膝を強打した、強く捻った「後十字靭帯(PCL)損傷」

後十字靭帯(Posterior cruciate ligament:PCL)とは?

 後十字靱帯(PCL)は、膝を支えている重要な4本の靭帯のうちの1本で、脛骨の後ろから大腿骨内側顆の外側面へ向かっている靭帯です。この靭帯は、膝の後方向や捻りに対して制御する能力を持っています。後十字靭帯は、前十字靭帯より厚く、前十字靭帯とほぼ直角に走っています。

後十字靱帯損傷の原因とは?

膝関節を構成する脛骨が後方へ押し込まれるような力が過剰に加わることで後十字靱帯が損傷します。
例えば、膝を強く捻ったり、急に膝をついた時、また交通事故で膝を打った時などが原因で損傷します。損傷してしまうと、日常生活には特に支障をきたすことはありませんが、階段を下るときやスポーツで着地したときに膝が崩れるような感覚が起きます。

症状について

・階段の下り、スポーツ活動中に膝の不安定感が起こる
・歩行時、特に踵をついたときに不安定な感じがする
・膝の腫れ、痛み

画像・診断

身体所見では関節内腫脹、靱帯の緩みを確認します。
単純レントゲン検査では骨傷を、MRIでは靱帯損傷の有無、合併症を確認します。

例)MRI画像


後十字靱帯(黄色矢印)に信号変化が見られ、
損傷を疑います。

後十字靱帯損傷の治療

 後十字靱帯損傷の治療は、保存療法を選択することが多いです。損傷の程度が軽い場合や、周辺の組織と癒着し関節の緩みが小さく症状がはっきりしない場合、手術の必要性はありません。

 急性期は患部の安静を図るため、固定及び免荷をし、関節内に出血があれば穿刺を行う場合があります。関節内の腫脹、疼痛が軽減してきたら専用サポーターを装用し、リハビリテーションで大腿四頭筋の強化と膝関節可動域訓練を行います。疼痛が落ち着き、可動域が回復してから徐々にスポーツを再開していきます。

 程度の強い後十字靱帯損傷では、後方への不安定な症状が残存してしまいます。手術適用に関しては、日常生活やスポーツ活動時の不安定性の程度などを考慮し、慎重に決定する必要があります。まずは専門医でしっかりと診断を受けることが重要です。
 
長野整形外科クリニック
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