鏡視下腱板修復術(Debeyre-Patte変法)術後リハビリテーション

肩腱板断裂の治療

腱板断裂の治療法としては保存療法(リハビリテーション、注射、内服薬)と手術療法があります。多くの場合は保存療法を最初に行います。
保存療法を施行しても痛みや機能改善が見込めないときは手術療法を行います。しかし、腱板断裂の程度や症状の程度、早期職場復帰などの希望がある場合は、最初から手術を検討することもあります。 手術にはリスクも伴いますので担当の医師と相談して決定します。
 

腱板断裂のサイズ

腱板の断裂サイズは、超音波画像やMRI画像で医師が診断します。
1㎝未満   ➡小断裂
1~3㎝未満 ➡中断裂
3~5㎝   ➡大断裂
5㎝以上   ➡広範囲断裂

このページで紹介するのは断裂サイズが 3~5cm以上 の手術と
その後のリハビリ内容です。リハビリテーションの内容は腱板の断裂した大きさによって治療プログラムが異なります。
 

手術内容

3~5cm以上の断裂の場合はそのまま縫合することが難しいため通常の鏡視下腱板修復術に加えてDebeyre-Patte変法を用います。
棘上筋や棘下筋は肩甲骨内側の筋肉と筋膜で連結しています。
専用の器具を用いて肩甲骨から筋肉をはがし外側へ移動させ、断裂した筋肉を縫合します。





 

手術後の装具使用について


手術後は修復した腱板にストレスが加わらないように一定の期間装具を装着します。
術後は下の写真の装具を装着します。


手術後は、腱板が修復するまで固定する期間があります修復した腱板にストレスを加えないように一定期間装具を装着します固定の装具種類と期間は断裂サイズによって異なります。手術後の装具 手術後に使用する装具は、断裂サイズによって変わります
外転枕(脇の下に入れる装具)の大きさが変わります。
装具の装着方法はこちらをご参照ください

➡鏡視下腱板修復術(Debeyre-Patte変法)Ken bag装着方法

手術後の装具の角度調整について

手術後は術後3週から外転角度(腕を横に開く角度)を調節します。
※装具の調整は当院のスタッフが行います。ご自分で変更は行わないようにして下さい


術後   :外転角度75°
術後3週~:外転角度60°
術後4週~:外転角度45°
術後5週~:外転角度30°   
術後6週~:装具OFF
 

入浴について

装具固定期間はペットボトルで作った装具をつけて入浴します
固定期間は術側や背部は自分で洗うことや拭くことが難しくなります。家族の人に介助をお願いしてください。

装具固定期間は入浴時も装具を使用します。 入浴時の装具は当院の理学療法士が作成します。



 

就寝時のポジショニングについて


装具固定期間中は就寝時も装具を着用します。
就寝時は付属の三角枕やバスタオルを使用します。
就寝時は肩にストレスが入らないようにバスタオル等を使用し、肩の下に一枚肘の下に3枚程バスタオルを入れ肘が肩よりも下がらないようにします。
※この際に腕や肩に力が入っていないことを確認してください。


 

リハビリテーションの流れ

<手術前>
肩関節の動きの制限がないと術後の経過も良好であると言われています。
手術前はできる限り関節可動域の改善をリハビリで行います。
また、術後に装具の着用をスムーズに行えるように装具装着方法や
更衣動作を手術前に練習します。

<手術後>
早期から浮腫みがでないよう指や手首を動かします。
術後6週間は処置した部分をしっかりと修復させるために安静が必要です。
装具固定期間は自分の意思で肩関節を動かすことができないため、
理学療法士が可動域練習を行います。
腫れや熱感がある時期のため、退院後もアイシングを行います。

 
術後7週~
この頃から反対側の手で支えて内、外に動かすことができます。


 
術後9週~
この頃から反対の手で支えて腕を上にあげることができるようになります。


 
術後11週~
この時期から修復した腱板に抵抗をかけることができます。
可動域を獲得してから腱板のエクササイズを行います。


 
術後3ヶ月
この時期までに手を頭に挙げる動作や、肘を開く動作の獲得を目指します。
腱板が順調に回復しても家事動作や自動車運転動作の獲得には3ヶ月かかります。あくまで、開始時期には個人差があります。
 
術後6ヶ月
この時期は、手術後の定期健診で可動域測定、疼痛評価、筋力評価、MRI撮影を行います。
MRI画像や筋力測定の結果をもとに、スポーツや余暇活動への復帰に向けて、必要な機能改善を図ります。
※その後、定期検診は、術後1年、術後2年で行い再断裂の有無や復帰状況の確認を行います。 
 
術後8ヵ月
重い荷物を持つこと、スポーツ復帰は、回復状況にもよりますが、この頃から可能です。※あくまでも目安であり、個人差があることをご了承ください。スポーツのレベルや種目によっても違いがあります。執刀医と相談しながら復帰を目指しましょう。 
 
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