急な肩の痛み 石灰沈着性腱板炎の治し方

肩が痛い 石灰沈着性腱板炎とは

肩のインナーマッスルである腱板に、リン酸カルシウム結晶が溜まることにより起きる疾患です。
好発年齢と性別は40~50代の女性ですが、20代から年齢問わず見られます。
女性の発症が男性の約4倍であり、女性に多く見られます。

この結晶は初めは柔らかく、年月が経つにつれて硬くなっていきます。石灰化といいます。

結晶が硬く大きくなっていくと、腱板を包んでいる滑液包から石灰が破れてでることがあり、その時は激痛が生じます。
急に痛みが出る急性症状と、痛みがずっと続く慢性症状の2通りがあります。

レントゲンを撮って初めて結晶の有無が判明します。

腱板に結晶ができてしまう原因は? 

まず、何かしらの原因で肩の腱板に炎症が起こり、炎症の結果、結晶が発生して沈着するという説もありますが、詳しい原因はわかっていません。

主な症状は??

明らかにきっかけが無く、とつぜん痛みが生じ、悪化していく急性症状 
この場合は夜寝ているときに強い痛みが出て寝れない、少しの動きでも強い痛みが出るなどの症状です
夜間痛が無い場合でも、腕挙げる、回すなど、ほぼすべての肩の動作で痛みが出る場合が多いです。

中等度の動作時痛が続く亜急性期症状

動作時痛が6ケ月以上続く慢性症状 
があります。

診断 検査方法

まずは医師の判断でレントゲン検査が行われます。
超音波検査では腱と石灰の位置がわかります。石灰がある場所で超音波検査機器の先端を圧迫し、痛みが出たら石灰沈着性腱板炎とわかります。
医師による身体所見と、画像所見にて診断していきます。

丸の中の白いもやもやしたものが石灰です

治療の種類 保存療法

まずは保存療法を選択します。保存療法とは手術以外の治療方法です。
急性期
急性期の強い痛みに対して痛み止めの内服、場合によりステロイドの患部への注射で痛みをコントロールします。
痛みが軽減してきたら、痛みで動かせなくなっていた肩のリハビリテーションを行います。

 
慢性期
痛みが長く続くと、知らずのうちに肩を動かさなくなる習慣ができてしまいます。そうすると肩の筋肉がだんだん硬くなってしまい、肩が動かしづらくなり生活に支障が出てきます。
この状態を、運動療法を含むリハビリテーションで改善していきます。リハビリは専門のセラピストが患者さんの症状に合わせて個別の計画を立てて実施していきます。
状況により痛み止めの内服、注射の検討もします。

肩のリハビリテーションの実施

急性期に行うこと
急性期・炎症期の痛みを少しでも早く無くすために、安静時や就寝時の姿勢・ポジションの確認をセラピストが行います。
慢性期に行うこと
石灰によるひっかかりの予防を行います。
肩甲骨回りのストレッチ・トレーニングを行います急性期の期間に動かせず、硬くなった筋肉のマッサージ、ストレッチ、
筋力トレーニングを実施していきます。
リハビリテーションの主な内容
棘下筋、小円筋などの肩関節周囲のマッサージや肩関節周囲の筋力トレーニング(収縮練習)を行います。

肩甲胸郭関節のモビライゼーションを行います。
→肩回りの筋肉が硬くなると可動域制限がでるため、硬いところを緩めていきます。
→ご自身の力で動かせるように、徐々にトレーニングへ移行していきます。

体外衝撃波治療 リハビリを行っても症状がなかなか改善しない場合

リハビリテーションを行って症状が改善しない場合は、体外衝撃波治療があります。
痛みの箇所に衝撃波という圧力波を照射します。

衝撃波による作用は、照射周辺領域への機械的な細胞刺激による除痛効果と組織の修復です。
初めは低出力で照射を開始し、徐々に出力を上げ、痛みの我慢できる範囲の出力で行っています。
体外衝撃波治療に関して詳しくはこちらまで

↑体外衝撃波治療装置
肩の痛み予防について
普段の姿勢を意識することが、肩の痛みの予防に繋がります。
意識して欲しい姿勢↓

背中の肩甲骨を寄せ、胸を張るイメージです。こうすることにより肩関節本来の可動域を保つことができます

こちらは改善が必要な姿勢です↓

上半身が猫背で、巻き肩になってしまっています。
この姿勢では肩の動きに制限が出てしまいます。その結果、自然に肩が使われなくなってしまい次第に肩関節が硬くなっていく可能性があります。
 
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