有痛性分裂膝蓋骨:成長期の膝の痛み
有痛性分裂膝蓋骨とは?
膝蓋骨は通常1つの骨からなりますが、2個以上の骨があり成長過程で骨癒合が出来ないと、レントゲンで2個または数個に分裂した膝蓋骨を認めることがあります。
有痛性分裂膝蓋骨の受傷機転
スポーツを行なっている10歳代の男女に生じやすいとされてます。骨の成長過程として、多くの骨は軟骨が形成され、その軟骨が骨へ置換されていきます。
10歳代の成長過程ではまだ膝蓋骨が柔らかいこともあり、筋肉の収縮や柔軟性の低下により膝蓋骨に牽引力が加わり続ける事により骨癒合不全を起こすとされています。
膝蓋骨には大腿四頭筋の腱が付いており筋肉の収縮に影響されやすいとされます。
多くの場合は分裂部分に症状が生じることはなく治療が必要とされることは少ないですが、過度なスポーツ活動で分裂部に牽引力が反復した場合は疼痛をきたすことがあります。
また、稀ではありますが、膝を前面から強打し骨折する事もあります。
有痛性分裂膝蓋骨の症状
分裂している部分の異常可動性を生じる事で以下の症状が出現する事があります。・膝蓋骨の周囲を押すと痛みがで出やすい(特にお皿の外上方)
・膝の曲げ伸ばしで膝の前方に痛みが出やすい

写真のように、大腿四頭筋(大腿部の前の筋肉)に負荷がかかるような姿勢をとると、膝蓋骨に対して筋肉が引っ張られる力が強く働くため痛みを生じやすいです。
診断について
診断は、医師が診察中に行う徒手的な検査で関節の可動範囲、腫脹や膝蓋骨の圧痛・叩打痛の有無を調べ単純レントゲン検査で診断します。必要に応じてMRI検査も行います。
治療について
大きく分けて、保存療法と手術療法があります。
基本的には保存療法を選択し、柔軟性の改善や体の使い方を覚えていきます。
【保存療法】
スポーツ活動の制限や大腿四頭筋・ハムストリングスのストレッチ、膝蓋骨のサポーターの使用など保存療法が原則的となります。
●大腿四頭筋ストレッチ(大腿部の前の筋肉)
膝を曲げ足首を持ち、後ろに引っ張っていきます。下側の脚を曲げて体を安定させる事がポイントです。
基本的には保存療法を選択し、柔軟性の改善や体の使い方を覚えていきます。
【保存療法】
スポーツ活動の制限や大腿四頭筋・ハムストリングスのストレッチ、膝蓋骨のサポーターの使用など保存療法が原則的となります。
●大腿四頭筋ストレッチ(大腿部の前の筋肉)
膝を曲げ足首を持ち、後ろに引っ張っていきます。下側の脚を曲げて体を安定させる事がポイントです。

●ハムストリングスストレッチ(大腿部の裏の筋肉)
ベルトやタオルなどを用いて、足の裏に引っ掛けて挙げていきます。膝が曲がらないようにするのがポイントです。

●膝蓋骨サポーター

【手術療法】
疼痛が強く、スポーツ活動が長期的に制限される恐れのある場合は手術療法を選択する場合もあります。
手術後のリハビリでは、拘縮しない為に痛みのない範囲で可動域訓練や荷重訓練を行います。