超音波検査

超音波検査の特徴 

その1:検査にかかる時間は数分、患部を露出できればすぐに検査できます。

その2:軟部組織の評価に特化

 足関節捻挫などの靭帯損傷や肉離れ、腱板断裂など軟部組織の異常を見つけるのに特化しています。
軟部組織の状態を素早く発見できるため、レントゲンと並んで当院では画像検査の第1選択に利用しています。当然ですが、必要に応じてMRI・CTも撮影します。

超音波診断症例集

当院の診察では超音波画像診断装置を用いて診察を行っています。
緒音波画像診断装置は検査が簡便で被爆や痛みも無く時間も手早く行えたりと非常に便利な検査方法です。
この検査ではレントゲンでは見ることができない軟部組織(筋肉、神経、血管など)を見ることができます。こちらのページでは診察時に超音波を用いて診断を行った症例を紹介します。

大腿直筋損傷

大腿直筋とは膝を伸ばす作用のある筋であり、スポーツ動作で非常に重要な筋です。損傷すると膝を伸ばした時のももの前の痛みが出現します。レントゲンで診断することは難しいですが、超音波を使うことで大腿直筋損傷を正確に診断することが可能です。
エコー観察箇所

大腿直筋のエコー画像(左:患側、右:健側)

大腿直筋のエコー画像(左:患側、右:健側)

患側の画像の赤丸で囲んだ部分が筋損傷している箇所です。同部をプローブで圧迫すると疼痛の再現が得られました。正常な健側と比較して大腿直筋全体が腫れていることも分かります。中等度~重度の筋損傷の場合、エコーでは血液が貯留や筋線維の不整がエコー検査で観察されます。

腓骨遠位骨端線損傷

腓骨遠位骨端線損傷は子供が捻挫した際に受傷することがあります。通常は前距腓靱帯やその靱帯が付着している部分の骨折が多いですが、骨端線を損傷する症例もしばしば存在します。外果(そとくるぶし)周囲の圧痛に加えて、外果の上の方まで圧痛があるのが特徴です。重症例はレントゲンでも診断することが出来ますが、軽度~中等症例はレントゲンでは診断が難しい場合があります。しかしエコーを用いることで正確に診断することが可能です。
エコー観察箇所 

腓骨遠位のエコー画像(左:患側、右:健側)

患側では赤丸で囲まれた骨端線内にエコーの侵入を認めます。また腓骨骨上に黒い領域が広がっています。これは骨端線から出血した血液が描出されています。合わせて皮下組織も腫れていることが分かります。

上腕二頭筋長頭腱炎

上腕二頭筋は肩を挙げる作用や肘を曲げる作用などがあります。そのため日常生活動作やスポーツ動作で痛みが生じやすい部位です。
上腕二頭筋長頭腱は結節間溝と呼ばれる狭い骨の溝の間を通過します。そのため骨と腱の間で摩擦ストレスが生じ、炎症が起きたり腱が肥大・変性(弱くなる)が起きることがあります。超音波で検査することで簡便かつ正確に診断することが可能です。

エコー観察箇所

上腕二頭筋長頭腱のエコー画像(左:患側 右:健側)


患側の画像の赤丸で囲んだ部分に水が溜まって炎症が起きています。黄丸で囲んだ部分が上腕二頭筋長頭腱です。正常な健側と比較すると腱自体が肥厚しているのがわかります。

股関節炎

股関節の周りには関節を保護する関節包が存在し、その周りに股関節を曲げる(屈曲させる)筋肉があります。関節の中に炎症が生じると歩行時痛や荷重時痛が生じることがあります。この症例は超音波検査を用いることで関節内に炎症が生じていることが分かった症例です。

