仙腸関節障害　どんな症状？

・片方のおしりの周辺が痛い
・太ももの付け根が痛い
・椅子に座ると痛い
・動き出しが痛い
・出産の後、おしりあたりが痛い　など



片側の殿部痛(おしりのあたりの痛み)、鼠径部(そけいぶ)痛や下肢の痛み、しびれ などの症状が出現します。
痛みの約50％で殿部痛、鼠径部痛があり、この疾患の特徴は 片側に出現する ことです。

仙腸関節とは

骨盤は腸骨ー坐骨ー恥骨で構成される寛骨(かんこつ)、仙骨、尾骨で構成されます。
その中でも「仙腸関節」は腸骨と仙骨2つの骨の間にある関節です。
仙腸関節の周囲は強固な靱帯により固定、安定されていますが、わずかに動くと言われています。
 

仙腸関節の役割

仙腸関節は上半身、下半身からの衝撃を吸収し分散する役割があります。

仙腸関節障害　原因

中腰での作業、急な動作、同じ動作の繰り返しなどで、
仙腸関節が緩んだり靭帯が伸びることで衝撃吸収がうまくいかず関節の炎症がおこります。

また、体幹や股関節周囲の筋力が落ち、仙腸関節や靱帯への負担が大きくなることで骨盤の不安定な状態が出現し、痛みがでます。
仙腸関節由来の患者数は若年層から高齢層まで、幅広い年齢で、1：2の男女比で女性に多く見られます。
 

診断、診断方法など　

仙腸関節性由来の腰痛は、レントゲンやMRI、CTで異常所見がないことが多いため、症状や身体所見で診断します。
殿部痛の特徴として、痛い場所を指1本で示すことができること（one finger test）があげられます。(上図)
 
片側の腰殿部痛（one finger test）が認められ、
疼痛誘発テスト（Newton変法、腸骨回旋ストレステスト(Gaenslenテスト)、腸骨開排ストレステスト(Patrickテスト)の1つ以上が陽性）を行います。
これを点数化し、何点以上は仙腸関節障害の疑いがあるという風に評価をしていきます。

仙腸関節由来の痛みが疑われれば、 診断を兼ねた 仙腸関節ブロック（痛み止め注射を打つ） を行い、
70％以上の疼痛が減る場合は仙腸関節性由来の腰痛と診断します。

 仙腸関節性腰痛には大きく3つに分けられます。それぞれの型によって治療方法は異なります。

a.ニューテーション型（仙骨を起き上がり方向に誘導して痛みが軽減する）
b.カウンターニューテーション型（仙骨をうなずき方向に誘導にして痛みが軽減する）
c.不安定型（骨盤を左右から押さえることで痛みが軽減する）
 

仙腸関節障害　当院での主な治療について

痛みの軽減を目的に診断を兼ねた 仙腸関節ブロック注射  、薬物療法、リハビリテーション、装具療法を組み合わせて行っていきます。
リハビリテーションでは疼痛の軽減が図れる骨盤の位置に修正し、
それを保てるように骨盤周囲筋の筋力強化やストレッチを行い、原因動作の修正を行うことで、痛みの軽減を目指します。

 

装具について

仙腸関節障害が疑われた場合、骨盤部分の圧迫、骨盤の安定を目的としたショートサイズのサポーター(コルセット)の処方を検討します。

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担当医の紹介 （名前をクリック）

江口　直

脊椎・骨粗鬆症外来日　：　毎週 月曜日 　終日

頸椎、腰椎などの脊椎の専門的な診察および治療を行っています。
様々な治療法の中から患者さんに適切な根拠に基づいた治療をご提案しています。
手術の適応患者さんには低侵襲な内視鏡手術を、手術を希望されない患者さんには、神経根ブロック、運動療法などの保存療法を提案しています。ご自身の病状を理解していただき、治療のご希望をお聞きした上で治療方針を決定しています。

 

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