腱板断裂の術後リハビリテーション

鏡視下腱板修復術を行った場合は、術後のリハビリテーションで腱板の機能を戻すことが重要です。
リハビリテーションは、腱板の断裂サイズによって治療プログラムが異なります。

関連リンク

腱板断裂とは
手術決定~入院について
手術・入院費用について

腱板断裂サイズについて

腱板の断裂サイズは、超音波画像やMRI画像で医師が診断します。
1㎝未満   → 小断裂
1~3㎝未満 → 中断裂
3~5㎝未満 → 大断裂
5㎝以上   → 広範囲断裂

鏡視下腱板修復術後の固定期間と装具の種類

腱板が十分な強度まで修復されるまでには時間が必要です。処置した腱板にストレスを加えないように、術後は一定期間装具を装着します。この期間に肩を不用意に動かしてしまうと、再断裂してしまう可能性があるため、注意が必要です。
装用する装具と固定期間は断裂サイズによって異なります。

術後の固定期間

小断裂、中断裂   → 3週間
大断裂、広範囲断裂 → 6週間(1~3週目:75°、4週目:60°、5週目:45°、6週目:30°)

術後の装具

術後に使用する装具は、断裂サイズの違いにより、外転枕(脇の下に入れる装具)の大きさが変わります。
小断裂       → ウルトラスイング(外転枕なし)
中断裂       → ウルトラスイング(外転枕つき)
大断裂、広範囲断裂 → ken bag


ウルトラスリングⅢ(小断裂 外転枕なし)


Ken bag(大断裂、広範囲断裂)

※装具の装着方法を知りたい方はこちらをご参照ください。
→  「ウルトラスリングⅢ装着方法」   
→  「Ken bag装着方法」

鏡視下腱板修復術後のリハビリテーション
【小断裂・中断裂】

術前
術前の肩関節の動きは術後にも影響します。術前の動きが良ければ術後の経過も良いと言われています。そのため術前はリハビリテーションで可動域の改善を目指します。また、術後の装具着用や更衣動作をスムーズに行えるように練習します。
▼片腕の更衣や非利き腕で字を書いたり箸を持つ練習方法、就寝時の姿勢など術後の日常生活動作資料はこちらをご覧ください。
鏡視下腱板修復術後の日常生活動作資料

術後早期
術後早期は炎症が発生し、過度な固定で血液循環が悪くなります。術後3週間は術部の炎症を抑えつつ、血液循環や姿勢の改善など患部への負担が軽減するように患部以外(手首、肘、肩甲骨、体幹)のプログラムを実施していきます。
術後3週間は処置した腱板を修復させるために安静が必要です。安静期間中は、理学療法士が可動域訓練を行います。
小断裂・中断裂の場合、肩関節のリハビリテーションは反対側の手を使って他動的に開始します。
腫れや熱感がある時期のため、退院後もアイシングを行いましょう。

可動域のスケジュール
【小・中断裂】
屈曲:自動介助運動は5週目~、自動運動は7週目~
回旋:自動介助運動は3週経過後~、自動運動は5週目~

術後3週経過後
反対側の手で支えて肩を内外に動かしていきます。(回旋自動介助運動)


術後4週目
小断裂・中断裂では3週間後に装具を外します。腱板修復は進んでいますが、強度は不十分です。
装具を外した後も肩関節は自力で動かさないように、身体の横で力を入れず自然に腕を下ろす状態にしましょう。歩行時の腕の振りは許容範囲内の運動です。

術後5週目
この頃から、肘を曲げた状態で手を内外に自分で動かすことができます。(回旋自動運動)

術後5週目からは少しづつ自分の力で肩を動かして可動範囲を拡大していきます。痛みや装具固定による代償運動になりやすい時期なので、正しい姿勢で肩を動かすことが目標です。修復した腱板の強度が回復してくる約8週間まで継続しましょう。
挙上の自動介助運動(背臥位)
テーブルスライド

