今回は脛の疲労骨折のリハビリテーションを紹介します。
進級に伴い練習量が増えるとシンスプリントと言われる脛の痛みが出ることが多くあります。そのシンスプリントが重症化すると疲労骨折になってしまいます。今回は疲労骨折の中でも跳躍型というジャンプ動作が多い選手に起こりやすく、やや治りにくい疲労骨折の症例を紹介します。
症例情報
年齢:16歳性別:男性 県内高校野球部
スポーツ:野球/内野手
主訴・痛み
歩行、荷重時の脛内側中央の痛み
経過
2021年9月頃から脛に痛みが出現し練習量を制限していました。10月に当院初診し医師の診察でレントゲン検査、エコー検査を実施し、シンスプリントと診断されました。リハビリテーション中心に治療しましたが、痛みの改善が乏しく、11月にM R I検査を実施したところ脛の骨の疲労骨折が見られました。体重がかかる運動を制限し、同時にリハビリテーションによる機能改善と物理療法を実施しました。
画像所見
レントゲン画像MRI画像
理学所見
回内足(扁平足)
回内足があると衝撃吸収がうまくできず、脛の骨などに直接負担がきてしまいます。
実際のリハビリテーション
LIPUS 低出力超音波パルス療法
骨折の癒合を早める効果があります。骨癒合期間を約40%短縮するという報告があります。
足の内在筋トレーニング
殿部の筋力トレーニング
回内足に対してアーチを補強する筋力、股関節を安定させる筋力を高めることでアーチを落ちにくくします。
治療経過
MRI検査で疲労骨折の診断後は荷重のかかる運動を禁止し、荷重がかからない動きは許可し治療を進めました。治療開始後、12月中旬(疲労骨折診断から約1ヶ月半)には痛みが改善していき、1月初旬には軽いランニングができるようになりました。
1月中旬には部活の練習全参加可能となり、その後症状の再発・悪化がないかを確認し、1月下旬に通院終了となりました。
今回は脛の疲労骨折のリハビリテーションを紹介しましたが、跳躍型疲労骨折は経過が長くなる場合もありますので、早期から適切なケア、治療が重要です。
この記事を書いたスタッフ
理学療法士
久保 大輝
久保 大輝
スポーツ選手やスポーツ愛好家の方など患者さんそれぞれのライフスタイルに合ったリハビリテーションを提供できるよう心掛けています。肩関節疾患や野球を専門としていますが、それら以外でもお困りのことがありましたらご相談ください。