関節: 足関節
腓骨筋腱脱臼の術後リハビリテーション
外くるぶしの後ろにある腓骨筋腱(赤い矢印)は、強く足を踏み込んだ際に脱臼することがあります。
また、足首を内側に捻った場合にも起こることがあります。
症状としては、足首の過度な背屈時に腓骨筋腱が脱臼し、元の場所に戻る際に痛みや大きな弾発音がすること、足首の倦怠感が出現することがあります。
→ 腓骨筋腱脱臼とは
→ 腓骨筋腱脱臼の保存療法
手術適応
医師による問診でどのように受傷したのか、日常生活やスポーツ時に足首の脱臼感や痛みがあるかを確認します。
その後、単純レントゲン撮影やMRI検査により患部を確認し手術の適応かを判断します。
一度、腓骨筋腱が脱臼すると安定化させる組織が損傷するため、保存療法を行なっても腓骨筋腱の脱臼を反復し、不安感や痛みを訴える場合が多いです。
また、腱そのものがひどく傷ついている場合、必ず手術が必要です。
術後の松葉杖の使用期間(荷重量)
術後から腫れ・痛みに応じて荷重訓練を開始します。初めは体重の1/3から開始し1/2→2/3→全体重の順番で訓練を実施します。
体重の2/3以上かけることができれば片松葉杖へ変更し、歩行が安定したら松葉杖を外します。
術後の固定期間
昼間は弾性包帯を着用し、夜間は取り外しのできるギプス(シーネ)で固定します。術後約2〜3週で腫れが引いてから弾性包帯とシーネを外します。
術後のリハビリテーション
写真のように疼痛のない範囲で可動域訓練・筋力トレーニングを行います。〜可動域訓練〜
①タオルギャザー ②ヒールスライド
〜筋力トレーニング〜
③チューブトレーニング(底屈運動)
スポーツ復帰に関して
術後約4〜6週目から疼痛に応じて写真のようにスクワットやランジ動作・踵上げ動作などを行い、ジョギングを開始します。
術後約12週以降でスポーツ完全復帰を目標にします。
①スクワット ②フロントランジ ③サイドランジ
④両足踵上げ ⑤片足踵上げ
⑥その場でジョギング
通院期間
術後は傷口や炎症の管理を行うため、目安として約1ヶ月間は週に2回の頻度で来院するようにお願い致します。状態によっては、リハビリ頻度に変動があります。
日常生活・スポーツへの復帰など、術後約3ヶ月を目安にリハビリを行い、活動ができるレベルへ達したら治療終了となります。
腱や軟骨などの組織にも処置した場合、リハビリ内容や復帰時期は異なりますので、医師とリハビリ担当者の指示を確認して下さい。
Q&A
Q1:術後の痛みはいつ治るの?A:手術後約3週間は炎症期で痛みと腫れが出現している状態です。
その後、徐々に痛みと腫れが軽減していきます。
しかし、適切な荷重量や活動量を守らない場合は、痛みや腫れが再燃する可能性があるため注意する必要があります。
Q2:術後の日常生活(仕事復帰)はどうなるの?
A:歩くことは、基本的には術後1日目から松葉杖を使用して可能です。腫れ・痛みに応じて荷重量を増やしていきます。
お風呂は、術後2週以後で傷口が閉じたと医師が判断し抜糸を行なった後に入ることができます。
その間は、患部を防水シールで保護しながらシャワーのみで行います。腫れが強い場合は、温め過ぎないように注意して下さい。
仕事復帰は、デスクワークであれば術後約1〜2週を目安に可能です。
痛みや腫れの状況、通勤手段や距離などによる総合的な判断が必要ですので、医師またはリハビリスタッフにご相談下さい。
Q3:退院後、リハビリに通う頻度は?
A:退院当初は、痛みや腫れの状況や傷口に感染がないかなどの確認のためにも週2~3回は通っていただきます。
その後は患部の状態に合わせて徐々に頻度を減らしていきます。
Q4:スポーツ復帰はいつから?
A:術後約4週目から可動域・腫れ・痛み・筋力に応じてジョギングを開始します。
その後ダッシュやジャンプ、ステップなどの練習を行い、術後約12週以降でスポーツ完全復帰を目標にします。
当院の足関節担当医
足関節担当医: 森 裕祐 医師診察日:毎週火曜日、不定期土曜日
足関節を専門とするリハビリテーションスタッフ
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