術後7週目
腱板の修復が進み、方向の制限なく自分で動かせるようになります。しかし、筋力は回復していないので、物を持たずに自分の手の重みだけで動かしましょう。

術後9週目
この時期から修復した腱板に抵抗をかけることができます。リハビリテーションでは可動域の獲得後にセラバンドなどによる腱板エクササイズを行います。
腱板トレーニング(棘上筋)


腱板トレーニング(棘下筋)


術後3ヵ月
この時期までに手を挙げる動作(屈曲)や、肘を開く動作(外旋)の獲得を目指します。腱板が順調に回復しても、家事や自動車運転の動作獲得には2~3ヵ月かかります。あくまでも、家事や自動車運転の開始時期には個人差があります。自己判断せずに、必ず執刀医の許可を得た上で行いましょう。

壁押し

キャット&ドッグ

プランク1



術後6ヵ月
手術後の定期検診で可動域測定、疼痛評価、筋力測定、MRI検査を行います。MRI画像や筋力測定の結果を基に、スポーツや余暇活動への復帰にむけて、必要な機能改善を図ります。
※その後の定期検診は、術後1年、術後2年で行います。

プランクプッシュアップ

プランク2(腕立て伏せ)

プランク3(上肢リーチ)


術後8ヵ月
回復状況にもよりますが、重い荷物を持つこと、スポーツ復帰はこの頃から可能です。

※あくまでも目安であり、個人差があることをご了承ください。スポーツのレベルや種目によっても違いがあります。
執刀医と相談しながら復帰を目指しましょう。

鏡視下腱板修復術後のリハビリテーション
【大断裂・広範囲断裂】

術前
術前の肩関節の動きは術後にも影響します。術前の動きが良ければ術後の経過も良いと言われています。そのため術前はリハビリテーションで可動域の改善を目指します。また、術後の装具着用や更衣動作をスムーズに行えるように練習します。
▼片腕の更衣や非利き腕で字を書いたり箸を持つ練習方法、就寝時の姿勢など術後の日常生活動作資料はこちらをご覧ください。
鏡視下腱板修復術後の日常生活動作資料

術後早期
術後早期は炎症が発生し、疼痛のため過度に安静にすることで血液循環が悪くなり、装具装着で更に悪くなります。術後3週間は術部の炎症を抑えつつ、血液循環や姿勢の改善など患部への負担が軽減するように患部以外(手首、肘、肩甲骨、体幹)のプログラムを実施していきます。
術後6週間は処置した腱板を修復させるために安静が必要です。安静期間中は、理学療法士が可動域訓練を行います。
腫れや熱感がある時期のため、退院後もアイシングを行いましょう。

大断裂の場合は、修復組織の治癒を妨げないために【小断裂・中断裂】より少しスケジュールを遅らせて進めていきます。
可動域のスケジュール
【大・広範囲断裂】
屈曲:自動介助運動は5週目~、自動運動は9週目~
回旋:自動介助運動は4週目~、自動運動は8週目~

術後4週目
回旋自動介助運動

反対側の手で支えて内外に動かしていきます。

術後5週目
少しづつ自分の力で肩を動かして可動範囲を拡大していきます。痛みや装具固定期間のために代償運動が発生しやすい時期なので、正しい姿勢で肩関節-肩甲帯-体幹が協調した形で肩を動かせるようになることを目指します。


挙上の自動介助運動(背臥位)

術後8週目

回旋自動運動開始

術後9週目
屈曲自動運動開始
方向の制限なく自分で動かせるようになります。しかし、筋力は回復していないので、物を持たずに自分の手の重みだけで動かしましょう。

術後11週目
腱板に抵抗をかけることができます。リハビリテーションでは可動域の獲得後にセラバンドなどによる腱板エクササイズを行います。

※エクササイズは必ず医師、理学療法士の指示のもとに行いましょう。
 
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