日時：2019年9月7日
場所：札幌市

　今回私は「股関節疾患に対するHydororeleaseの効果と臨床所見の関連」というタイトルで発表を致しました。
　股関節の痛みは関節の変形や、関節唇（軟骨）の損傷等、関節内の症状を主体に痛みがでていると考えられて来ましたが、近年では超音波検査装置の普及に伴い、関節内のみでなく関節外の組織（筋や脂肪組織）の状態把握が可能になってきました。また、超音波の普及に伴いHydororeleaseといった生理食塩水等を用いて筋膜や神経を周辺組織から解離させる注射が行われ始め、膝関節や肩関節で効果を認めた報告がなされています。
　その中で、股関節に対するHydororelease治療の報告はないのが現状であります。そこで我々は、股関節の痛みに対しHydororelease治療を施行した結果、症状が軽減する患者を経験しました。まだまだこの治療は研究段階ではありますが、簡便に股関節の可動域改善や疼痛の軽減が期待できる治療であると感じています。しかし、この注射がどのような症状を有する患者に対して行うと有効かはまだわからないのが現状です。よって今後はこの治療の適応を探るための研究を行い患者さんの治療に還元していこうと思っています。