肩関節の外来
- 2016/02/12
肩関節は人体において最も可動範囲が大きく、最も脱臼しやすい関節です。
多くは、転倒転落事故やスポーツ時の接触プレーなどの外傷により生じ
その後、何度も脱臼を繰り返す反復性脱臼へと移行することがあります。
肩関節脱臼に対する保存療法(リハビリテーション)の目的は、整復後の再脱臼を予防し
反復化を防ぐことです。
はじめて脱臼した場合、整復後直ちに装具(三角巾)を用いて固定し、肩関節を安静にします。
この時期のリハビリテーションは、肩甲骨や胸郭、脊柱、肘・手関節といった肩以外の部位が
硬くならないように患部外のトレーニングを行います。
装具の除去後は、積極的に肩の機能(可動域や筋力)に焦点を当てリハビリテーションを行います。
<リハビリテーション >
肩関節の可動域トレーニング
固定期間中に硬くなった肩関節周囲の筋肉や靭帯、関節包などの軟部組織に対し、
ストレッチやリラクゼーションを行い肩関節の可動域を改善します。
また、受傷直後から行っていた肩甲骨や胸郭、脊柱の可動域トレーニングは引き続き行います。
筋力トレーニング
再脱臼が生じないように肩関節の安定性を高めるために
肩甲骨や肩関節周囲の筋力トレーニングを行います。
反復性脱臼の場合はこの筋力トレーニングが非常に重要です。
8週目からは自身の行うスポーツの特性にあった接触のないトレーニングを行い、
全身的な筋力強化を行います。
12週目からはコンタクトスポーツ、オーバーヘッドスポーツを開始し競技への完全復帰を目指します。
※肩関節脱臼では肩関節を安定させるの靭帯や関節包などの組織が肩甲骨の関節窩から剥離することが多く、
また肩甲骨や上腕骨の骨折を伴うこともあります。
脱臼が初めてであっても組織の損傷が大きい場合や、何度も脱臼を繰り返している場合、保存療法で
症状の改善が得られない場合は手術適応となることがあります。
医師が診察を行い患者様と相談の上、治療方針を決めますので、自己判断せず病院の受診をお勧めします。
※手術療法の解説はこちらをご参照ください
→ 肩関節脱臼の鏡視下手術
※手術後のリハビリテーションに関してはこちらをご参照ください。
→ 手術後のリハビリテーション
※写真をクリックすると紹介文が表示されます。
※専門スタッフのリハビリテーションを希望される場合は、初診時の問診票に名前の記載をお願いいたします。
理学療法士:菅 聖
Ver.4 2019.12.21