膝内側側副靭帯損傷:膝の内側が痛い

内側側副靭帯(Medial Collateral ligament)とは?

膝には関節を安定させる大きな靭帯が4つ存在します。内側側副靭帯(MCL)はその内の一つで、大腿骨の内側と脛骨の内側を結ぶ靭帯です。
この靭帯の役割は、膝関節が内側に入る動作や捻られる動作を制御することで膝の安定性を保つことです。
     



 

どうして損傷するの?


受傷機転は、コンタクトスポーツで大腿や膝の外側から相手がぶつかってくるなど直接外力が加わることや、ジャンプ着地動作やターン動作などをする時に膝が内側に入るストレスが過剰に加わることで生じます。

内側側副靭帯損傷はスポーツ膝外傷の中で頻度の高いものの1つで柔道、ラグビー、アメリカンフットボール、アイスホッケー、サッカー、スキーなどで生じやすいです。

 

内側側副靭帯損傷の症状

受傷直後は、患部の炎症が生じ疼痛が強く膝関節の腫脹が生じます。
その影響で、可動域制限が生じます。
また、靱帯が膝を制動しないため膝関節の不安定性が生じます。
 

診断について

診断は、理学所見と超音波検査やMRI検査などの画像所見から行います。
また、受傷したときの状況を把握することも重要です。
 

治療について

保存療法と手術療法とPRP(多血小板血漿)療法の3つがあります。
靭帯の損傷程度にもよりますが、内側側副靭帯の単独損傷であれば、基本的に保存療法を選択します。
保存療法では、リハビリを中心とし、アイシングや超音波を用いた消炎処置、膝関節の可動域の獲得、患側への荷重量の増加、段階に合わせた筋力トレーニングの順で行っていきます。
また、必要に応じて装具を装着し日常生活動作の獲得とスポーツ活動への復帰を目指します。


靭帯の損傷の程度や、断裂の部位によっては手術療法を選択する場合があります。
手術療法は、内側側副靭帯の縫合術を行います。靱帯の損傷状態や時期によっては、人工靭帯を用いた補強術や自分の件を用いた再建術を行います。
治癒期間の短縮や保存療法で十分な安定を得ることができなかった時にPRP(多血小板血漿)療法を選択することもあります。
PRP療法は、再生医療に分類され、患者様ご自身の血液から血小板を分離し、患部へ注射を行うことで治癒力を高める方法です。
 

復帰目安

靭帯損傷の程度(Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度)により目安の時期は異なります。

Ⅰ度損傷(靭帯の炎症所見はあるが不安定性は認めない)
受傷後1~2週間は、消炎目的で固定期間を設け、アイシングや超音波などを使う物理療法を中心に保存療法を選択します。可能であればこの時期から、マイルドに可動域トレーニングを行います。経過を追って医師の診察を行い、靱帯の状態に合わせて可動域トレーニングを始めていきます。
3~4週で負荷量の低い筋力トレーニングから徐々にスポーツ復帰に向けたトレーニングを行うリハビリテーションを行い、1~2ヶ月でスポーツ復帰を目指します。

Ⅱ度損傷(靱帯の損傷を認め、軽度な不安定性を認める)
受傷後2~3週間は、消炎目的と靱帯の安定性を高めるために固定期間を設け、アイシングや超音波などを使う物理療法を中心に保存療法を選択します。
経過を追った医師の診察で、炎症が収まり、不安定性が改善したことを確認してから可動域トレーニングを行います。
4~6週で日常生活に復帰し、靱帯の再受傷や癒着が起こらないように留意しながら、負荷量の低い筋力トレーニングから徐々にレベルを高めて運動療法を行います。
約8週から、スポーツ復帰に向けた運動療法を取り入れ、受傷後3ヶ月でスポーツ復帰を目指します。

Ⅲ度損傷(靱帯の完全断裂を認め、不安定性を認める)

手術を選択する可能性が高いです。手術後は、Ⅱ度損傷のプロトコルに準じてリハビリを行います。

 


※損傷の程度や部位、年齢、手術内容などによりリハビリ内容や復帰時期は異なりますのでご留意ください
 
AR-Ex 尾山台整形外科
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