disease

臼蓋形成不全

症状

臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)は、股関節の受け皿となる骨(臼蓋)の形成が不十分な状態を指します。この状態だと、股関節の骨頭(大腿骨の丸い部分)を十分に覆うことができず、関節に過度な負担がかかりやすくなります。若い頃にはほとんど自覚症状がない場合も多く、成人後に股関節の痛みや違和感として現れることが一般的です。 具体的な症状としては、次のようなものが挙げられます。

  • 股関節の痛み:初期には、長時間歩いた後や激しい運動の後に、股関節の奥や足の付け根あたりに鈍い痛みを感じることがあります。病状が進行すると、安静にしている時や夜間にも痛みを感じるようになります。
  • 動作時の違和感:階段の昇り降りや立ち上がりの動作の際に、股関節が引っかかるような、あるいは不安定な感覚を覚えることがあります。これは関節の不安定さや、股関節を支える関節唇という組織の小さな損傷によるものです。
  • 可動域の制限:股関節を動かせる範囲が狭くなり、靴下を履く、爪を切るなど、足元の作業が困難になることがあります。
  • 歩行時の異常:痛みをかばうために不自然な歩き方になったり、長時間歩くことが難しくなったりします。進行すると、痛い足をかばううちに反対側の股関節も痛くなることがあります。

症状の進行に伴って、股関節の軟骨が徐々にすり減り、「変形性股関節症」へと移行していくリスクが高くなります。初期の段階で適切な対応を始めることが、痛みの軽減と病気の進行を遅らせるために非常に重要です。

原因

臼蓋形成不全の主な原因は、股関節の発達における先天的な問題だと考えられています。生まれつき臼蓋の形に問題があるために、股関節にかかる重さや衝撃が狭い範囲に集中することが、痛みや将来的な軟骨の損傷へと繋がります。 具体的な原因や関連要因としては、以下のものが挙げられます。

  • 発達性股関節形成不全:以前は「先天性股関節脱臼」と呼ばれていた病気の連続と捉えられています。成長の過程で股関節の発達が不完全であったことが最も大きな原因です。
  • 遺伝的要因:臼蓋形成不全は、家族内での発症が多いことが知られています。体質や骨の形の遺伝が関係していると考えられています。
  • 乳幼児期の環境要因:赤ちゃんの時期に、股関節が伸びきった状態(まっすぐな姿勢)で過ごす時間が長かったり、股関節に負担がかかる特定の習慣があったりすることが、臼蓋の形成に影響を及ぼした可能性が指摘されています。

特に日本人の中高年女性において、変形性股関節症の約8割がこの臼蓋形成不全に起因していると言われており、早期の診断が重要です。

診断

臼蓋形成不全の診断は、患者様から詳しく症状をお伺いすることから始まり、画像検査によって骨の形態を正確に把握することで確定されます。

  • 問診と触診:いつから、どのような時に痛みを感じるか、日常生活での支障の有無などを詳しくお伺いします。股関節の動きや痛む場所を確認し、他の疾患の可能性も視野に入れて診察します。
  • X線(レントゲン)検査:股関節の状態を評価するために最も基本となる検査です。臼蓋が骨頭をどれだけ覆っているか、臼蓋の角度が正常範囲にあるかなどを確認し、形成不全の程度や変形性股関節症に移行していないかを判断します。
  • CT検査:X線検査だけでは判断が難しい場合や、手術を検討する際に、股関節の骨の立体的な形や、臼蓋と骨頭の関係をより詳細に把握するために行われます。
  • MRI検査:骨だけでなく、関節の軟骨や関節唇(かんせつしん)といった周囲の組織の状態、炎症の有無などを調べます。特に、初期の段階で生じる軟骨や関節唇の損傷を確認するのに役立ちます。

これらの画像検査の結果と、患者様の訴える症状を総合的に判断し、臼蓋形成不全であるかどうか、またその進行度を正確に診断します。

治療

臼蓋形成不全の治療は、現在の症状の程度や、年齢、そして将来的に変形性股関節症へ進行するリスクを考慮して決定されます。痛みの軽減と関節の機能維持を主な目標とし、大きく分けて保存療法と手術療法があります。 具体的な治療法は以下の通りです。

  • 生活指導:過度な運動や長時間の立ち仕事を避け、体重を適切にコントロールすることで、股関節への負荷を軽減します。
  • 運動療法:股関節周囲の筋肉(特に殿筋やお腹周りの筋肉)を鍛えることで、関節の安定性を高め、関節への負担を減らします。
  • 薬物療法:痛みが強い時期には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの飲み薬や湿布薬を使用して、炎症を抑え痛みを和らげます。
  • 骨切り術:臼蓋の向きや形を変えることで、骨頭をより広く覆うようにし、関節にかかる負担を分散させます。若年者で軟骨が比較的保たれている場合に検討されることが多い方法です。
  • 人工股関節置換術:変形性股関節症が進行し、軟骨がすり減って痛みが非常に強い場合に、傷んだ関節を人工の関節に置き換える手術です。

治療の選択肢は、患者様一人ひとりの状態によって異なります。医師とよく相談し、ご自身のライフスタイルや希望に合った治療を始めることが大切です。

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