disease

腰部脊柱管狭窄症

症状

腰部脊柱管狭窄症は、主に中高年の方に見られる疾患で、背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、内部の神経が圧迫されることで、腰や足に痛みやしびれが生じます。特に、歩くと症状が悪化し、前かがみになって休むと回復するという「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が、この病気の最大の特徴です。

具体的な症状としては、以下の点が挙げられます。

  • 間欠性跛行(かんけつせいはこう): 背筋を伸ばして歩くと、お尻から足先にかけてしびれや痛み、脱力感が現れ、数百メートルで歩行が困難になります。しかし、座ったり前かがみになったりして休むと、神経への圧迫が和らぎ、再び歩けるようになります。
  • 下肢のしびれと痛み: 神経の圧迫により、お尻から足にかけて、片側または両側に放散するような強いしびれや痛みが慢性的に現れます。
  • 足のもつれや脱力感: 神経の障害が進行すると、足に力が入りにくくなったり、感覚が鈍くなったりすることで、歩行時に足がもつれやすくなります。
  • 姿勢による症状の変動: 腰を丸める(前かがみになる)姿勢では、脊柱管が広がるため、比較的症状が和らぎやすいのが特徴です。

これらの症状が続くと、外出や散歩といった日常生活での活動が制限され、生活の質(QOL)が低下します。急な麻痺や排泄機能の障害が現れた場合は、重篤な状態を示すため、すぐに専門的な診察が必要です。

原因

腰部脊柱管狭窄症は、背骨の加齢変化と、それに伴う組織の変性が複合的に進行することで起こります。長年の負担や老化により、背骨を構成する骨、靭帯、椎間板といった組織が変化し、神経の通り道(脊柱管)を狭めてしまうことが主な原因です。

具体的な原因となる構造の変化は以下の通りです。

  • 椎間板(ついかんばん)の変性: 背骨のクッションである椎間板が水分を失って弾力性を失い、変形して膨らむことで脊柱管を狭めます。
  • 黄色靭帯(おうしょくじんたい)の肥厚: 脊柱管の後ろ側にある黄色靭帯が、長年のストレスにより硬く分厚くなることで脊柱管の空間を狭くし、神経を圧迫します。
  • 椎間関節(ついかんかんせつ)の変形: 背骨をつなぐ小さな関節がすり減り、骨がトゲ状に突出したり、関節が緩んだりすることで、脊柱管の狭窄と不安定性を引き起こします。
  • 腰椎変性すべり症: 椎間板や関節の加齢による緩みにより、腰椎の一部が前方にずれてしまうことで、脊柱管を圧迫します。

これらの骨や軟部組織の変化が重なることで脊柱管は徐々に狭くなり、内部の神経が慢性的に圧迫され、腰や足の症状が現れます。

診断

腰部脊柱管狭窄症の治療を適切に進めるためには、正確な診断によって神経の圧迫部位や重症度を特定することが不可欠です。診断は、患者様からの問診による症状の詳細な聞き取りと、高性能な画像診断を組み合わせて行われます。

問診と神経学的検査
医師は間欠性跛行の具体的な状況、痛みやしびれの範囲などを詳しくお聞きします。また、運動機能や感覚機能の異常がないかを確認する神経学的検査を行い、特に急な麻痺や排泄障害など、緊急性の高い症状がないかを慎重に判断します。

画像診断
神経圧迫の原因を客観的に確認するために画像診断を実施します。

  • X線検査(レントゲン): 腰椎のすべり、変形、椎間板の狭さ、腰椎の不安定性(グラつき)の有無など、骨格上の問題点を調べます。
  • MRI検査(磁気共鳴画像): 脊柱管狭窄症の診断に最も重要です。骨だけでなく神経、椎間板、肥厚した靭帯といった軟部組織を高精度で描出し、脊柱管の狭窄度合いや神経の圧迫状態を具体的に評価します。

これらの検査結果を総合的に判断し、一人ひとりの病態に合った最適な治療方法を選択する基礎とします。

治療

腰部脊柱管狭窄症の治療は、重篤な症状がある場合を除き、手術を伴わない保存療法から開始するのが原則です。保存療法では、薬による症状のコントロール、神経の炎症を抑える注射、そして身体の構造的な改善を目指すリハビリテーションなどがあり、患者様の状態や生活環境に合わせて最適な方法を選択します。

主な治療方法には以下のものがあります。

  • 薬物療法: 炎症を抑える消炎鎮痛剤、しびれを和らげる神経の薬、歩行時のつらさを緩和する血流改善剤など、症状のタイプに応じて薬を組み合わせて使用します。
  • 神経ブロック注射: 強い痛みやしびれを抱える場合に、症状を迅速に抑えるために行われます。神経の圧迫を受けている周辺に局所麻酔薬などを注射し、神経の炎症と痛みの伝達を遮断します。
  • 理学療法・リハビリテーション: 筋力強化だけでなく、脊柱管の拡大という根本的な改善を目標とします。腰椎の過度な反り(前弯)を防ぐ姿勢の指導や、体幹深部の筋肉を強化する訓練を行い、腰椎の支持力を高めます。
  • 装具療法(コルセット): 急性期の強い腰痛や腰椎に不安定性がある場合に、コルセットを一時的に装着することで、腰を安定させ痛みを軽減させます。
  • 手術療法: 保存療法を数か月試みても症状が改善せず、日常生活に重大な支障がある場合や、足の麻痺・排泄機能の障害がある場合に、神経の圧迫を物理的に取り除く手術(除圧術、固定術など)が検討されます。

当クリニックでは、患者様と十分に話し合い、症状や生活の目標を共有しながら、保存療法を中心に無理のない治療を選択し、自立した生活を取り戻すためのサポートを行います。

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