関節: 肩関節, 股関節
スポーツ: 野球, バスケットボール
野球
野球でよく起きる疾患について紹介します。
投球障害肩、野球肩
投球障害肩は総称での呼び方で、実際には様々な障害が起きています。オーバヘッド動作で必要な機能改善を行います。
多くは姿勢の問題があり、胸椎の後弯を伴った姿勢不良(猫背)が影響します。
また、胸椎との関係性が強い胸郭(肋骨)の動きや、肩甲骨の動き、筋力の改善、肩関節の安定性に必要なインナーマッスルのトレーニングを中心に行います。
一般的には特定の動作で疼痛がなくなれば競技復帰を考えます。
インピンジメント症候群
インピンジメントとは「衝突、挟み込み」という意味をさし、肩関節周辺の組織が骨と骨とでインピンジしているときに痛みを発することを言います。どことどこと部位でインピンジメントしているかで病名も病態も変わります
〇肩峰下インピンジメント症候群
肩関節上方でインナーマッスル(棘上筋腱)や軟部組織(肩峰下滑液包)が肩甲骨・靭帯と上腕骨の間に挟み込まれて発生します。投球フォームではトップの位置、いわゆるしなりを作るフェーズで痛みを訴えることが多いです。
●インターナルインピンジメント症候群
インナーマッスル(棘上筋・棘下筋)が肩関節にある軟骨(関節唇)に接触したり、挟み込まれることで肩後上方付近に痛みが発生します。投球フォームではしなりを作るフェーズからリリースに向けた加速をする位置での疼痛を訴えることが多いです。
腱板損傷・腱板断裂
肩関節を守る腱板が繰り返しのインピンジメントによる摩耗で損傷を受けます。棘上筋、棘下筋が多く損傷します。
部分的に損傷していると腱板損傷、断裂していると腱板断裂と言います。
腱板損傷があると肩を動かすときの筋肉のバランスが悪くなり投球フォームの腕を後ろに引いたフェーズからリリースまでの部分で痛みを訴えます。
SLAP lesion
力こぶを作る筋肉、上腕二頭筋は肩関節の関節唇という部分に付着を持ちます。投球時の肩関節の外転―最大外旋位(いわゆる腕がしなった状態)となることで上腕二頭筋の付着部に捻れが生じ、その捻り力が付着部に伝達する“Peel back mechanism”によって上方関節唇付着部の剥離をもたらし、SLAP損傷が生じると考えられています。投球フォームではしなりを作るフェーズもしくはリリースからフォロースルーにかけて痛みを訴えることが多いです。
上腕二頭筋腱炎
上腕二頭筋は肩関節前面を走行し急激に角度を変えて肩関節方向へ転換します。そのためこの角度が変わる部分や肩関節前面を通る部分で刺激を受けやすいとされます。
間違った投球フォームや投球、送球の繰り返しのストレスで肩関節は後方組織が硬くなりやすくなります。
後方組織が硬くなった状態でしなりや投球を行っていると上腕骨頭が前面に押し出されるストレスへと変化します。
この上腕骨頭が前面に押し出されたストレスが上腕二頭筋にストレスを与え炎症をきたし肩の痛みを訴えます。
投球フォームではしなりを作るフェーズで痛みを訴えます。
腋窩神経障害(QLSS)
投球、送球の繰り返しのストレスで肩関節後方組織が硬くなりやすくなります。後方組織が硬くなることで走行している末梢神経(腋窩神経)を圧迫してしまうことがあります。
腋窩神経が圧迫されると「投球時に肩の外側が痛い」、「腕がしびれるような感覚がある」といった症状が出ることがあります。
この圧迫が起きやすく、腋窩神経が筋肉の間を通る部位をQLS:Qaudri Latelal Space(クアドリラテラルスペース)といいます。
投球フェーズではしなりを作るフェーズで痛みを訴えることが多いです。
上腕骨近位骨端線損傷(little leaguer‘s shoulder)
少年、少女で野球をしている選手で投球時の肩の痛みを訴えることはありませんか?成長期に投球時の肩の痛みがあるときはまずこれを疑います。
それが「上腕骨近位骨端線損傷」と言います。
成長期の骨には成長を促す「成長線」、「骨端線」が存在します。
「成長線」に投球による ①遠心力により引っ張られる力 ②捻じる力 ③上腕骨を正しい位置に留めようと引っ張る力
が加わることで「成長線」の間に歪みが生まれてしまうことを言います。
上記のようにレントゲン検査が必要になるため痛みを訴えたら必ず医療機関を受診するようにしてください。
肘関節内側側副靭帯損傷
肘関節には内側、外側に靭帯を持っている内側は「内側側副靭帯」、外側は「外側側副靭帯複合体」と称する。
投球時に損傷しやすいのが「内側側副靭帯」である。
投球時のしなりからリリースかけてに生じる肘外反ストレスの繰り返しにより「内側側副靱帯」が伸張されることで起こる。
米国の大学における障害調査では野球競技者 10000 名あたり 1.12 名の発症率であった。
近年メジャーリーグでの活躍が目覚ましい某選手たちも罹患している疾患だ。
上腕骨内側上顆骨端線損傷
成長期にある「成長線、骨端線」は骨の多くの場所に存在するそのうち肘内側側副靭帯や手首を曲げる筋肉が付着する肘内側の骨の出っ張り部分「上腕骨内側上顆」では
投球時の肘外反ストレスで「成長線」が牽引され損傷を起こすことがある。
原則、レントゲン検査での評価を行う
病態に応じて投球制限をかけることがある
離断性骨軟骨炎
聞きなれない病気だと思うが少年、少女野球選手の有病率は2.2%とされている肘を構成する骨に上腕骨が含まれる、上腕骨の小頭という部分には軟骨が存在し投球時のストレスにより軟骨が損傷することで起きる
投球時ストレスは圧迫力と剪断力と言われている。
また、身体的な要因もあり血行障害、ホルモン異常、遺伝性体質素因が上げられる。
病態が発見されると投球休止を基本とした理学療法を主に実施する
両者を行った骨修復率は90.5%と高い数値を出している。
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