運動器理学療法アップデート講座

森ノ宮医療大学主催で行われます「運動器理学療法アップデート講座」が令和3年5月1日(土) ~令和4年3月31日(木)の1年間で全8回開催されます。
当法人からAR-Ex尾山台整形外科の丸山洵(理学療法士)、保田みはる(理学療法士) 、長野整形外科クリニックの篠塚真充(理学療法士)が参加します。
 
【第1回 令和3年5月16日(日)】
今回はWEB開催でしたが、とても興味深い内容で充実した一日になりました。
各講義について内容を簡略に説明します。
 
第1講「運動器理学療法における画像を用いた評価と運動療法」
講師:森ノ宮医療大学 工藤 慎太郎先生
超音波診断装置を用いることにより筋の滑走性や脂肪体の動き、血流などをリアルタイムで動態評価をすることができます。理学療法士は疎性結合組織に対し主に徒手療法を行います。疎性結合組織とは筋膜や脂肪体などのコラーゲンが疎になっている部分を指します。超音波診断装置を用いることで可視化でき、より正確に疎性結合組織である筋膜や脂肪体に対しアプローチが可能となります。
 
第2講「運動器疾患に行う薬物療法」
講師:わだ整形外科クリニック 和田 誠先生
運動器疾患の薬物療法として主に、内服薬と注射があります。痛みを長期的に感じることにより、痛みに対しより過敏になってしまいます。そのため鎮痛剤やステロイド注射や局所麻酔、ヒアルロン酸注射による疼痛コントロールが不可欠です。
近年ではハイドロリリースの注射が注目されています。ハイドロリリースは生理食塩水による治療で、その部位の癒着、動きの低下、循環不全、神経への刺激を解消させる注射です。ただし数日後には戻ってしまうため理学療法士と連携し、徒手療法や運動療法を併用し行うことが重要です。
 
第3講「関節拘縮治療のための分子病態学」
講師:森ノ宮医療大学インクルーシブ医科学研究所 川畑 浩久先生
関節拘縮の可動域制限は滑膜組織の線維化が主な原因と言われています。関節不動化により、滑膜組織に虚血が生じると、低酸素誘導因子(HIF-1α)が活性化され、結合組織成長因子(CTGF)や血管内比成長因子(VEGF)の発現を上昇させ、滑膜組織の線維化を進展させ関節拘縮が起きてしまいます。しかしDecoy核酸医薬によりHIF-1αの活性化を抑制することにより、滑膜組織の線維化が抑制され関節拘縮を軽減することができます。また低出力超音波パルス(LIPUS)の照射により、関節不動化による可動域制限
を軽減できることが示唆されています。
 
第4講「股関節疾患の運動療法のための臨床解剖学」
講師:森ノ宮医療大学インクルーシブ医科学研究所 堤 真大先生
股関節の関節包は下前腸骨棘の下方に幅広く付着しています。下前腸骨棘下方の関節包付着構造は機械的ストレスに順応した形態であり、付着部そのものが腸骨大腿靭帯に相当します。
近年、股関節鏡手術後に股関節不安定性を呈する症例が増加し、手術過程で下前腸骨棘下方の関節包を剥離することで、股関節不安定性の一因になると考えられます。股関節包の前上方において小殿筋腱と腸腰筋深層腱膜が結合しています。その結合部は関節包の厚みを形成し、密性結合組織より構成されています。小殿筋腱と腸腰筋深層腱膜と腸骨大腿靭帯は厚みをなした関節包そのものであると考えられます。よって腸骨大腿靭帯は動的安定化機構としても股関節の安定性に関わっている可能性があります。
 
今回の研修は目から鱗な内容が多く、とても勉強になりました。今回学んだ内容を日々の治療に取り入れ来院される患者さんにより良い医療を提供していきます。
 
 
【第2回 令和3年7月3日(土)~7月4日(日)】
今回は森ノ宮医療大学で行われました。内容は「超音波エコーと体表解剖学」で、講師は森ノ宮医療大学の工藤 慎太郎先生です。参加者は16名。4~5人のグループワークで行い、主に股関節・膝関節・足関節の下肢全体を、超音波診断装置を用い研修を行いました。
今回の講義では、解剖学的知識の再確認や、徒手的介入をどこに対し治療行えば良いかを確認することができました。超音波診断装置を用いることで脂肪体や神経周囲の疎性結合組織、筋間での滑走性などをリアルタイムで確認することができ、徒手的介入をより正確に行うことができます。
各地方から参加された理学療法士の先生方と交流することができ意識を高めることができました。


法人では各施設に超音波診断装置が設備されていますので、今回の研修を日々の治療に生かし、患者様に還元したいと思います。
 
 
【第3回 令和3年7月31日(土)~8月1日(日)】
今回は超音波画像診断装置(エコー)を用いて頚部・体幹・上肢を映しました。それに加えて、筋肉の収縮の仕方や、エコーを見ながらターゲットとする組織や筋肉への触診方法も学びました。触診は表面にある筋肉は比較的容易ですが、深いところにある筋肉は触りにくいです。深いところにある筋肉に対して指をどう入れたほうがいいか、そこでの動かし方など学ぶことができました。

 
臨床現場で治療をするときにターゲットとする組織を狙えているのかを確認しながら行うことで、より一層治療効果を高める可能性があります。
今回の講義学んだことを、臨床の現場に活かしながら、質の高いリハビリテーションを患者様に提供できるよう研鑽していきたいと考えております。
 
長野整形外科クリニック 理学療法士 篠塚真充
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