野球肩の投球フォームやリハビリについて
投球フォームのフェーズ分け
投球フォームは大きく分けて以下のフェーズに分類されます。各フェーズごとにチェックしている内容が異なるので紹介していきます。
〇ワインドアップ期
構えてから脚を最大に上げるまで
片脚立ちのバランスと骨盤や背骨の状態を確認します。
〇早期コッキング期(アーリーコッキング期)
片脚立ちになってからステップ脚を接地するまで
腕の引き方、骨盤の状態、下肢の動作、ステップ脚の接地位置を確認します。
〇後期コッキング期(レイトコッキング期)
ステップ脚接地後、肩関節外転-最大外旋位(しなり)を作るまで
下半身、上半身の分離運動、胸郭の分離運動、背骨の反り、肩関節の可動域を確認します。
〇加速期(アクセレレーション期)
肩関節外転-最大外旋位(しなり)からリリースまで
肩関節の可動域、肘下がりや体の開きを確認します。
〇リリース
リリースポジションの確認をします。
〇フォロースルー
患者様それぞれで投球フォームも様々です。
多くはレイトコッキン期~リリース期の間で痛みを訴えることが多いため、
痛みが出るフェーズやそれまでのフェーズでのリハビリを行います。
各フェーズごとのリハビリ
投球時の痛みはレイトコッキング期~リリース期の間で起こることが多く可動域や筋力動作チェックなど行い問題があれば各フェーズごとにリハビリを行います。
〇ワインドアップ期
ワインドアップ期のリハビリは片脚時の安定性を維持できるかが重要になります。片脚時に猫背や骨盤の傾きに異常があればその後のフェーズに影響を与えます。
①体幹トレーニング
②骨盤可動性エクササイズ
③立位動作安定性増加トレーニング
〇早期コッキング期(アーリーコッキング期)
ここではワインドアップ期で溜めた力をどれだけ推進力としてキャッチャー方向へ出力できるかを確認します。そのために必要なのが沈み込む力(Drop)と推進力を生む力(Lean)です。
この二つの力が上手く釣り合わないと一般的によくないとされる「インステップ」や「体の開き」、「手投げ」といったエラー動作につながります。
①体幹トレーニング
②骨盤可動性エクササイズ
③胸郭、肩甲骨可動性エクササイズ
〇後期コッキング期(レイトコッキング期)
最も痛みを訴える選手が多いフェーズですレイトコッキング期よりも前段階でのエラー動作がある場合。
また、手が肩よりも上に上がるフェーズになるため肩甲骨、胸郭、胸椎が連動して動いていないなど
様々な要因が影響するため痛みを訴えやすいといいます。
上半身・肩周辺の柔軟性と力、下半身の柔軟性と力、上半身と下半身の分離した運動などできなければいけないことがたくさんです。
①胸郭、肩甲骨可動性エクササイズ
②肩甲骨トレーニング
③肩甲骨、腹部トレーニング
④四股踏みスクワット
⑤内転筋トレーニング
〇リリース期
最後にリリースでは最後のボールへの力の伝達が上手くいくかでコントロール、球速に大きく影響します。そのため、肩甲骨はより強固に固定できていなければいけません。
①肩甲骨トレーニング
②内転筋・殿筋トレーニング
ここではごく一部のトレーニングのみを載せています。
各選手にあったトレーニングを処方しますので気になる方はご相談ください。
主にリハビリでは肩の痛みをとるところから開始します。
可動域や柔軟性の改善が見えてきたころに体幹や下半身トレーニングを開始することが望ましいと言われています。
また、各フェーズごとにトレーニングを行ってもすぐに投球時の痛みが改善するわけでなく投球フォームの修正も必要になります
実際に投球している動作や動画などを確認しトレーナーと協議しながら回復への道を早めます。