階段の上り下り・立ち上がりの膝の痛み
こんな症状はありませんか?
階段の昇り降りや、椅子からの立ち上がりといった日常の動作で膝に痛みを感じる場合、それは膝関節が発している重要なサインかもしれません。これらの「動きはじめの痛み」は、変形性膝関節症や半月板損傷などの初期症状として非常によく見られます。
一つでも当てはまる症状がある場合は、痛みを放置せず、専門医にご相談いただくことをおすすめします。
- 階段を降りる時に、上る時よりも強く膝に痛みが走る。
- 長時間座っていた後や、朝の立ち上がり時に、膝がこわばり動き出しにくい。
- 朝、布団から出る際に、膝の違和感や痛みですぐに起き上がることができず、ゆっくりと時間をかけないと動けない。
- 歩き始めや動作の最初だけ痛みを感じるが、しばらく動いていると痛みが治まってくる。
- 膝の内側(太ももの骨とすねの骨が触れ合うあたり)に特に痛みを感じる。
この症状が考えられる主な原因
階段の上り下りや立ち上がり動作で膝が痛むのは、これらの動作が私たちが想像する以上に膝関節に大きな負担をかけているからです。この過剰な負担が、膝の中にある組織(軟骨や半月板)にダメージを与えることで、痛みが発生します。
動作時の膝への過剰な負荷
膝関節は、普段私たちが平地を歩くだけでも体重の約2〜3倍もの重さを支えています。
しかし、階段の昇降時、特に階段を下りる動作では、体重の約6〜8倍もの負荷が一気に膝にかかると報告されています。これは、膝のクッション材である軟骨や半月板に、強烈な圧迫とズレ(剪断ストレス)を与えることになります。特に初期の変形性膝関節症では、わずかにすり減り始めた軟骨がこの遠心性の大きな負荷に耐えきれなくなり、痛みとして現れやすくなります。
軟骨の摩耗と老化
変形性膝関節症は、主に加齢を原因として膝関節のクッションである軟骨が徐々にすり減ることで始まる病気です。軟骨が摩耗すると、骨同士が直接ぶつかりやすくなり、炎症や痛みを引き起こします。加齢により筋力が低下したり、骨の代謝が落ちたりすることも、軟骨への負担を集中させ、発症につながります。特に日本人はO脚傾向の方が多いため、膝の内側の軟骨がすり減りやすいという特徴があります。
半月板の損傷
半月板は、膝の関節内で衝撃を吸収し、関節の安定性を保つクッションのような役割を持ちます。この半月板が、スポーツで強いねじれや、加齢による変性(劣化)によって損傷すると、膝の痛みや炎症の原因となります。半月板が傷ついた状態で階段を下りるなど大きな負荷がかかると、断裂部分に圧力が集中し、鋭い痛みを感じやすくなります。
これらの症状は、ご自身で「ただの老化」と判断せず、専門医の診察を受けることが大切です。自己判断は、正確な診断を遅らせたり、適切な治療の機会を逃したりする可能性があります。
症状に関連する疾患
「階段の上り下り・立ち上がりの膝の痛み」という症状から考えられる主な病気は以下の通りです。正確な診断には、専門的な検査が必要となります。
- 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう) 主に加齢を原因として膝関節の軟骨が徐々に摩耗し、最終的に膝関節の変形を引き起こす、最も頻度の高い疾患です。
- 半月板損傷(はんげつばんそんしょう) 膝のクッション材である半月板が外傷や加齢による劣化で傷つき、膝の曲げ伸ばし時に「ひっかかり」や痛み、腫れを伴う疾患です。
- 膝蓋腱炎(しつがいけんえん、ジャンパー膝) ジャンプやダッシュなどの急激な動作を繰り返すことによって、膝のお皿(膝蓋骨)の下にある膝蓋腱に炎症が生じる、スポーツによるオーバーユース障害の一つです。
- 反復性膝蓋骨脱臼(はんぷくせいしつがいこつだっきゅう) 膝のお皿(膝蓋骨)が一時的に本来の位置からずれたり外れたりするような感覚(膝が抜けるような症状)を発症する不完全脱臼の状態です。
併せて見られる関連症状
階段の痛みや立ち上がりの違和感と同時に、以下のような症状が見られる場合は、病状が進行している可能性があります。
- 膝の腫れや熱っぽさ(関節内の炎症によって水や血液が溜まることがあります)
- 膝の曲げ伸ばしをした時の「ひっかかり」や、ガクッと力が抜けるような不安定感
- 膝が完全に曲げきれない、または完全に伸ばしきれないといった関節の動かしづらさ(可動域の制限)
- 膝の痛みをかばって歩くことで生じるO脚の進行や、脚の不安定さ
- 痛みのために活動量が減り、歩行が困難になる
これらの症状が複合的に見られる場合、軟骨の摩耗や半月板の損傷が進行していることが考えられます。痛みを放置し、活動量が低下すると、全身の健康や認知機能の低下につながる可能性があることも医学的に指摘されており、単なる「膝の痛み」として済まさずに、専門医による適切な治療を受けることが重要です。
その痛み、「年のせい」と諦めないでください
階段の昇降時や立ち上がり時に感じる膝の痛みは、「単なる老化現象」や「年のせい」と軽視されがちです。しかし、その痛みは変形性膝関節症や半月板損傷といった病気が始まっている明確な警告サインであり、放置することで症状は確実に進行します。痛みを我慢し続けると、歩行が困難になり、最終的には生活の質(QOL)の低下、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。初期の段階で専門医にご相談いただくことで、痛みの原因を正確に把握し、運動療法や保存療法、あるいは新しい治療選択肢によって、活動的な生活を取り戻せる可能性が高まります。早期の介入こそが、膝の未来を守るための最善策です。
対応クリニックのご紹介
アレックスメディカルグループは、スポーツ整形外科専門クリニックグループとして、高度な診断と治療を提供しています。膝の痛みでお困りの方は、お近くのクリニックにご相談ください。