第51回日本理学療法学術大会でのFAIに関する発表報告
5月27日から29日にかけて札幌で開催された第51回日本理学療法学術大会において、超音波検査装置を用いた体幹筋の機能について2つの口述発表を行いました。
今回の私の研究では、股関節痛などを引き起こすと言われているFemoroacetabular Impingement(FAI)症状を有する方は、そうではない方と比べて、下肢を持ち上げる動作を行なう際の体幹筋の活動パターンが異なるということがわかりました。
研究の目的は、FAI症状を有する方における運動課題を行なう際の腹斜筋群の動態を超音波検査装置で観察し、症状のない方と比較することです。
運動課題は下肢を挙上する動作(Active SLR)で、重りをつけない状態で行なう課題と4kgの重りを足部につけた状態で行なう課題の2課題としました。
この2課題を行った際の腹斜筋群を超音波検査装置で観察し、各筋の厚さを計測し比較しました。
内腹斜筋(IO)は、重りをつけた課題の時に、FAI症状のある群は症状のない群ほど筋の厚さが増加しないという結果となりました。
一方で外腹斜筋(EO)は重りのあるなしを問わず、FAI症状のある群の方が筋の厚さが有意に増加していました。
これらの結果から、FAI症状を有する群は下肢を挙上する動作の際に、FAI症状を有さない人とは異なる運動戦略を用いている可能性があると考えました。
理学療法士の学会ではFAIに関する研究は少ないのが現状です。まだ未開拓で分からないことが多く存在する分野であり、FAIによる股関節痛で悩まされている患者さんが多く来院される当院は学術的にも世の中に発信する責任を感じました。
これからもより良いリハビリテーションを提供できるよう努めてまいりたいと思います。