テニス

テニスで多い疾患を紹介します。

肩の痛み

肩峰下インピンジメント症候群
肩関節上方でインナーマッスル(棘上筋腱)や軟部組織(肩峰下滑液包)が肩甲骨・靭帯と上腕骨の間に挟み込まれて発生します。
主にオーバーヘッド時のサーブやスマッシュの時に痛みを訴えます。
肩の動きは肩甲骨、背骨、胸郭の動きとの関係性が強いと言われています。
肩が悪いのではなくその他が動いていない、硬くなることで痛みが出ているかもしれません。
腱板断裂
肩関節を覆うインナーマッスルが軟部組織や肩甲骨、靭帯との間に挟み込みが何度も生じていると断裂することがあります。
主に棘上筋、棘下筋が多く損傷します。

断裂にはサイズがあり断裂部分が大きくなるにつれて場合によっては手術が必要になることがあります。
痛みが強く出ることもありますが無症候性も存在します。
力が出にくくなると断裂しているかもしれません。

肘の痛み

外側上顆炎(肘外側の痛み)
テニスで肘の外側が痛いと思ったことはないですか?
それは外側上顆炎という腱付着部の病態かもしれません。
中年以降のテニス愛好家に生じやすいので「テニス肘」と呼ばれることが多いですが、一般的には年齢とともに腱が痛んで発症します。

手や指を伸ばす筋肉が肘外側に付着します。

この中でも主に ②短橈側手根伸筋付着部 での損傷が多いです。

【どんな症状が出るの?】
物をつかんで持ち上げるような動作
テニスでのフォアハンドバックハンド

【どんな動作で痛みがでるの?】
手首を反らす動作
肘を伸ばして物を持ち上げる動作

【なんで痛くなる?】
一般的には腱の老化ですが、テニスで痛みが出現するときは動作に問題があるときが多いです。
肩関節や上半身の硬さがあるときは肘や手首での代償でプレーを行うことが多くみられます。
また、持久力やフットワークの低下も影響すると考えられています。

手首の痛み

TFCC損傷
手関節の小指側には手関節のクッションとして軟部組織(三角繊維軟骨複合体:TFCC)と言われるものがあります。

主に手をついたり、曲げたり、捻ったりするときのクッションとして働きます。

テニスをしていると手首を捻る、曲げる動作が多く加わります。
このような動作が繰り返されることで痛みを訴えることがあります。

【どんな症状が出るの?】
ドアノブをあけるときに痛い
鍋を持ち上げるときに痛い
テニスのフォアハンドで痛い

【なんで痛くなるの?】
テニスの動作(フォアハンドなど)で手関節を尺屈・背屈(反らして小指側に傾ける)動作でTFCCは上下の骨に挟まれます。
そこに手関節の回内・回外(手首を捻る)動作が加わることで挟まれたTFCCにねじりの力が加わり痛みが出てしまいます。
 

腰の痛み

筋筋膜性腰痛
腰の痛みは筋肉による痛みも多く腰の筋肉の緊張と損傷による痛みで「筋筋膜性腰痛症」という症状があります。

【どんな症状が出るの】
・腰を丸めると痛い
・腰を反ると痛い
・腰を捻ると痛い
・力を入れると痛い

【なぜ痛くなるの?】
・腰が反りやすい
・腹圧が弱い
・股関節が硬い
・胸郭が硬い

腰の痛みは一般的には「姿勢」や「下半身や上半身の硬さ」が影響すると言われています。
体幹と言われる腹部の筋肉が弱いこと、腰と連結する股関節や胸郭の硬さが原因で腰の過剰な動きがおき
腰の筋が緊張し痛みを感じていることが多くあります。

姿勢が悪い・肩が上がらない・前屈ができない・腰を目一杯反らせない…などが影響します。

テニスの動作でも同様にサーブやスマッシュの時に股関節や肩関節が動かず腰を動かしていませんか?
ステップするときに股関節は動いていますか?
 

膝の痛み

半月板損傷(膝内側・外側の痛み)
主にはスポーツ中に損傷することが多く、急激な回旋ストレスが膝に加わると損傷します。
膝が内に入り、つま先が外に向く動作「Knee-in,toe-out(ニーイン,トーアウト)」で受傷することが多い。


膝関節にはクッションの役割として「半月板」が関節内に存在します。
荷重時の軟骨を守ったり、曲げ伸ばしの膝の動きに合わせて動くことで膝の曲げ伸ばしをしやすくします。
スポーツ中に急激なストップや切り返し、ジャンプ着地などで膝を捻るような動きが加わるとその回旋ストレスに侵され擦り切れたり、
一部がはがれたような損傷をします。
また、一度の衝撃でなることもありますが長年蓄積され慢性的に損傷していることもあり何かのきっかけで痛みを訴えることもあります。
膝蓋大腿関節症(膝前面の痛み)
【どんな症状が出る?】
・お皿を押えると痛い
・膝を曲げると痛い
・階段で痛い

【考えられる原因は?】
・もも前の筋肉が硬い
・筋力が弱い
・膝を頑張って曲げ伸ばしする

膝蓋骨、大腿骨で構成される関節を「膝蓋大腿関節」という

この関節に負担がかかることで膝前面の痛みを感じるようになる

スポーツ中は少なからずスクワット姿勢(パワーポジション)をとり、次の動きに備えます。

動作をするときも腰は浮かず下げたまま動作をすることが多くあります。
この時に体重が後ろになってしまうことでもも前の筋肉が硬くなり
特に膝蓋大腿関節に負担がかかるとされています。
もも前の筋肉が硬いだけではなく、パワーポジションをうまくとれていることが大切になる

足首の痛み

足関節捻挫
足関節は内側と外側に安定性を増加させる靭帯を持ちます。
外側靭帯は足前面から「前距腓靭帯」、「踵腓靭帯」、「後距腓靭帯」から構成される


内側靭帯、外側靭帯とどちらも捻挫することがありますが外側靭帯を損傷することが圧倒的に多く
外側靭帯の中でも前距腓靭帯を損傷することが多いです。

損傷機序としては「内返し」という、いわゆる捻った機序が多い


損傷度合いは3段階で表し、Ⅰ~Ⅲ度に分類される
Ⅰ度損傷:靭帯の微細損傷
Ⅱ度損傷:靭帯の部分断裂
Ⅲ度損傷:靭帯の完全断裂
※複数の靭帯損傷を合併していても各靭帯ごとに分類する

損傷後は腫れ、内出血、熱感を持ちます。
急性期(受傷から2~3日)はRICE処置を中心に行いましょう。
※RICE(ライス)処置:Rest(レスト)…安静、Ice(アイス)…冷却、Compression(コンプレッション)…圧迫、Elevation(エレベイション)…挙上

今まで何度も捻挫をしたことがある、捻挫が癖ですという選手もいます
損傷靭帯をそのままにしてしまうと損傷部分は完治せず
次の怪我へと繰り返されてしまうそのため靭帯が伸び安定性を獲得できていない状態となる
 

その他のスポーツ疾患

AR-Exグループ クリニック