第25回SAQシンポジウム 参加報告

場所:大宮ソニックシティー
日時:2019/1/26~1/27
 
日本SAQ協会が主催するシンポジウムに参加してきたので報告致します。



突然ですが、速さとはなんでしょう?
動きの速さはどのスポーツにも必要とされますが、一言で速さといっても種類は様々です。100mを走る時の速さ、ストップからジャンプまでの切り返しの速さ、野球の盗塁での状況判断の速さなどがあります。SAQとはSpeed・Agility・Quicknessの頭文字をとったもので、SAQ協会では速さをこの3つの要素に分類しています。元々は1980年代のアメリカで誕生した概念で、1990年代に日本にも伝わり日本SAQ協会が発足しました。今回のシンポジウムではスポーツに携わる様々なゲストが集まり、情報交換を行うイベントでした。
栄養学・装具・ITでのスポーツ情報戦略などの議題がありましたが、アメリカ人講師の実技指導について紹介したいと思います。
 
<James Radcliffe氏 様々なレベルにおける運動選手のためのスピードトレーニングアプローチ>
Radcliffe氏は素早く動くために股関節の動きの重要性を指摘していました。速く走る時に膝より先を前に伸ばして移動距離を大きくしようとする選手をときにみかけます。(図1)膝より先が伸びてしまっていると重心は着地する足よりも後方にあり、速く進むことはできません。

                            

    図1

膝をたたみ、膝先を引き上げる(股関節を曲げる)ことで重心が移動し前進力へと変わります。股関節の曲がりをHipHingeと言いますが、このHingeが重要であると説明しています。(図2)

                

   図2

また着地時も、蹴り上げるイメージでは後方に脚が流れてしまうため、地面を押し付け(Push・Pistonと表現していました)、今度は股関節を伸ばしながらロックし地面からの反力を最大限に活用するように指導していました。(図3)

                 

   図3

当たり前に思えるかもしれませんが、小学生~高校生においても走ることの指導を受けていない場合に起こりうる状態です。
トレーニング方法は最近では動画サイトや書籍などで多数みかけるようになりました。しかし、本当の意味で指導できているか省みる必要があるかもしれません。やり方だけを真似しただけでは本当の意味の効果が期待できません。例えば、ラダーを用いたトレーニングをしていてもそれがドリルをこなすためだけのものになっていないか、最終的に走力アップ・方向転換時間短縮に結びついているかコーディネートすることが必要と感じました。

<Scott Phelps氏 バスケットボール選手に対するSAQ総合アプローチ >
日本SAQ協会のテクニカルアドバイザーでもあるScottPhelps氏にはドリルでの着眼点について指導を受けました。スタート時のポジション、方向転換時のHipHinge、足底接地時間と部位、利き側と非利き側の動作の違いなどです。選手によって苦手とする箇所が異なりそれぞれの問題を細分化したトレーニングを実施していくことで、スポーツ特性に関係なくベースラインとして競技パフォーマンスを引き出すことができます。
 
クリニックでは環境面からダッシュなどの指導を行うことは難しいですが、リハビリテーションの段階でもHipHingeができるように動作修正することや2m四方での切り返し動作を習得することは可能です。残念ながら現場を離れてしまった状態からなるべく早くプレイヤーとして復帰するために今回学んだことを積極的に取り入れていきたいと思います。

                      

                                                                          左Phelps氏 右Radcliffe氏
 
長野整形外科クリニック 理学療法士 髙野 秀人
長野整形外科クリニック
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