disease

脊椎圧迫骨折

症状

脊椎圧迫骨折とは、背骨(脊椎)を構成する四角い骨(椎体)が、何らかの衝撃で押しつぶされるように変形してしまう骨折です。人間の背骨は、24個の椎体で構成されており、体の重みをバランスよく支えていますが、この骨折が発生すると、背骨の安定性が失われ、強い痛みや姿勢の異常を引き起こします。この骨折は特に骨がもろくなった高齢の方に多く、症状の現れ方は骨折した時期や重症度によって異なり、急性期と慢性期に分けて考えられます。

脊椎圧迫骨折でよく見られる具体的な症状は以下の通りです。

  • 突然の激しい背中や腰の痛み:骨折が起こった直後(急性期)には、腰や背中に激しい痛みが現れ、身動きが取れなくなってしまうケースもあります。特に、寝返りを打ったり、ベッドから起き上がったりするなど、体位を変える際に痛みが著しく強くなります。
  • 体を曲げる、持ち上げる動作での痛みの悪化:前かがみになる動作や、重いものを持ち上げる動作など、骨折部に負担がかかる動きを行うと、痛みが著しく強まります。
  • 姿勢が前かがみになる(円背、猫背):つぶれた背骨がくさび状に変形することで、徐々に背中が丸くなり、いわゆる猫背の姿勢が進行します。これにより、バランス感覚が低下し、さらなる転倒のリスクにつながる場合もあります。
  • 気づかないうちに身長が縮む:背骨の高さが低下することで、特に複数箇所で圧迫骨折が起こると、ご自身では気づきにくいまま身長が以前より短くなったと感じることがあります。

これらの痛みや姿勢の変化は「年のせい」と自己判断してしまいがちですが、放置すると骨折がさらに進行したり、次の骨折が発生しやすくなったりします。症状を感じた場合は、正確な診断を受け、適切な治療を開始することがご自身の生活の質(QOL)を維持する上で極めて重要です。

原因

脊椎圧迫骨折の発生には、「骨の強さ」と「外部からの力」が大きく関わっています。骨折が発生する場合、多くは背骨がもろくなっていることが前提となり、通常であれば問題ないわずかな力が加わるだけで骨折に至ります。このため、圧迫骨折の治療においては、現在の骨折を治すことと同時に、根本的な原因を解決し、将来の骨折を防ぐための対策が求められます。

脊椎圧迫骨折は、主に以下の原因によって引き起こされます。

  • 骨粗鬆症による骨の脆弱化:骨粗鬆症とは、加齢や閉経後のホルモンバランスの変化などにより骨密度が低下し、骨がスカスカで脆くなる病気です。骨が脆くなっていると、尻もちだけでなく、咳やくしゃみをしたり、不用意に重いものを持ち上げたりといった、日常生活の小さな衝撃でさえ骨折の引き金となります。
  • 転倒や強い衝撃などの外傷:転倒は高齢者が脊椎圧迫骨折を引き起こす最も一般的な原因の一つであり、つまずいて転倒したり、椅子に勢いよく座ったりした際に、背骨に過度な力が集中して骨が耐えきれずに押しつぶされます。特に自宅内で滑って転ぶ、階段から落下するなどが圧迫骨折につながります。
  • 骨の病気(腫瘍など):ごくまれに、骨に発生した腫瘍が原因で骨が弱くなり、骨折を引き起こすことがあります。この場合、骨が構造的に弱くなっているため、軽微な外力でも骨折する可能性があります。

脊椎圧迫骨折の最も大きなリスクは骨粗鬆症であり、一度圧迫骨折を起こすと、その上下の椎体が骨折しやすくなる傾向があります。したがって、骨折の原因を正確に把握し、特に骨粗鬆症が関わっている場合には、その治療と予防を徹底することが、再発を防ぐための第一歩となります。

診断

脊椎圧迫骨折の診断は、患者様のお話(問診)や身体の確認に加え、画像検査によって骨折の状態と時期を正確に把握することで行われます。特に、骨折が「最近起こったもの(新しい骨折)」なのか「以前からあったもの(古い骨折)」なのかを区別することは、痛みの原因を特定し、治療方針を決める上で決定的な役割を果たします。

主に用いられる画像検査は以下の通りです。

  • X線(レントゲン)検査:背骨の形や並びを確認し、骨折の有無やつぶれの程度、過去の骨折の痕跡がないかを調べる基本的な検査です。骨の変形や椎体のつぶれ具合を把握するために使われます。
  • MRI検査:骨折による炎症の有無を詳細に確認できるため、その骨折が「最近起こったもの」なのかを特定するために非常に重要な検査です。急性期の痛みが出ている場合、MRIを撮ることで、急いで治療すべきかどうかの判断材料とします。
  • CT検査:骨折部位のより細かな構造を立体的に確認する検査です。手術が必要な場合に、より精密な情報を得るためなど、骨折の三次元的な情報が役立ちます。

これらの画像検査の結果に基づき、患者様の痛みの程度、骨折部の安定性、そして骨折が起こってからの時間経過を総合的に判断します。特に新しい骨折を迅速かつ正確に特定する診断は、早期に痛みを軽減し、機能回復を目指すための適切な治療を提案するために不可欠です。

治療

脊椎圧迫骨折の治療は、痛みの軽減と骨の安定化を最優先しつつ、将来の骨折を防ぐための根本的な対策を同時に進めることが標準的な流れとなります。治療方法の選択は、骨折の程度、痛みの強さ、骨折部の安定性、そして患者様の全身状態によって慎重に判断されます。

  • 保存療法(安静と固定):骨折が比較的軽度で、神経症状がない場合に選択される基本的な治療法です。コルセットなどの装具を使って背骨を固定し、骨折部位の負担を減らすことで、骨が自然に固まるのを待ちます。
  • 薬による痛みのコントロール:痛みが強い時期には、鎮痛剤などの内服薬による治療も併せて行い、痛みを和らげます。
  • 手術による安定化治療:痛みが強く保存療法では改善しない場合や、骨折部の不安定性が高い場合に検討されます。潰れた背骨に医療用のセメントなどを注入して骨を補強する椎体形成術や、不安定な椎体の上下をボルトなどで固定する脊椎固定術などが用いられます。
  • 骨粗鬆症の治療と予防:圧迫骨折は骨が脆い証拠であるため、再発を防ぐことが極めて重要です。飲み薬や注射薬などにより骨密度を高め、骨折しにくい強い骨を目指す治療を並行して行います。
  • リハビリテーション:痛みが落ち着いた後、安静期間が長引くことによる筋力低下などを防ぐため、理学療法士の指導のもと、筋力強化や正しい姿勢の訓練を行い、安全に日常生活へ復帰できるようサポートします。

当院では、急性期の痛みへの迅速な対応から、再発を防ぐための予防治療、そしてリハビリテーションによる機能回復まで、患者様の長期的な健康を支える総合的な治療を提供しています。

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