟性が硬くなりやすくなります。
テニスをする方の場合40歳を超えると発症率が多くなると報告されています。
硬い筋肉に負担をかけると筋肉と骨の付着部にかかるストレスが増強し微細な損傷が生じやすくなります。 
手首を使う頻度や強さが変わらなくても痛みが起きやすいのはこれらも理由の一つです。
上腕骨外側上顆炎は性別によって関係なく発症しますが女性は筋肉が男性と比較して弱いことや家事などで日頃から手首を使う頻度が多いため40歳から60歳代の主婦の方に発症が多く見られます。

 

病態



拡大されている部分は短橈側手根伸筋と呼ばれる手首を上にそらす(背屈する)
筋肉です。骨と筋肉が付着する部分に慢性的にストレスが生じると発症するといわれています。
テニスではボールがラケットに当たるインパクトの時にラケットを手首に固定する役割をしています。筋肉が骨に付着する部分に炎症や変性、微小断裂が生じて痛みの原因になると考えられています。
 

上腕骨外側上顆炎の人に多く見られる症状

ある一定の動作をした時に前腕の近位橈側(親指側)に生じる痛みが主症状です。
手関節伸筋起始部に最も緊張がかかるタオルを絞る、回内位(掌を下にする状態)で物を持ち上げる、拭き掃除をする
という動作で痛みを訴える事が多いです。
 
テニスで特徴的な痛み
テニスのストローク(特にバックハンド)の痛み
痛みでラケットを強く握れない
 
日常生活で特徴的な痛み
ペットボトルの蓋を開けるときの痛み
雑巾や布巾を絞るときの痛い
フライパンや包丁を使うときの痛み

 

診断

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)と診断される方は以下のテストで肘に痛みを訴えることが多いです。
 
中指伸展テスト
肘を伸ばし、手首と指をを上に反らし、中指を下方向へ押された時、中指を上に持ち上げて肘の外側に痛みが出たら陽性です。



 
Chair(チェアー)test
椅子を手で持ちあげた時に肘の外側に痛みが出たら陽性です。



 
Thomsen(トムゼン)test
肘を伸ばし、手首を上に反らした状態でキープします。相手が下方向に力を加えた際に肘の外側に痛みが出たら陽性です。



 

画像診断

画像診断ではレントゲン画像、超音波画像、MRI画像を用いて画像診断を行います。


     


レントゲンでは腱付着部に負担がかかることで骨の棘が形成される事があります。




エコーでは黒くなっている部分の腱損傷を疑います。



MRIでは矢印マークの腱付着部の損傷(白く映っている部分)を確認できます。
矢印頭は関節内に存在する「ひだ」の腫れが確認できます。

治療

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の治療は基本的に保存療法が適応されます。

理学療法
運動療法(ストレッチ、筋力訓練) 物理療法(超音波療法、電気療法)

装具療法
上腕骨外側上顆炎に対する装具について当院では装具を処方しています。
痛みが生じる部位よりも少し離して装着することで筋肉の付着部に対してのストレスを軽減させます。

  


薬物療法
内服、外用(湿布、塗り薬)で患部の炎症による痛みをやわらげます

体外衝撃波
体外衝撃波とは「音源が音速を超えた時に発生する圧力波」のことで「拡散型」と「収束型」の2種類があります。
退行変性した腱に対し体外衝撃波を照射することで、組織修復の促進や疼痛緩和を図ります。

エコーガイド下注射
疼痛を引き起こしていると考える組織に対して超音波(エコー)を用いて正確に注射して治療します。
 当院では、できる限り少量で正確に効果が出るように超音波ガイド下で1mm単位で調整して注射を行います。
ステロイド剤で痛みが取れた場合もストレッチを続け、痛みが継続しないように予防して行く事が大切になります。

 

治療ストレッチ




​​​​​​ストレッチによって使い過ぎによって生じた筋肉の緊張を緩和させることができます。
ストレッチは20秒行いましょう。
詳しい動きは下記の動画参照。

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