disease

坐骨神経障害

症状

坐骨神経障害、一般に「坐骨神経痛」と呼ばれるこの症状は、疾患名ではなく、人体で最も太い末梢神経である坐骨神経が何らかの原因で圧迫されたり、刺激を受けたりすることで発生する痛みやしびれの総称です。多くの場合、腰のあたりに原因があるものの、症状はそこから離れたお尻や足全体に広がるのが特徴です。この症状によって、座る、立つ、歩くといった日常生活の基本動作が困難になることも少なくありません。

具体的な症状としては、次のようなものが挙げられます。

  • お尻から下肢にかけての痛みやしびれ:お尻の深い部分から太ももの裏、ふくらはぎ、そして足先にかけて、電気が走るような鋭い痛みやピリピリとしたしびれを感じます。
  • 長い時間立っているのが辛い:立っている姿勢を保つことが困難になり、症状が強い場合は足に力が入らないと感じることもあります。
  • 腰を反らすと下肢に痛みやしびれを感じる:腰を後ろに反る動作をした際に、下肢に症状が誘発されたり、症状が強くなったりします。
  • お尻の痛みが強く、座り続けるのが困難:特に椅子に座っている時にお尻の痛みが強くなるため、長時間のデスクワークや車の運転などが苦痛になります。
  • 歩行時の間欠性跛行(かんけつせいはこう):歩き続けるうちに足に痛みやしびれが出て、それ以上歩けなくなりますが、少し前かがみになって休むと症状が和らぎ、再び歩くことができるようになる現象です。

これらの痛みやしびれは、単なる体のサインではなく、原因となっている神経の圧迫や炎症によって引き起こされているため、放っておかずに専門の医療機関を受診することが大切です。

原因

坐骨神経痛はあくまで症状の名前であり、その背景には必ず症状を引き起こしている病態が存在します。原因を特定することで、初めて根本的な治療に進むことができます。坐骨神経痛の主な原因の多くは、背骨(腰椎)の病気です。

坐骨神経痛を引き起こす主な原因には、以下のものがあります。

  • 腰椎椎間板ヘルニア:20代から40代の比較的若い世代に多く見られます。背骨の骨と骨の間でクッションの役割を果たす「椎間板」の一部が飛び出し、近くを通る神経の根元を直接圧迫したり、炎症を起こしたりすることで、強い下肢の痛みやしびれを引き起こします。
  • 腰部脊柱管狭窄症:主に50代以降の中高年に多く見られる病気です。加齢に伴い、背骨の中にある神経の通り道(脊柱管)が狭くなることで、神経やその周りの血管が圧迫され、歩行時に痛みやしびれが発生します。
  • 梨状筋症候群:脊椎には大きな異常がないにも関わらず、お尻の奥深くにある「梨状筋」という筋肉が硬くなったり緊張したりすることで、その下を通る坐骨神経を締め付けてしまい、痛みやしびれを引き起こします。

これらの原因を正確に診断しないまま長期間対症療法を続けることは、時に腫瘍や感染症といった重篤な病気を見逃すリスクにもつながるため、早期に原因を特定することが重要です。

診断

坐骨神経痛の治療の成否は、いかに早く正確に原因を突き止められるかにかかっています。主な原因である腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症は、画像診断で原因を特定できる病気であることが多いため、詳細な検査が必要です。

診断は、以下の流れで行われます。

  • 問診と理学検査:まず、いつから、どのような状況で、どの部位に痛みやしびれがあるのかを詳しくお伺いします。さらに、体を動かしたり、特定の姿勢をとっていただく徒手検査(FNSテストなど)を行い、どの神経の根元が障害を受けている可能性があるかを絞り込みます。
  • X線(レントゲン)検査:比較的安価で被ばく量も少ない初期の検査です。主に腰椎の骨の変形や、背骨全体の並び、骨折や腫瘍などの有無といった、骨格の異常を確認するために行われます。ただし、神経や椎間板といった軟らかい組織ははっきりと映りません。
  • MRI・CT検査:坐骨神経痛の原因である椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の診断に欠かせない精密検査です。特にMRI検査は、椎間板や神経組織を鮮明に画像化し、神経がどこで、どれくらい圧迫されているのかを正確に把握するために行われます。この検査によって、曖昧な診断を避け、根本的な原因に基づいた治療に進むことができます。
  • 脊髄造影検査:手術を検討するような患者様に対して、造影剤を脊柱管内に注入しCT検査を行うことで、神経の圧迫状況をさらに詳細に確認する術前の精密検査として行われることがあります。

治療

坐骨神経痛の治療は、まず症状の重症度や原因となっている病気の種類に応じて、「保存療法」(手術以外の治療)から始められることが一般的です。患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせて、痛みを和らげ、原因となっている病態の改善を目指します。

主な治療法には、以下のものがあります。

  • 薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛薬(飲み薬や湿布)や、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬などが処方されます。
  • 理学療法・リハビリテーション:坐骨神経痛の改善には、体の使い方や姿勢を見直すことが重要です。腰への負担を減らす正しい体の動かし方や、症状の緩和につながるストレッチや筋力強化などの運動療法を行います。
  • 神経ブロック療法:飲み薬などで十分な効果が得られない場合、神経やその周囲に局所麻酔薬や抗炎症薬を注入する治療法です。これは痛みの伝達を強力に遮断するだけでなく、神経周囲の血流を良くし、炎症を鎮めることで、体が本来持っている自然に治ろうとする力を助けます。注射の際は、超音波(エコー)を使って患部を直接見ながら行うことで、注射の正確さと安全性を高めています。

痛みが強い時期には薬物や神経ブロックで症状を和らげ、並行して理学療法で体を整えていくことで、症状の根本的な改善を目指します。

対応クリニックのご紹介

東京エリア

埼玉エリア

長野エリア

先進治療
WEB予約WEB予約
LINE公式LINE公式