疾患別の術式説明
前十時靭帯再建術
前十字靱帯再建術は、切れた靭帯をつなげるわけではなく、正常な靭帯の強度に近い腱を用い、体の別の部位から採取し、靭帯が元々あった場所に移植することになります。新しい靭帯としてできる腱は大きく分けて2つあり、膝蓋腱(膝前面の腱)と膝屈筋(太もも裏の内側の腱)があります。当院では、主に膝屈筋を束にする方法を用いて再建しています。

手術で靭帯を再建する側の膝の内側に、靭帯の材料となる半腱様筋と薄筋は存在します。
これらは、膝を曲げる際に使用する筋であり、術後は1~2年位は膝を曲げる筋力が低下する傾向はありますが、トレーニングを行う事で回復します。
膝の内側に約3~5cm程度の皮切を作成し、そこから腱を探し出して採取します。まず半腱様筋腱を採取して、再建するのに長さが不十分な際は薄筋腱も採取することがあります。
採取した腱は、イラストのように重ねて4重束にして一つの束にします。
これが、新しい前十字靭帯のもとになります。
今度は、作成した腱を大腿骨と脛骨の間に通す為のトンネルを作成します。
トンネルの位置に関しては、術者が膝の中を関節鏡で観察しながら決定します。
決定した後は、最初に細いドリルでトンネルを作成します。
続いて、作成した腱が通過できる大きさのドリルを用いてトンネルを大きくします。
次に、作成したトンネルに腱を通します。腱を通す際はイラストのように、ワイヤーに引っ掛けて通します。これで膝の中に新しく前十字靭帯となる腱が入ります。

腱を通したら、大腿骨側にあるストッパー(エンドボタン)を引っ掛け、最後に靭帯が抜けないようにチタン製の固定具で骨に固定し終了となります。

完成した状態はイラストではこのような感じになります。レントゲン、関節鏡でみると写真のようになります。
