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腰椎分離症
腰椎分離症とは

腰椎分離症は、発育期のスポーツ選手に多い背骨の疲労骨折のことです。
発症は、小学生~中学生の発育期で成人してからの発症は稀です。
ジャンプや投球動作などの腰を反ったり、回旋する動作を繰り返すことで発症します。
初期の段階で治療をすれば保存療法によって治癒する確率は高いですが、分離症を放置すると偽関節(いつまでも骨がつかない状態)になる可能性が高くなり骨癒合が不可能になります。
分離症を治療せずに放置すると、すべり症(腰椎のズレ)を起こして脚のしびれが出るなど重篤な後遺症を伴う場合があります。

症状
具体的な症状としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 腰を後ろに反らせた時の痛み:腰を大きく後ろに反らす動作をした時に、腰の深い部分に響くような鋭い痛みが出るのがこの病気の大きな特徴です。
- スポーツ中の腰の痛み:野球のスイングやサッカーのキック、ジャンプの着地など、腰に力がかかる動きをした際に強い痛みを感じます。
- 長時間の同じ姿勢による重だるさ:じっと立っていたり、座り続けたりしていると、腰が重だるく感じたり、違和感が出たりすることがあります。
- お尻や太ももへの影響:骨の離れた部分が周りの神経を刺激すると、腰だけでなくお尻や太ももの後ろ側にしびれや痛みが出ることが稀にあります。
- 体の柔軟性の低下:痛みをかばうために背中や太ももの筋肉が硬くなり、前屈運動がしにくくなるなどの変化が見られます。
これらの症状は、しばらく休むと和らぐことが多いため、「少し休めば大丈夫だろう」と見過ごされてしまいがちです。しかし、成長期のお子様が2週間以上も腰の痛みを訴える場合は、ただの筋肉痛ではない可能性が高いため、早めに専門的な診察を受けることをおすすめします。
原因
腰椎分離症の主な原因は、一度の大きな怪我ではなく、日々の練習で繰り返される動作による「使いすぎ」です。まだ骨が成長しきっていない時期に、無理な負荷が積み重なることで発生します。
- スポーツによる繰り返しの負担:ジャンプや腰を強くひねる動作を何度も繰り返すことで、腰の骨の特定の場所にストレスが集中し、亀裂が入る原因となります。
- 成長期の骨の未熟さ:中学生や高校生の頃は、大人に比べて骨がまだ完全に硬くなっていないため、激しいスポーツの衝撃や疲労に耐える力が不足しています。
- 筋肉の硬さ:股関節の周りや太ももの後ろ側の筋肉が硬いと、腰を動かす際に骨にかかる負担が大きくなり、折れやすい状態を作ってしまいます。
- 不自然な練習フォーム:背骨を反らしすぎたり、腰だけに頼った動きを続けたりすることで、一部の骨に金属疲労のような現象が起きてしまいます。
- 急激なトレーニング量の増加:体力が追いつかない中で急に練習時間を増やしたり、激しいメニューをこなしたりすることが、骨の修復を妨げる要因となります。
腰椎分離症は生まれつきの病気ではなく、日々のハードな練習の中で、骨に少しずつダメージが溜まっていくことで起こります。自分では気づかないうちに進行していることもあるため、練習内容や体の柔軟性には常に注意を払う必要があります。
診断
腰椎分離症の診断では、今の痛みがどのような時に出るのかを詳しく確認し、最新の検査機器を用いて骨の状態を正確に調べていきます。初期の段階で正しく診断できれば、骨を元通りにくっつけることができる可能性が高くなります。
まずは医師が実際に腰を触ったり、体を動かしたりして、痛みの場所や柔軟性を確認します。その上で、以下のような画像検査を行います。
- レントゲン検査:骨が完全に離れている状態であれば確認できますが、なりたての初期段階では変化が写らないことも多いため注意が必要です。
- MRI検査:骨にひびが入る前段階の「骨の腫れ」を見つけるのに非常に有効で、レントゲンでは分からない超初期の異常を発見することができます。
- CT検査:骨の状態を立体的に細かく確認するための検査で、ひびの入り具合やくっつき具合を正確に判断するために用いられます。
これらの検査結果を総合的に見て、今の状態が「まだ骨がくっつく見込みがある時期」なのか、それとも「すでに時間が経過して固まってしまっている時期」なのかを見極めます。この判断によって、その後の治療の進め方が決まります。
腰椎分離症の分類を知ろう
腰椎分離症は、その進行具合を「初期・進行期・終末期」の3つに分類します。
その分類は、CT検査で確認していきます。
しかし、超初期の分離症の場合は、レントゲンやCT検査で判断する事ができないため、MRI検査を併用し確認することが大切です。
CT検査とMRI検査の結果から、これから骨癒合(骨折部分がくっついて骨折が治ること)が望めるかどうかを判断します。

腰椎分離症の進行と骨癒合率
①超初期の場合
骨癒合率(骨折部分がくっついて骨折が治ること)は100%です。
骨癒合の期間は約2ヶ月半です。
②初期の場合
骨癒合率は90%以上で、骨癒合が期待できます。
骨癒合の期間は約3ヶ月です。
③進行期の場合
骨癒合する場合と、骨癒合しない場合があります。
骨癒合の確率は、MRI検査の画像の結果である程度判断できます。
MRI画像で炎症所見がある場合、骨癒合率は約60%、炎症所見がない場合、骨癒合率は約30%です。
骨癒合の期間は約6ヶ月です。
④終末期の場合
骨癒合率は0%で、骨癒合は望めません。
治療はまず疼痛の管理から開始し、痛みに応じて運動再開となります。
*分離症が片側なのか両側なのか、また年齢によっても骨癒合の期間と確率は変わってきます。
腰椎分離症の治療の流れ
腰椎分離症(初期・進行期)と診断されたら・・・
①日常生活上で反ったり、捻ったりしないようにコルセット(装具)を作成し日常生活で着用していきます。
②日常生活での腰痛や分離部を押した痛みが消失した時期に、再度MRI検査やCT検査を行い、分離部の状態を確認します(約2~3ヵ月後)
③CT検査で骨癒合が確認出来たら、理学療法士、柔道整復師の指導のもとで、コルセットを装着しながら徐々に軽い運動からを再開していきます。
※終末期の分離症では骨癒合を期待できない為、体幹筋力強化と全身の柔軟性の向上を目的にリハビリテーションを開始し、痛みの程度に応じて運動を再開していきます。
*運動の再開時期には分離状態などにより個人差がありますので、医師と理学療法士・柔道整復師が相談の上、再開時期を検討していきます。
コルセット(装具)療法
当院では初期または進行期の腰椎分離症と診断されると、コルセット(装具)を作成します。
これは、ギプスシーネに半硬性装具を合わせた装具で、腰を反る動作と捻る動作を制限します。

コルセットの巻き方

