第8回 日本ダンス医科学研究会学術大会への発表報告
大会テーマ:『生涯 ダンスを楽しむために』
3月5日に第8回日本ダンス医科学研究会学術大会が京都で開催されました。
今回、「バレエダンサーにおける足関節後方インピンジメント症候群に対する鏡視下手術後の経過報告」を一般演題とポスターで発表いたしました。
足関節後方インピンンジメント症候群(PAIS)は、バレエやサッカーなど、つま先を伸ばす動作が要求されるスポーツに多く発生します。
症状は、足首周辺の痛みで、つま先を伸ばした際に三角骨(上記レントゲン画像○印部分)という過剰骨が挟み込まれ、周囲の組織が炎症を起こすことで痛みが生じます。長期間にわたり症状の軽減が認められない場合は手術を検討します。
近年、医療技術の進歩により鏡視下手術が可能になりました。
また、早期スポーツ復帰が期待できるためこの術式を選択することが増えています。
そこで、バレエダンサーに対して鏡視下手術を行った症例の術後経過を報告しました。
術後の経過は、良好であり全症例が受傷前のレベルまでに復帰することができました
(治療成績100/100点)。
しかし、過去の先行報告が示している復帰時期(術後8-10週)の治療成績は、約90/100点と高い点数でしたが、復帰状況は、受傷前のレベルまでに至っていなかったことがわかりました。
この結果から、バレエへの復帰には一般的な身体機能を上回る機能の獲得が要求されるのではないかと思いました。
また、バレリーナに対して、それらを考慮に入れたより詳細な機能評価とその能力を獲得できるようなサポートが重要だと思いました。
ポスター発表で聴衆者から多く質問された内容は、リハビリテーションについてでした。
PAISの多くは手術をしなくても症状が改善するとの報告がありますが、そのリハビリテーションの内容については、様々あります。
今後も、臨床を通して研究や発表を継続し患者様一人一人に適した治療方法を提供していけたらと思います。
今回の大会テーマにもありましたが、プロフェッショナルだけではなく、バレエを楽しんでいるお子様や芸術を大切にしている皆様が、生涯それぞれの活動を健やかに続けられるよう、日々の臨床から外部活動に至るまで、より良い医療を当法人が提供できるよう努力したいと思います。
最後に、今回の学術大会を無事に終えることができましたのも、たくさんの方々からのご支援とご指導の賜物と、深く感謝しております。