第44回 日本股関節学会学術集会 研修報告
第44回 日本股関節学会学術集会 研修報告
会期:平成29年10月20日(金)・21日(土)
会場:京王プラザホテル
会長:山本謙吾先生(東京医科大学整形外科学分野 主任教授)
上記日程で開催された第44回 日本股関節学会学術集会に参加、発表して参りました。
整形外科に来院する方の中には長期的な痛みに悩まされている方がいます。痛みの発生機序は複雑で、長く慢性的に痛みを抱えている方の中には心理面の影響で痛みがなかなか良くならない方がいます。痛みが慢性化するメカニズムの要素の一つに、破局的思考というものがあります。簡単に言うと痛みを持っていることにより、物事を否定的に考えてしまう思考のことです。
過去の研究では肩や膝などそれぞれの関節疾患を有する方を対象に、この破局的思考が研究されており、特に腰部では心理的な要因が大きいと報告されています。痛みが出ている部位によって、心理面への影響に違いが出ることがわかっていますが、股関節についてはこのような研究はされていませんでした。
今回、私は今まで研究されてこなかった股関節疾患の心理的な関与が、他の関節疾患と違いがあるのかを調べました。その結果、腰部疾患と同様に股関節疾患を有する方も破局的思考が強いことがわかりました。しかし、なぜ股関節疾患と腰部疾患を有する方に心理的な影響が強くなるのか、どのような治療手段が効果的か、まだ明確にはなっていません。
今回の研究結果から、慢性の股関節疾患を有している方の治療は、身体の機能のみに着目するのでなく心理面の評価も行い、包括的に治療をしていくことが重要だと考えられます。
これからも研究を重ね股関節治療の発展と、質の高いリハビリテーションを提供できるよう研鑽して参りたいと思います。