日時:2017.12.27(水)
場所:阪奈中央病院 関節鏡センター(奈良県)
内容:診療・治療見学
阪奈中央病院はスポーツ選手の足部疾患の手術で著名な熊井司先生の診療が行われています。(1日/週)また学会でも研究を多数発表されており、足部疾患の治療で有名な病院です。
今回、熊井先生の執刀を受けた患者さんが当院を受診している関係で、施設見学の機会を頂いたので、報告します。
当院でリハビリを行っている術後症例についてのスポーツ復帰時期・痛みの経過についてアドバイスをいただきました。症例によっては手術で術前の症状(違和感・痛み・詰まり感など)は軽減しても、縫合部の違和感が残るそうです。しかし6ヶ月程度の経過をおうことで違和感は軽減するため、患部の組織の再生を妨げない程度に徐々に運動負荷を高めるようにとおっしゃっていました。
また体外衝撃波疼痛治療装置(Duolith SD1)も診療で導入されており、疼痛軽減目的で使用されていました。体外衝撃波疼痛治療装置は一般的には腎結石の治療として用いられることがありますが、最近では、整形外科領域の腱付着部障害(アキレス腱炎、足底腱膜炎)でも利用されるようになっています。
リハビリの見学では、阪奈中央病院が術後早期から行っている足趾のトレーニングを紹介していただきました。足趾=足の指のことで、微々たるもののように感じると思います。しかし、足部は唯一地面と接する部分で、それだけ歩行時には足趾の可動性や把持力が重要です。
術後はギプス固定などで体重をかけられない時期が存在します。足に体重をかけない時期が長くなることによって足底の感覚が鈍くなり、歩行能力の低下を生じてしまいます。それに対し、足の指でタオルを寄せるような運動(タオルギャザーとも言われます)がありますが、人によってはどのように力を入れたらよいかわかりづらく、トレーニング効果が乏しい場合があります。例えば足の指でグーチョキパーを出来るか試してみましょう。
これがうまくできない場合、100円均一の生活用品を使って意識を高めることができます。また、5本指ソックスも有効です。
(左からグー、チョキ、パー、ペディキュア用日用品)
同一患者さんの情報共有は紹介状を通して以外は施設をまたいで行うことは少なく、今回のように執刀医の先生やリハビリスタッフの方に直接お話を伺うことはとても貴重な経験でした。この経験をこれからの臨床現場でも活かしていきます。
(左から留守先生、髙野、熊井先生、鈴木トレーナー、佐竹先生)
髙野 秀人