骨粗鬆症の血液検査結果について

骨粗鬆症の血液検査結果について

当院ではDEXA検査の結果次第では血液検査を行ない、骨代謝マーカーを測定します。
皮膚と同様に人間の骨は日々新陳代謝を繰り返すことで骨密度を維持しています。
古い骨を削る力(骨吸収)が強いのか、新しい骨を作る力(骨形成)が弱いのか、骨代謝は正常に保たれているのかを検査することで、治療方針を決定していきます。
血液検査の結果はご本人にお渡ししていますので、簡単に結果の見方をご紹介します。

骨代謝マーカーとは

結果用紙の「TRACP-5b」と「Total P1NP」という項目が該当します。

「TRACP-5b」

骨吸収(古い骨を削る力)を示しています。
この 数値が高いと、古くなった骨が溶け出す能力が高い ことになります。
リフォームに例えると、解体作業が過剰に行われている状況です。
骨が脆くなってしまうので、骨折リスクが高まります。

「Total P1NP」
骨形成(新しい骨を作る力)を示しています。
この 数値が低いと、弾力性のある骨を作る能力が低い ことになります。
その一方で、TRACP-5bと合わせてこの 数値が高いと、骨の新陳代謝が過剰に行われている ことになり、骨が固まる前に代謝していることになります。
リフォームに例えると、解体と構築が常に過剰に行われている状況です。
そのため、数値が低くても高すぎても骨が脆くなってしまうので、骨折リスクが高まります。

「ビタミンD」
骨代謝マーカーの一部ではありませんが、一緒に測定しています。
ビタミンDには、食事や薬で摂取したカルシウムを骨に吸着させる働きがあります。
この 数値が低いと、せっかく摂取したカルシウムを骨に吸着させる力が弱い ことになります。
ビタミンDは食生活だけでなく、日光を浴びることで生成されます。
気候が温暖な時期であれば日光を浴びながらウォーキングをしたり、夏の暑い時期にはお庭で日光浴をしたりなど、日の光に当たる時間を意識的に作るようにしましょう。

基本的な項目

「カルシウム」
血中カルシウム濃度を示しています。「Ca」と表記します。
人間の体内のカルシウムは99%が骨に、残り1%が血液中に存在しています。
血中カルシウムは全身の臓器の働きを正常に保つために流れていますが、カルシウムの摂取量が少なくなると、骨から血液にカルシウムが溶け出してしまい、骨粗鬆症を招きます。
この数値が低くくても高すぎても、骨粗鬆症を初めとする様々な骨性疾患が疑われます。

「リン」
「P」と表記される項目です。
一見、骨粗鬆症とはあまり関係がないように見えますが、カルシウムは「酸」と呼ばれる酵素と非常に強い結びつきがあります。
リンは本来であれば体内で”リン酸”として吸収されますが、リン酸が過剰になるとカルシウムと過剰に結合してしまい、”リン酸カルシウム”となって体外に排出されるようになってしまいます。
そのため、必要なはずのカルシウムが不足してしまい、骨粗鬆症を招きます。
ただし、この数値が高すぎる場合は、骨粗鬆症以外の疾患を疑うこともあります。

「アルブミン」
「Alb」と表記される項目です。
少し難しい話になりますが、血中カルシウムは神経や筋肉などの維持・調整に作用する”イオン化カルシウム”が約半分を占めています。
残りの半分はアルブミンを主とした血清蛋白と結合しています。
そのため、血中カルシウム濃度が正常であっても、実はカルシウムが低下している場合があります。
アルブミンの数値が4.0を下回ると、血中カルシウム濃度が低い可能性がありますので、一緒に測定しています。

そのほかの項目

治療開始にあたっては、骨代謝マーカーや骨粗鬆症に関する項目以外に、基本的な項目も一緒に測定しています。
細かな項目については下記の表をご参照ください。
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