エコー観察箇所


股関節前方のエコー画像 左患側:右健側

患側の画像では健側の画像と比較して赤い丸で囲った部分が黒く映っています。この黒く映った部分は水が溜まっていることを示しており、関節の中に炎症が生じて腫れていることが超音波検査から分かりました。
レントゲンでは関節内の明らかな炎症を特定することはできませんが超音波検査を用いることで関節内に炎症が生じていると診断されました。

膝蓋下脂肪体炎

膝蓋下脂肪体とは、膝蓋骨の下方にある軟部組織で膝にかかる負担を軽減してくれる、クッションのようなものです。炎症が起きると、体重をかけたり、踏ん張ったりする時の痛みが出現します。また、重症化すると膝を曲げるだけでも痛くなります。
レントゲンでは炎症を確認するのは難しいですが、超音波を用いることで正確に検査を行うことができます。

エコー観察箇所

膝蓋下脂肪体のエコー画像(左:患側、右:健側)

膝蓋下脂肪体のエコー画像
患側の画像の※が炎症が起きている箇所です。血管の拍動を見ることができるモードでは炎症が起きているとこは赤く表示されるようになります。
このことから膝蓋下脂肪体炎と診断できます。

肘関節滑液包炎

肘を曲げる部分には、関節と靭帯の間に滑液包という、袋が存在します。この袋がクッションの役割を担っているため、繰り返しストレスがかかり続けると炎症を引き起こします。炎症が起きると、肘の曲げ伸ばしで、痛みが生じます。この症例は超音波を用いることで炎症が生じていることが判明した症例です。

エコー観察箇所


肘関節滑液包のエコー画像(左:患側、右:健側)

肘関節滑液包のエコー画像
患側の画像の※が炎症が起きている箇所です。血管の拍動を見ることができるモードでは炎症が起きているとこは赤く表示されるようになります。
このことから肘関節滑液包炎と診断できます。

ATFL腓骨付着部裂離骨折

体育の授業中に足を捻り、足関節内側に違和感があり、足関節内側に超音波を当て検査をしました。
腓骨付着部剥離骨折➡足を捻挫した際に、捻り動作を制動する靭帯が腓骨に付着しています。
レントゲンでは靭帯の損傷は映りませんが、超音波検査を用いることで損傷の有無を把握できます。
エコー観察箇所

腓骨エコー画像(左:健側 右:患側)

腓骨の骨が足を捻った際に、靭帯に引っ張られ、赤く線で囲った場所が、痛くない足に比べて、骨が剥離してしまっています。
本症例は腓骨付着部剥離骨折と診断されました。

アキレス腱断裂

アキレス腱断裂は、踏み込みやダッシュ、ジャンプの際の急激な筋肉の収縮や、着地動作での急激な伸張によりアキレス腱の一部または全断裂を生じます。
症状の特徴は、受傷する際に後ろから誰かに蹴られたような衝撃があることや、爪先立ちが出来なくなるなどがあります。
レントゲンでは筋肉や腱は映らないため、断裂の程度やその他の疾患との鑑別に超音波検査が有用となります。
エコー観察場所

アキレス腱のエコー画像(左:患側 右:健側)

患側の記号(✴︎)が付いている場所に腱の断裂とたわみを認め、断裂部位の上方に黒く血腫が観察されます。
これらの画像からアキレス腱断裂と診断することが出来ます。

ばね指

ばね指とは、指の曲げ伸ばしの際に引っかかり感や痛みでスムーズに動かせなくなる疾患です。
腱は腱鞘(トンネル)の中を通り、スムーズな指の曲げ伸ばしが可能になります。
腱や腱鞘の入口(A1プーリー)の腫れが起きると指の曲げ伸ばしで通過障害が生じ痛みが出ます。
仕事で指を頻繁に使う方、糖尿病や関節リウマチの方などに多く発症します。

エコー観察場所

ばね指のエコー画像(左:患側 右:健側)

健側と比べ患側の屈筋腱肥厚を認め、✴︎の場所でA1プーリーの腫れを認めます。
これらの画像初見からばね指と診断することができます。
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