アレックスグループでは最新医療・スポーツ医療に対する広い視野を持つために海外研修を行っています。
11月10～14日にアメリカ合衆国ロサンゼルス州で整形外科、メジャーリーグ球団施設の見学、トレーナーとの意見交換会を行いましたのでご報告します。

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見学施設：
カーランジョーブクリニック
サンディエゴパドレス球場
ロサンゼルスドジャース球場

意見交換：
サンフランシスコジャイアンツ渡邊トレーナー
サンディエゴパドレスMarkトレーナー、中曽根トレーナー
J-Body-Care　田中トレーナー

カーランジョーブクリニックはロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の手術を執刀したエルトラッシュ医師が在籍しています。全米でもエリートアスリートの肘の手術となるとエルトラッシュ医師を含めた2名の医師を中心に実施している背景があります。研修では当グループの久保貴敬医師がエルトラッシュ医師の手術見学を行いました。今回は時期が冬季になるため、肘の手術は1例のみでしたが2日間で4例の手術を見学しました。久保医師は読売ジャイアンツのチームドクターも務めており、肘・肩関節の手術に関してもどのように術後復帰していくのが良いか直接エルトラッシュ医師と意見交換をすることができました。
久保医師に関してはこちら

（左からエルトラッシュ医師、久保医師、髙野理学療法士）



ドジャース球場は残念ながら改修工事に入っていたため、トレーニング施設の見学は出来ませんでした。ロサンゼルスから南に移動し、サンディエゴ・パドレス球場（ダルビッシュ有選手在籍チーム）の見学も行いました。チームのヘッドトレーナーMarkさんと鍼灸担当トレーナー中曽根さんに案内していただきました。球場内にはトレーニング機器が完備されており、当院も用いている体外衝撃波を疲労骨折の治療に用いているとのことでした。選手の治療やトレーニングに関して意見交換を行いましたが、興味深かったのは試合後の選手がアイシングを実施していないことでした。アイシングはＲＩＣＥ処置の一つとして日本でもスポーツ界に浸透しています。ＲＩＣＥ処置は1978年にDr.GabeMirkinによって提唱されRest（安静）、Ice（冷却）、Compression（圧迫）、Elevation（挙上）の頭文字をとったものです。その後、RICE処置の代わりにPOLICEという概念に代わっています。（POLICEは、RICEに加えてProtection（保護）、Optimal Loding（適切な負荷）を加えたものです。）さらに近年においてはＰＥＡＣＥ＆ＬＯＶＥ（British Journal of Sports Medicine参照）と軟部組織の損傷に対する考え方が変わりアイシングが項目に含まれていません。本来は炎症を抑制するためのアイシングですが、過剰なアイシングによっては血流が阻害され自然治癒を遅らせてしまうこともあります。トップアスリートから徐々に若年スポーツ現場にも良い影響を及ぼすことが望まれます。

（右から3人目Markトレーナー、4人目中曽根トレーナー）



サンフランシスコジャイアンツのWatanabeトレーナーからは選手の健康管理のシステムや、医療施設との連携方法、スタッフの教育に関するお話を聞くことができました。チームの人数が多くなればなるほど管理が煩雑になり連絡の誤認も生じやすくなるため、コミュニケーションの研修も行っているとお話されていました。よく言われていることですが、トップチームにおいても一方通行ではなく、相互にやりとりできる環境・関係性が必要と感じました。

（左から3人目渡邊トレーナー）



アメリカ合衆国での研修を通じて海外の医療・スポーツ現場に触れることができました。医療保険制度は日本と大きく異なり、健康に対する考え方・文化も異なりますがスポーツ医療に関しては日本と共通する部分もあり既存のあり方にとらわれない医療サービスを考えていきたいと思います。